第221話 奇跡

ガサガサガサ



小枝に積もった雪が揺れとともに落ちた。



フラフラと木々に衝突させつつ前進する腐乱死体



その後ろにも 前にも



人の気配をキャッチしたゾンビ達が進行、群れとなして襲いかかろうとしている



山口「青木 先導しろ 後方はこっちで対応する」



青木「了解 じゃあ行くよ こっちだ」



そして青木を先頭に移動を開始した脱出組



来た道とは真逆のルートで進む青木の後に榊原をおぶる吉田、リヤカーを引く臼井と柊の母親、早織を抱っこする佐田と続き、最後に山口がケツ持ちで後周警戒を務めた。



小走りで美しい庭園を横目に抜けていき、駐車場を通過、ヘリポート用のスペースへと流れ込んだ



ガシャ 



森と敷地を隔てる網目フェンスにしがみつくゾンビ共



「あ~~ ぁあ~~」



次々と森の中から出てきたゾンビがフェンスに貼りつき



ガシャンガシャン



興奮状態と見られる勢いで柵を激しく揺すり、青木等の過ぎ行く姿を目で追った。



そしてあとをつけて来た。



早織「あわわ… いっぱいいる 怖いよ」



佐田「早織ちゃん 周りを見ないようにして」



佐田がとっさに早織の目を手で塞いだ



佐田「目をつぶってれば怖くない それとしっかりお兄ちゃんに掴まっててね いい?分かった?」



早織「はい」



ヘリポートスペースを横切る一同が森の中まで続く道を見つけ



そのまま前進しようとするや森の中からアスファルトを踏みしめ、複数のゾンビが現れた。



「あぁぁ~~~」 「うがあぁあああ~~」 「あああぁぁああ」



行く手を遮り、食料を見つけたゾンビ達は高ぶりを見せ青木等目掛け襲いかかってきた。



3体か…



青木がいきなり小走りからダッシュに変え、1人突っ込んだ



そして1体に真っ向から体当たり



ショルダータックルを喰らわせた。



体当たりを受けたゾンビは勢い良く横転



次いで青木は小銃を構え、素早く銃口を向けた。



目と鼻の近距離に置かれたマズルから…



パスパスパス



掠れた発射音を鳴らし、3連発もの弾丸を頭に与えた。



頭部は破裂し、脳味噌を吹き飛ばす



そしてすぐにもう1体へと銃口を向けようとした時



ゾンビが襲いかかり銃口にかぶりついてきた。



マズルを咥え、ガチガチ歯音を鳴らせると



パスパスパス



口内から漏れた光、こちらも頭部を吹き飛ばされた。



射撃はあまり得意じゃないが… 近距離なら絶対外さねぇ…



また起き上がろうとするゾンビに



バコッ



顎が蹴り上げられ、再び転倒させられた。



青木「こっからはノンストップで突っ走るよ 行こう」



そして一行は森の中へと進入していった。



車がギリギリすれ違える程の横幅、国道へのショートカットにこの道が選ばれたが かなりの悪路…



100メートル先には大きな道が見える



山口が左右に銃器を向け、木々の合間から現れるゾンビに向け発砲をおこなった。



パス



一発でヘッドショットをきめ、身を沈めるゾンビ



その後ろからもぞろぞろ向かって来るゾンビ達



そんな中 西洋の武器をぶらさげ、身体中スミだらけ、そして全裸姿な若者のゾンビをチラホラ目にした。



あの時の奴隷共…



全員ゾンビにされたのか…



「ううぅうぅぅぅ」



まるで住処のように森に巣くうゾンビが大挙して群がろうとするその前に…



まずはあそこを目指し、一気に森を駆け抜けようとした時だ



入森そうそうリヤカーの動きが急に鈍くなった。



臼井は力いっぱい引くがうまく前進しない…



