第180話 奇襲

パーティーが開かれてから4時間半が経過した頃



23時40分



ピィン



EVの扉が開き、美菜萌がロビーに戻ってきた。



そこでEVを待つマツと麻島に鉢合わせる。



マツ「ご苦労だった どうだ?」



美菜萌「はい 大丈夫です ぐっすり寝てます」



どうやら美菜萌は酔いつぶれた七海を部屋まで運んでたようだ



マツ「そうか お騒がせな奴だ 悪いが先にあがるぞ」



美菜萌「はい お疲れ様です おやすみなさい」



マツ「おやすみ」



麻島が軽い会釈でマツと共にEVへと乗り込み、上がって行った。



美菜萌がエントランスを見渡すや半分以上が既に部屋へと戻り、まばらに人数が減っていた。



宴は終了に向かい、残った酒をチビチビ飲みながら余韻に浸る10名程のジジ共のサークル



いびきをかいて眠ってしまった青木や臼井



またソファーにもたれ、大の字で眠る村田や



向かいではテーブルに頬をつけ眠る海原



他にもウトウトする御見内



石田



早織



1人静かに酒をたしなむ倉敷などなど



他にも各テーブルに3~4名の婆様やおば様のグループが点々とし美菜萌が人数を数えた。



エントランス内には現在25名



それから美菜萌が1人せっせと後片付けするツネ婆を見掛けるや近寄って行った。



美菜萌「すいません後片付け手伝います」



すると



ツネ婆「ほれ 見んしゃい ぜ~んぶ 食べ干したぞい」



カレーが見事完食され空の鍋を見せてきた。



美菜萌「凄いですね あんな沢山あったのに きっとおいしかったからですよ」



ツネ婆「だろ~ 終わりじゃ終わりじゃ じゃあこれだけ流しに持ってって水に浸けといておくれ 明日にでも洗うから置いとくだけでええよ」



御満悦かつ陽気なツネ婆が割烹着と三角巾を脱ぎながら美菜萌へ口にした。



ツネ婆「洗わんでええからね」



美菜萌「はい」



既に水のたまったシンク内には大量の皿が積み重ねられ、グラスやスプーン系がまとめて置かれていた。



そして2つの大鍋に水を溜めているや



ツネ婆「美菜ぁ ちょっと~」



美菜萌「はい」



ツネ婆「あの子も早よう寝かせてやらんといかんよ」



ツネ婆が指さす先にはテーブルで首をカクカクさせながら眠る早織の姿を目にした。



美菜萌「そうなんです 遅くなっちゃってこれ終わったら寝かさないと」



ツネ婆「もうええ適当に溜めときゃ~ 明日やるから早く部屋に連れてってやんなさい あんな所で寝かしちゃ可哀相だよ」



美菜萌「はいは~い もう終わりますから」



そして給湯室から出て来た美菜萌が早織の元へと駆け寄り、抱きあげた。



美菜萌「遅くなっちゃってごめんね さぁ お部屋で寝よう」



ツネ婆「私も疲れたからあがるよ」



そしてツネ婆が声を張り上げた。



ツネ婆「爺さん共 先あがるからねあんた達もキリのいい所であがりよ じゃあな」



「お疲れ 婆さん」 「ほ~い」



美菜萌「私もあがります おやすみなさい」



「おやすみ」 「おやすみ美菜ちゃん」



早々に挨拶をすましEVに向かった美菜萌とツネ婆



そして2人がEV待ちをしている時だ…



「ウィ… 小便してぇー」



酔っ払った爺さんが千鳥足で玄関口へ歩み寄るやいきなりズボンのチャックを開けはじめた。



「おいおいおい 益子の爺さん そこ違う」



「おい そこですんな」



「トイレは向こうだ」



騒ぎを耳にし、酔っ払ってトイレと勘違いして小便しようとしている爺さんを見かけた倉敷が慌てて駆け寄った。



そしてギリギリ捕まえ



倉敷「爺ちゃん ここはトイレじゃないから トイレはあっち ちゃんとトイレでして」



「ヒック ウィ~」



ヨタヨタしながらトイレへ向かった爺さん



倉敷「あぶねぇ あぶねぇ」



そして倉敷がカーテンのわずかな隙間、そのガラス越しからふと外を目にした時だ



暗闇を動く人影が目に入った。



ん…? ゾンビか…?



