第29話 潜入

 お腹すいたな……まずはご飯でも食うか。て、人の家でご飯かよ。作るわけにもいかないしなぁ。

 台所に行くとホワイトボードに


『ミナくん❤️ビーフシチュー作ったの❤️冷蔵庫に入ってまーす❤️サラダもあるし❤️

 先に食べて先に寝ててね❤️

(早く寝ないと襲っちゃうぞ❤️)

 by 李仁❤️』


 あああああ、早く寝よう、寝ないと襲われる。冷蔵庫からそれらしき鍋を出して……ガスコンロじゃねぇのかよ。IHわかんねぇよ。おたまで掬ってチンして食べるか。

 それにしても台所も冷蔵庫も綺麗に使ってるなぁ……。リビングも……。男2人の家には思えない。


 あかん、そんな偏見はダメだぞ。カウンターキッチンには湊音と李仁の写真が飾ってある。ラブラブだなー。

 湊音は昔ヒネくれたスレたガキだったやつが。若くして親になって、必死に真面目に働いて異例の早さで学年主任を勤めたんだ。

 剣道も腕前が上がったし。剣道部の副顧問として立派にやってる。

 湊音は湊音の手を見る。よく見たらマメもできてる。こんな小さい体で……よく頑張ってるよ。


 って、思いでにひたってる場合ではない。

 さっさと食べて、風呂入って、寝よう。あ、明日の授業の予定とかどこかにないだろうか。部屋を手当たり次第入る。



 ……!!!

 寝室、ダブルベッド……綺麗にベッドメイキングしてある、が、枕元に……ローションと……コン●ー●……!!!!!!



 あああああああ。



 寝室じゃなくて違う部屋に行こう!!!おちつけーてか、不法侵入だよな、こりゃ。



 この部屋か?本がたくさんある。お酒や料理に関する本……あ、これは李仁の部屋だな。人の本棚って興味あるんだよなぁー。李仁はいろんな話詳しいし、英語も話せるし。本棚見ればその人の脳みその中身がわかると言ったもんだ。


 歴史に地理に文化、ほぉ。だから社会科の俺とも話があったもんだ。


 ん?こっちは……人体構造……心理学、医学書、法律、うわーすげぇ。


 ピピッ!あ、メール……か?

 俺は倫典に教わったように指紋認証ってやつで携帯のロックを解除しメールを開いた。


『勝手に人の部屋散策してないよね?』

 うわーバレてる。そうだな、さっさと湊音の部屋に……


 もう一つの部屋……他の部屋に比べて汚い。ああ、これは湊音の部屋だな。どうやら綺麗好きなのは李仁の方か。


 こういうガサツなところは昔と変わってなくてホッとする。


 エロ本もエロDVDも散らばってるし。とりあえず全部ソファーの棚に適当に置いて……机の上は綺麗だな。仕事の机は綺麗だ。


 とりあえず座って……昔から使ってる通勤カバン……んー、どこにも無いな、明日の予定。


 ピピッ!

 またメール。倫典からだ。

『ちなみに、湊音から聞いたけど学校の資料とかはタブレットで管理してあるらしいぞ。それも指紋認証かも?』

 タブレット……タブレット?ああ、これか。すごいな……教育の現場も5年経てばIT化してるってか?


 お、指紋認証で開いた。セキュリティ甘いな。ハハッ。


 綺麗にまとまっててわかりやすい。仕事に関してはきっちりしてたからなー。助かる。俺だったら使いこなせない。


 ふむ、ふむ、ふむ……




 わかんねぇえええええええ!!!ああ、休日にすればよかった。学校や剣道部の様子見たさに……ああ、浅はかな考えだった。


 ああ、目がチカチカして……眠く……











 また目の前が真っ暗になって、光が射した。もしかしたら俺の仏壇セーブポイントに戻ったのか?それはそれで良い。



 いや、違う。フカフカのベッドの上、白いシーツ、湊音は……裸っ?!あ、まだ俺は湊音のままなのか。

あ、しまった。ビーフシチュー食べる前に寝てしまった。


「んんんっ……」

 この声はもしかして、横には……


「ミナくん、おはよ❤️……朝から元気ね。」

 同じく全裸の李仁!!!!……湊音は慌てて股間を隠した。


「いっただきまーす❤️」


「ああああああああああああああ!!!!!!」



パシッ


はたかれた。


は?


「んなわけないでしょ?この偽物」

李仁の不敵な笑み。……ばれたのか?

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