臼井「重い…」



また同時に一同の足が踏み込む度、土に足が埋まり、足をとられた。



青木「チッ」



原因は未舗装な土道



道がぬかるみ、リヤカーの車輪が泥にハマりだしたのだ



青木が手伝おとしたが前左右から近づいて来るゾンビを対処



「タイヤがハマってる せ~ので行くわよ せ~の」



その間 柊の母が懸命に車体を押し何とかその場から抜け出すがいちいちタイヤがぬかるみにとられ思うよう前へ進めない



「せ~の」



森の中に柊ママの掛け声が響く度、奴等は徐々に接近してくる



吉田「ヤバい ヤバい ヤバい こんな所で立ち往生は…」



早織を抱っこする佐田も加わり、片手で車体が押された。



佐田「頑張ろう すぐそこだから」



また見かねた山口も助力で手を伸ばそうとした時だ



うめき声に混じり微かに聞こえて来る音を耳にした。



カシャン カシャン



鎧の擦れる音



吉田「え?」



吉田も気づき、山口と一緒に目を凝らすとゾンビの集団の中、西洋の鎧を纏った奴を目にした。



吉田「あいつ… まさか…」



「ううぅぅ~」



兜ははがされ、頬には食いちぎられた痕



そう… 屍人となったあいつ…



純やによって倒されたあのチャッキーがゾンビ化していた。



荷車押しに手こずる臼井達



先頭で射撃しつつ青木も手を貸した。



ハンドルが掴まれ



青木「もうちょいだ 頑張れ」



臼井「フゥ~ お~」



臼井がりきみ、みんなで必死にリヤカーが引かれた。



ズズズと車輪が埋もれながらも何とか前に進み出すリヤカー



舗装された道路まではもう少し



残りわずか20メートルってところか



山口「青木」



山口の呼び声が聞こえてきたがそれに振り向く間もなく



左右の森の中から飛び出してきた2体のゾンビ



青木「チッ」



ハンドルが手放され、左右交互に小銃が放たれた。



パス パス 



3発制限点射から単発に切り替えられ発射された弾丸が胴部に直撃、ゾンビがよろけると青木は飛び出し、前蹴りをくらわせた。



ザザザァ



雪と落ち葉の混じる地面を滑り、ゾンビが森の中へと消えていく



またすぐ反対側のゾンビにも飛びかかり、銃床(ハンマー)部で殴りつけた。



そこら中からうようよ現れるゾンビの魔の手に迎撃で手一杯な青木



そのすぐ後方では



カシャ カシャ



鎧のゾンビがしっかりした足取りでこっちに歩いてきていた。



パス パス パス



山口は正確に頭部へヒット、接近するゾンビのみを仕留めていた。



吉田「あいつはどうするんです… きますよ 撃って下さい」



榊原をおぶり、両手塞がる吉田は動揺



カシャ ガシャン



ゾンビの群れの中 一際目立つ鎧姿を目にしながら脅えた表情で口にした。



パス パス



山口「今はほっとけ 気にするな 距離はさほど近づいてない…」 



パス パス パス



頭を撃たれ反り返ったゾンビが幹に激突させ、沈む



「アウアウアゥゥ~」 「ハァアアア~」



パス パス 



山口「…このまま一定を保てれば逃げ切れる 近づく奴だけに注意するんだ」



カシャン カシャン 



「ううぅぅうう」 「ああうぅうう」



パス パス パス



近づくゾンビのみを片っ端から狙い撃ち、掃除されていく…



カチャ



山口がスムーズに弾倉を交換、撃ち続けた。



山口「へんに動揺するな吉田 こいつらの対処は俺がする」



パス パスパス



吉田「は…はい 分かりました」



パスパス パス パス