カーテンを開き、再度外を覗いた倉敷



ジィーと視線を向けるが特に変化は無い



気のせいか…



そう思った時だ



月も出ぬ真っ暗闇な中



廃物と化す車の車体裏で微かに動く影を発見した。



やっぱり何かが動いた



何だ…



ガラスにへばり付き凝視する倉敷の目に確かに動く影



その影がゴニョゴニョと動きボンネットへ移動



釘付けになる倉敷の瞳に映し出されたのは…



時刻 23時53分



チーン



EVが到着し扉が開かれたと同時




美菜萌、ツネ婆が乗り込む間際に…



「ファイヤー」



ボン



ケツからバックファイヤーを吐き出し一発のロケット弾が発射された。



ブシュュュュュュュ~



黒煙の煙尾をつけ



倉敷の瞳に向かって来るロケット弾が映し出されたと同時に



ドカァァァ~



大きな爆発音が鳴り響いた。



玄関口が爆撃、倉敷が巻き込まれた。



音と共にガラスの破片が飛び散り、破砕されたテーブルや椅子が爆炎に巻かれた。



宴の余韻を吹き飛ばす一発の砲撃



爆風で椅子ごと倒れ込み青木が背中を打ちつけて目を覚ました。



青木「ってぇ」



ガシャ パリーン



またテーブル上のグラスや瓶がことごとく床で割れ、館内に煙りが充満する。



眠りに着いていた村田、海原、石田、臼井等も飛び起き



臼井「何だ 何だ…?」



御見内も飛び起きるや誰よりも先に誘導をはじめようとした矢先



「わぁぁぁあ」 「きゃあああ」



悲鳴、叫び声がフロアー内にあがった。



煙りと一緒に冷たい外気が流れ込み



ツネ婆「何事だい?」



青ざめる2人、大きな音に目を覚ました早織が目にする先は黒煙に覆われていた。



美菜萌「大変… ツネさん 早織ちゃんを連れて安全な場所に隠れて下さい 頼みます」



ツネ婆「分かった」



早織「美菜ちゃん」



美菜萌「ツネさんと一緒に行って」



そして急いで扉が閉められ上昇されるEV



美菜萌がエントランスへ走り出そうとした時だ



御見内「敵襲だ 避難さ…」



ブシュュュュュュュ



新たな噴射音が御見内、美菜萌の耳に入ってきた。



そして煙りの中から現れた2発目のロケット弾が中央付近で起爆



ドカァァァァァァァ~



2回目の爆発を起こした。



炎に包まれ巻き上げられたテーブルが宙を舞い、2人の老女がそれに巻き込まれた。



「きゃあああ おばあちゃ~~ん」



御見内「クソ」



村田がソファーをひっくり返して壁をつくり、隠れ込み



村田「なんだぁ~ どこのどいつの仕業だ」



石田「倉敷さんが殺られた 爺ちゃん婆ちゃん達を避難させなきゃ」



臼井もテーブルを倒し、その陰に潜んだ



誰が攻撃を…? 