山口「それよりも…」



発砲し続け、奴等を寄せ付けぬ中、山口はボソッと口にした。



心配なのは むしろ…



山口の脳裏によぎった不安…



ゾンビならまだいい…



こいつらは動きが鈍い どうとでもなる…



問題は… 感染者…



本当に恐いのは…



やはりあいつらの存在…



群れで… 猛ダッシュで襲いかかってきた時…



今のこの状況… 本当に守りきれるのか…



何度も何度もこういった現場や似たような状況を経験をしてるベテランの山口でも決して慣れる事の出来ない緊張とあの恐怖…



見るなりロケットスタートかまして来るあのプレッシャー



ランナーの出現と襲来に山口は警戒していた。



そして その一抹の不安がすぐに的中される事となる



パス パス



前方から次々進路妨害で現れるゾンビを即座に駆逐、迫りまくる複数の奴等をたった1人で撃ち抜いていく青木



その後ろでは死に物狂いで荷車を引き、陣痛に苦しむ妻にチラリと目を向けた。



臼井「うぉ~ 頑張れ 明子…」



進行差しつかえるどろんこ道に負けず柊の母親と佐田と共に協力して押し進め



佐田「抜けるぞ 押せぇ~」



山道からついにリヤカーが抜け出した。



出るなり、青木が道路を歩くゾンビに勢いよく蹴りつけた。



ゾンビはゴロゴロ転げ



青木「よし こっちだ 行こう」



臼井「うおぉ~」



全速力でリヤカーが引かれた。



そしてすぐ後方から山口、吉田も道路へと飛び出し、駆け出した。



その後…



ガシャ ガシャン



あの鎧の奴も道路に現れ、追いかけて来た。



それからもう1つ…



前方からあの声が響き渡ってきた。



青木が急ブレーキをかけ、停止



「クルンテープ・マハーナコーン・アモーン・ラタナコーシン・マヒンタラーユタヤー・マハーディロックポップ・ノッパラッタナ・ラーチャターニー・ブリーロム・ウドム・ラーチャニウェート…」



「世の中ね顔かお金かなのよ… よのなかねかおかおかねかなのよ」



「さて問題です ある登山家が、雪山で遭難してしまいました。 運よく小屋を見つけることが出来たので、そこで休んでいたところ、突然ドアがあいてしまった。ドアがあいたままだと雪が入ってきて凍死してしまう。しかし登山家はドアを閉めに行かず、次の日には自力で下山することができた。さてどうしてでしょうか?」



臼井もリヤカーを止めた。



山口、吉田も立ち止まり、吉田が顔をひきつられた。



吉田「これ… ヤバい展開じゃ…」



予想通り来たか…



山口は精悍な顔つきへ変え、気を引き締めた。



そして覚悟を決め、一歩を踏み出した。



「東京特許許可局長今日急遽休暇許可拒否 美術室 技術室 手術室 美術準備室 技術準備室 手術準備室 あかまんぎょんぼんごう あおまんぎょんぼんごう きまんぎょんぼんごう 可逆反応の逆不可逆反応、不可逆反応の逆可逆反応、可逆反応も不可逆反応も化学反応」



「4光年先に地球に似た惑星が発見されたぞ 近ぁ 早速行くっきゃないっしょ でもちっと待てよ 1光年って光が1年かかる距離っしょ キロに換算すると… 9兆5000億キロ ×4で 38兆キロか… まぁ 最新ロケットでもざっと4~50年くらいかかるかな… イスカンダルまで15万光年 4800万兆キロ ウルトラの星M78星雲の距離は確か300万光年先にあって 換算すると… えぇ~計算は 2840×10の19乗 1がいキロくらい キン肉星が500億光年先 キャプテンウルトラの主人公は8000億光年先まで行った なら俺は30那由他光年先まで目指したい」