パニックになるエントランス内の誰しもがその疑問を抱いた時



外ではRPGロケットランチャーに装填した男が笑い声をあげていた。



その男とは…



月島「ヒャハハハハ~ どうだよ?とびっきりの差し入れプレゼントを届けに来てやったぜ」



月島だ…



またマンション向かいのビル屋上にももう1人男がいた。



スーツに黒のロングコート姿



ロングコートを風になびかせ



肩にはドイツ製のロケット砲パンツァーファウストタイプ3を担ぐ男



そう… あの万頭がいた。



万頭はマンション屋上に止まる輸送ヘリ チヌークに照準を定めるや



何の迷い無き発射トリガーを引いた。



シュボオオォォォォォ~



ドカァァァ~~



バックブラスト(後方爆風)も反動もほぼ無いランチャーから繰り出された砲弾は命中され、輸送機が破壊された。



屋上での爆発を見上げる月島の周りには30名程の奴隷達が周辺のゾンビや感染者を皆殺しにしていた。



月島「フッククククク おぉ~おぉ~ いいねぇ~ 逃がさねぇ~て言ったべぇ おい 使いっパシり共 集まれ」



裸に革ジャンや毛皮のコート、スタジャンなどの上着を一枚羽織っただけの奴隷達が月島の元へと集まり



月島「突入 年寄りだろうが女だろうが1人残らず血祭りにあげて来い 行け」



月島、万頭による奇襲攻撃が行われる。



御見内「ゴフ コホォ」



硝煙に包まれ、咽せかえる中



3人でかたまるおばさんの元へ駆け寄った御見内



御見内「怪我は?動けますか?」



「えぇ 私達は大丈夫… でも… うぅ… 田中のおばあちゃんが…」



半分黒焦げた人らしき塊を目にした御見内



御見内「チッ さぁ とにかく… すぐに上へ避難を」



動揺する3人を立ち上がらせ何とか誘導するや駆け寄ってきた美菜萌を目にした。



御見内「美菜萌さん この人達の誘導を頼む」



美菜萌「勿論です ささ こっちです」



また



石田「爺さん達 みんな慌てずに立って下さい すぐに退避を」



「ひぃぃぃ」 「何事じゃい」



石田「分からない とにかく 慌てず移動しよう ここは危険なんで」



臼井、海原、村田も加わり老人等の避難の手助けが行われた。



第一優先で年寄り達が移動されていく間



御見内が充満する煙りの中を移動、外に視線を向けた。



ガラスは全割れ カーテンも取れた窓は丸見え



すると



うっすら浮かぶ幾つもの人影がこちらに向かって来るのが見えた。



攻めて来る…



すぐさま身を引いた御見内



「へっへへへへへへ」



露出され、勃起された男性器をシコシコといじくりながら近づいて来る町民



皮製ライダージャケット一枚を羽織り、血のこびりついたノコギリを握るイかれた青年だ



またその後ろにはマチェットナイフを手にする男



また両手にシャベルを握る者から石斧を持つ者



他にも西洋のバスターソードやルツェルンハンマー



鉄熊手、灰かき棒、餅つき用の木製ハンマー 杵(きね)に



引きずられた鎖に両端球体の石が取り付く流星錘(メテオ) 