競うように口疾で発せられた喚き声が前方から向かってくる



山口が前に出て青木の隣りに着いた。



山口「逃げ切るのは不可能だ」



青木「分かってる…」



山口「やはり おまえもこうなる事は…」



青木「当然でしょ」



山口「射手は俺達2人だけだ 突破する自信はあるんだろうな?」



青木「さぁね だけど無駄死にだけはしたくない その覚悟は決まってる」



山口「そうか… 正確に一体づつ仕留めろ 真っ向から迎撃する」



小銃、SMGを構えた2人



青木「了解」



山口「よし 走るぞ」



佐田「ちょっと待って 本当に突っ切るんすか?」



山口「信用しろ 必ず守ってみせる」



厳しい表情をしつつ山口がそう答えると



吉田「うわああ~ 大隊長 うしろぉ うしろ」



吉田が叫び声をあげ皆振り返った



ガシャガシャ カシャン



鎧のゾンビがハルバートをブンブン振り回し、競歩がごとく早歩きで追いかけてきたのだ



山口「チッ 来たか…」



吉田「早く行って行って」



青木「ゴー だ」



一斉に駆け出した。



「クー リー スーマスキャロルがぁ~ 流れる頃には~…」



「…ラーチャニウェート・マハーサターンラーチャニウェート・マハーサターン・アモーンビーマン・アワターンサティト・サッカタットティヤ・ウィサヌアム・プラシット」



「え~もし1+4=5、2+5=12、3+6=21ならば8+11=?」



「パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ファン・ネポムセノ・マリア・デ・ロス・レメディオス・クリスピン・クリスピニャーノ・デ・ラ・サンテシマ・トリニダールイス ピカソ」