巨大な槍 御手杵(おてぎね)など…



また



ウィィィー



「ヒヒヒヒ ウィ~~」



円刃が高速回転された



電動工具のディスクグラインダーやパワーカッター



金属管の切断工具レシプロソーなどが見られ



殺人レベルまで強力にカスタマイズされたBB弾用の電動改造銃まで所持する男の姿まで見られた。



それら多種多様な武器を引っ提げた操られし男共が破壊された正門へと近づいて行く



テーブルやソファーを盾に隠れ込む村田、臼井の元に海原、石田も合流



そこに御見内も滑り込んできた。



御見内「来るぞ」



村田「数は?」



御見内「そこまでは… でもしこたま物騒な武器をチラつかせてる」



海原「誰か銃器持ってる奴はいるか?」



石田「ないっす」



御見内「ないよ」



海原「ナイフは?」



村田「みんな部屋だ 誰も持ってねぇよ」



海原「丸腰じゃキツいぞ」



すると



パリーン



村田が床に落ちたビール瓶を叩きつけた。


村田「無けりゃ作れ」



村田の行動で



臼井は既に割れ、鋭利な刃物と化す焼酎の瓶を手に取った。



パリーン パリーン



また次々に瓶が叩き割られ凶器に早変わりした武器を手にした御見内達



御見内、村田、海原、臼井、石田の5名がテーブル、ソファーの遮蔽裏で身構えた。



御見内「みんな避難したね?」



石田「はい 美菜萌さんにまかせました ひとまずは大丈夫かと」



村田「おい CQBになるからな みんな酔っ払ってる場合じゃねぇぞ 死ぬ気でかかれ」



海原「酔いなんか吹き飛んだわ さぁ来い」



その時だ



便所からフラフラした足取りで出て来た1人の爺さんを目にした御見内



御見内「見ろ まだ1人残ってるぞ」



石田「益子の爺さんだ」



「フィ ヒッ」



しゃっくりしながらおぼつかない歩行で逃げ遅れた老人に石田が駆け寄る瞬間



ジャリ



ガラスの破片を踏みしめる音が鳴り煙りの先からノコギリを振り上げた奴隷が飛び出してきた。



ベロを垂らし、口からよだれを垂らし



自らのイチモツをシゴきながら血塗れのノコギリを振りかぶっていた。



そして取り残された老人目掛け振り下ろされる寸前



手首が掴まれ



っと同時に背後から喉輪に腕が回された。



それから膝裏が押され、引きずり倒されるや、金的へのスタンプが加えられた。



悶え、うずくまる奴隷の前に現れたのは青木だ



青木「爺さん 向こう行ってろ」



石田「益子爺 こっちだ」



石田に連れられ、EVに向かうと同時に



「ゲッヘヘヘヘ」 「う※♤ごげ※@♤⊗∞%㎜O」



煙幕を突き破り、複数のイかれた奴隷達が突入してきた。



「うげぇええええ~」 「げっひししししししぃ~」



村田「クッソ やるぞ」



御見内等も一斉に飛び出した。



餅つき棒、鎖鎌を振り回す2人に立ち向かって行ったのは海原と臼井



巨大槍野郎には御見内



ルツェルンハンマーを振りかぶり現れた奴隷には青木



灰かき棒、マチェットナイフ野郎には村田とそれぞれが対面で向かい激突された。



ブン



不釣り合いにデカ過ぎる槍の一振りが成されるがそれを避けた御見内は懐へと入り込みビール瓶の一突きを繰り出そうとした。



だが瞬時にそれを止め、代わりに強烈な左ブローを脇腹へとお見舞いした。



バコッ



奴隷の体躯は弓なりに曲がり



それから背後に回り、ローキックによる足払いがかまされた。



キレイに足が刈られ、背中と頭部を強打した奴隷は一発でノビた



その隣りでは青木目掛けハンマーを振り下ろそうとする奴隷の姿をチラ見



パァン パァン パン



3発の発砲音が鳴り響いた。



目尻、頬に命中、ハンマーは振り下ろされる事なく前倒れに崩れ落ちていく奴隷



青木が至近距離からマカロフを発砲していた。



そして奴隷が射殺された。



青木がすぐさま他の奴隷に銃口を向けると



御見内「待て待て 殺すな」



腕を掴み、それを制止



青木「は? ふざけんなって この状況でまだその正義感貫く気かよ… 手加減なんかしてる場合か」



御見内「やるなら まず手足にしてくれ」



青木「まだそんな事を…」



ブン



煙りの中を遠心で振られた石球が2人を襲った。



青木「うわっ」



咄嗟にバックステップで後退した2人がそれを避けるや煙りからメテオを振るった奴隷の姿も現れた。



奴隷が鎖を引き寄せると青木がマカロフをそいつに向け、発砲に転ずる



寸前



御見内「おっと 待て おまえ殺る気満々だろ?」



青木「だから何が悪ぃ~んだ つ~かいい加減クドいぜ」



その間 手繰り寄せられ またその横から鉄熊手を構えた奴隷が突っ込んできた。



青木「死ね」



青木がトリガーを引く瞬時、御見内が前に出た。



青木「っつ 危ね! 馬鹿 危ねぇーじゃねえか」



レディーポジションで銃口が上げられる



前に出た御見内がいきなり凶器を捨て生身で立ち向かって行った。



青木「おい!」



武器を捨てやがった…



何考えてんだこいつは… 相変わらず命知らずなイカれ野郎だぜ…



そして勢いづけた前蹴りが胸部に打ち込まれる。



ドカ



ザザザザ



ぶっ倒れた熊手野郎は床を滑らせながらテーブルや椅子の残骸にクラッシュさせた。



メテオ野郎が手繰り寄せた鎖を再び振り回そうとするや、目の前に拳を振りかぶりし御見内が姿を現した。



一方



灰かき棒、マチェットナイフをブンブン振り回しながら2人同時に襲って来る奴隷と相対するのは村田



ファイティングポーズで足を止めた。



「ぐげっふへへぇ」



1人は女物だろうパツパツなピンクのモッズコート一枚を羽織りマチェットで斬りかかろうとする奴隷



またもう1人は露出した男性器から小便を垂れ流し、自らの脚にひっかけながら灰かき棒を振り回し襲いかかってきた。



「ぐあぁぁぁあ~」



とても人間とは思えぬ、咆哮と血走った目つきで村田目掛け襲いかかってきた。



ブン



袈裟斬りの斬撃を見切った村田はそれをかわすやステップインで踏み込み顎を掌底で押し上げた。



すると勢い余った奴隷はそのままスリップさせ、背中や尻部を強打



次いで



ブン



サイドから灰かき棒を振るってきた。



村田はそれも掻い潜り回避



まだ放出するションベンをひっかけられそうになった村田は



汚ぇ…



シュパ



奴隷の上腕をビール瓶で切りつけながらサイドへ逃げ、背後へと回り込んだ



そして無防備かつ剥き出しになったケツへビール瓶の凶器をぶっ刺した。



「あがががががががが」



イカれてても人並みに痛みは感じるようだ



ケツを刺され、痛みでピョンピョン跳ね上がった奴隷の背中に



ドカッ



足蹴がくわえられた。



村田「いつまでしてんだ汚ねぇ~だろ ボケがぁ」



「ぎぁあああぁぁ」



村田が背後から近づく悲鳴に振り返った瞬間



シュ



目の前にはバスターソードの切っ先



村田「くっ」



咄嗟の反応でかろうじて避けたものの村田の髪の毛が数本舞い上がった。



てぬぐいを頬っかむりで覆い、黒のダウンジャケットに身を包んだ奴隷がまたもバスターソードを振るってきた。



シュ シュ シュ



剣が重すぎるのだろう…



村田は徒手格闘の構えで、見え見えなスピードの3振りを余裕でかわした。



そして素人の素振りと化す、空振り三振を見送るや、がら空きな顔面に右の正拳突きを放った。



バコン



鼻筋へと当て込まれ、ぐにゃりと曲がった鼻



奴隷がぐらつくと村田はダウンジャケットの襟元を掴み



バキッ



折れた鼻筋へ再び畳み掛けのヘッドバットを打ち込んだ



まともに貰った奴隷は沈み、落ちたバスターソードを拾い上げた村田の周りには一瞬にして3人の倒れた奴隷達が転がっていた。



そして村田が視線を向けた先では…



ドカァ



空振りした餅つき棒が床を打ちつけていた。



臼井「うわっ」



すぐ横では鎖に繋がれた鎌を両手に握り、小走りで向かって来た奴隷を相手にする海原



振るってきた鎌の攻撃を弾いた



キン キン  パリーン



海原「うっ」



だが… 瓶は脆くも割られ、持ち手部のみが残されるとそれをすぐに投げ捨てた。



「けぇぇぇぇえ」



透明なレインコートを纏ったガリガリにやせ細った奴隷が2つの鎌で同時に切りかかろうとした時



海原が両手首を掴み、それを封じた。



真新しい血痕に染まり、数滴垂れる鎌の刃を防いだ海原は懐に入り込み狂気と化す奴隷の血走ったまなこを見ながら数秒の力比べを行った。



次の瞬間



おっぴろげられブラブラぶら下がる男性シンボルに目をつけた海原がそれを思いっきり蹴り上げた。


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