150メートル程先 急カーブする道先から声は近づき



爆走する先頭の感染者が姿を現した。



そのあとからあとからスプリンターと化したランナー共が次々現れ



パッと見3~40はかるくいる



某神社の福男レースを彷彿させるようなデッドヒートな本気走りだ



佐田「うぅ やば… 超こぇ」



吉田「ま… まじ だいじ? これ」



全力疾走で向かって来る集団の鬼気迫るプレッシャーに圧倒され吉田や佐田は尻込み、一瞬足を止めようとしたが



ガシャガシャン



後ろからも暴れまくりな恐ろしい鎧ゾンビが追っかけて来る



佐田「神様 仏様 お助けよ」



向かって来る奴等の群れに正面突破で飛び込んでいく一行



山口が走りながらサブマシンガンを発砲した。



フルオートで発砲され



パスパスパスパスパスパス



「東京特許許可局長今日急遽休暇許可拒否 美術室…」



「答えは開いてしまった(閉まった)から…」



「1+(4x1)=5 2+(5x2)=12 3+(6x3)=21 したがって 8+(8x11)=96 答えは96…」 ブシャー



前を走る感染者に被弾



1体がつまづくと数体を巻き込み倒れ込んだ



隣では青木も走りながら発砲



胴部に受けた感染者がよろめき、横転、何体かつられて転んだ



だが… 仲間が撃たれようとも、倒れようとも、銃弾の嵐をものともせずひたすら食いかかろうと迫って来る集団



ぞろぞろ続く集団は100を越えている



そんな一気に押し寄せる波に臼井は唇を噛みしめ、痛みに耐える妻へ目を向けた。



吉田「や… やっぱ無茶です ちょっと数が多すぎる」



正面突破はあまりにも無謀な作戦だ



青木「うるせぇー 騒ぐな」



山口「…」



確かに… 必ず守るとは言ったものの…



実際目の当たりにし、この数は部隊で対応するレベル



多勢に無勢…



たかが… 2人で対応出来るレベルじゃない…



実情を目にし覚悟が一瞬にして揺らぐ山口



くっ… だが今更引く事も出来ない…



そんな自信も揺らぐ山口へ



青木「どうしたの大隊長さん 顔が青ざめてるけど まさかびびったとか言わないよね?」



山口「馬鹿言うな こっちはプロだぞ」



青木「あれ 全部倒すからよろしく」



1人だけ闘志みなぎる青木を横目にした。



この状況で なんて奴だ…



青木の勇猛果敢をよそに皆の脳裏によぎったのは…



死…



これどう見たって無理っしょ…



このままじゃ みんな死ぬ…



吉田の顔からみるみる血の気がひき、思わず足が止まってしまった。



それに気づいた佐田



佐田「止まっちゃ駄目だ 吉田さん 早く走って」



吉田「はぁはぁ はあはあ」



左右森の中からノソノソとゾンビ共も現れだし



背後からは鎧のゾンビ



そして前からはランナーの集団



息継ぎを荒げる吉田がその光景を見渡し絶望した。



佐田「ストップ 吉田さんが」



急ブレーキをかけた一行



青木「何やってる 早く走れ」



山口「吉田 走れぇ~」



駄目だ… もう終わりだ…



そして吉田が諦めかけた時



ある奇跡が起きた



爆走で向かって来る感染者達がこぞって後ろを振り返り、気にしだした



足を止め、引き返して走り出す者さえいる



動きの止まった青木達がそれを注視



青木「なんだ…? 様子がおかしい…」



青木がそう発した次の瞬間



ブゥゥゥ~



車の走行音が聞こえ


カーブから1台トレーラーがやってきた。



大きなトレーラーが次々感染者達を跳ね飛ばしながら向かってきた。



臼井「…」



佐田「まじ! これ奇跡だ…」



陸自の戦車運搬用車両



73式特大セミトレーラー



その大型車両が群れを踏み潰し、奴等を下敷きにしながらクラクションを鳴らしていた。



それから上空にもプロペラ音が聞こえてきた。



それらの音に完全注意がひきつけらた感染者達はトレーラーに向きを変え、走っていく



佐田「見て 助かった 流石ですね いつの間に連絡なんかしたんです?」



山口「……俺じゃない… どうしてここに軍が…」



ノンブレーキで向かってくるトレーラーに群れで襲う感染者達の身体は次々巻き込まれ、胴体や頭はペシャンコ



奴等を容赦なく轢き殺しつつ接近する車両の窓から1人の隊員が身を乗り出し、端に避けろの指示を送ってきた。



一行は慌てて端へ寄せると



バタバタバタバタバタバタバタバタ



木々を揺らし、プロペラ音が頭上を通過した。



そして現れた白い機体が空中停止する



海自の掃海用ヘリコプターMCHー101だ



MCHが真上でホバリングするさなか



ドカッ ドォーーン グチャ



爽快に群れを潰し、弾き飛ばすトレーラーが間近まで迫りブレーキが掛けられた。



キーーー



ガシャン カシャン



ドオオーーーン



そして槍斧をブンブン振り回す鎧ゾンビにクラッシュさせ停止した。



6~7メートル程吹き飛ばされゴロゴロ転げる鎧ゾンビ



トレーラーの通過後には虫の息であがく感染者達の他、真新しい大量の轢かれた死体が続き、残骸が散らばっていた



また山口達の目の前には…



セミトレーラーの牽引車両に複数の人が乗っていた。



手すりにもたれこっちを見る者達と目を合わせた一同



何者…?



袴姿の者から洋服姿、迷彩服を着用する11名の男達



男達の腰にはそれぞれ刀が据えられ、山口、青木がそれに着目させた。 


刀…?



そしてある1人の男が手すりから身を乗り出し語りかけてきた。



「すいません お訊ねしたいんですが 僕達このアイドルをちょっと探してまして 知りませんか?」 



1枚のうちわを袴に挟み、1枚のプロマイド写真を見せてきた。



その写真には本物のアイドルばりに決めポーズをとる1人の美少女が写っていた。



チコだ



男の所持するうちわにはチコがプリントされている



「パッと見 クールビューティーを思わせる大人びた顔立ち でも喋ればおちゃめでキュート そのギャップがとてもたまらない僕達のマドンナ… ご存知ないでしょうか? この県内にいるのは確かなんですが」



「おい 周次郎 おまえ なんかキモ過ぎなんだよ」



刀… チコ…



まさかこいつら…



青木が見渡すこの集団



すると



頭髪の薄い50代ほどの1人の男が話しかけてきた。



「名もなのらずに 変なのがいきなり失礼致しました」



「変なのって何さ 僕の麗しのヴィーナスがいなくなっちゃったんだぞ」



「だから それがウゼェーんだよ そんなんだから姫に嫌われるんだ」



「嫌われるって何さ 僕は…」



「あぁ~ やかましい 今喋ってるんだ 黙ってろ いやはやこれは失礼 申し遅れました…」



山口「…」 青木「…」 吉田「…」



「我等はZACT東部方面隊 ゾンビ殲滅部隊 関東刀刃隊であります」









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