第165話 逆攻

青木「美菜… うぐぅ」



押し倒され、木の葉に身を埋める青木の頭が押され、顔も埋めた。



その間 引き寄せられた美菜萌の背後から醜い顔が飛び出し



そして囁く様に耳うちされた。



明神「剣術の達人とて棒も持たねばただのメス… なぁ そうだろ… 美菜萌…」



背筋が凍りつき



美菜萌「はぁ… はぁ… はぁ…」



激しくなる動悸と震え



美菜萌は恐怖で啜(すす)り、呼吸を乱した。



美菜萌の両手首には触手が巻きつかれ、動きが封じられている



そして首にもジワジワと巻きついてきた。



明神「どうした…? 何をそんなに震えている 俺が憎くいんじゃなかったのか?憎くて憎くてたまらない仇敵じゃなかったのか?フフフフフフ」



太ももや腹部にも魔手が伸び



後ろから羽交い絞められていく美菜萌



美菜萌「はぁ… はぁ…」



金縛りのように硬直し、喘ぐ美菜萌に絡みつく触手群



それは両腕からびっしりと生えた細かな触手によるもの



それが幾多と伸ばされ美菜萌同様青木の両腕を縛り、身体を押さえ、頭をも押さえつけていた。



触手が美菜萌のキャミソールの中にまで入り込み、もぞもぞ肌を這うや胸元から飛び出してきた。



っと同時にそのままキャミが引き裂かれた。



反抗も出来ず、上半身が露出される。



明神「クククククク さっきまでの威勢の良さはどこいった? 殺したい相手に蹂躙される気分はいかがかな? フヒヒヒヒヒ そこにひれ伏す不様な男に… 愛する者の断末魔の叫び声でも聞かせてやろうか」



陵辱に満ちた蔑みな笑い



武道で鍛練された強靭な精神を持つ美菜萌だったが…



化け物と化した明神の前に為す術も無く手中に堕ち、身も心も折られていた。



肌着が裂かれ、胸がさらけ出された美菜萌は戦意喪失



明神に蹂躙された。



ガサッ



青木「ハァー はぁはぁはぁ」



顔が埋められ、窒息寸前な青木の顔が上げられた。



明神「ハハハハハ わるいわるい 忘れてた 危うく殺しちまう所だった」



必死に空気を吸い込み、キリッと睨みつける青木



明神「青木 見てみろ あれだけ勇ましかった女も今ではこんな有り様だ 抗う牙は抜かれ、俺に屈したもぬけの殻だぞ このメス豚は ハハハハハハハハハハ」



青木「テメェー それ以上その子に…」



明神「触れてみろ… ただじゃおかねぇ… っとか言いだすなよ…」 



青木「化け物になったからって調子にのってんじゃねえぞ その子に手をかけたらさし違えても必ずおまえを殺してやるからな」



明神「ハハハハハ 冗談きついなぁ 青木 こっからどう挽回するんだ? 無力なんだよおまえは… おまえもこの女もここで死ぬんだよ ハッハハハハ」



青木「っきしょ~ クソったれがぁ~」



青木が暴れ出すのだが触手に押さえ込まれビクともしない



青木「ぶっ殺してやる化け物 うらぁぁああ」



明神「ハハハ 無駄な足掻きは止めとけ 生身のおまえじゃ無理だ  しかしよほどこの女が大事と見える 益々おまえの目に焼き付けてやりたくなってきたわ」



青木「らぁ~ テメェー 止めろぉ~ 美菜萌さんにそれ以上手を出すんじゃねぇ~」



すると



明神「おまえにこの女は救えねぇ~よ」



冷酷な口調で明神が口にした。



それを聞いた青木はピクリと動きを止め、見上げる



明神「さて まずはか細く華奢なこの腕からもぎ取ってやろう」



恐怖で凍りつき、目から一筋の涙が垂れ落ちる美菜萌の右腕が伸ばされた。



美菜萌「はぁ はぁ はぁ」



美菜萌と目を合わせた青木



その目から流れる雫と助けてと懇願する美菜萌の涙目を凝視した青木はすぐにでも駆けつけたいのだが、身動きが全く取れず……



ただただ絶望が込み上げてきた。



美菜萌さんが…



青木「あ… あ… やめ…」



やめろ… やめてくれ…



明神「この女の阿鼻叫喚、腕を引きちぎられ 苦しみのたうつ姿を目に焼き付けろ 青木」



美菜萌の手首に巻き付く触手が腕を引きちぎりにかかろうとした寸前



青木「やめろぉぉぉおおおおおおお~~~~~~~~~~~~~」



青木が大絶叫した



その時だ



melody of awakeningが流れ出す



赤外線スコープに捉えられた明神の横っ面



トリガーが引かれた



パス



高速スパイラルで回転した一筋の弾丸が飛翔



それが明神の頬に食い込み、そのまま貫通された。



明神の体躯が少しばかりよろける



なんだ…?



頬に穴が開く明神が暗闇の先へ目を向けるや



パスパスパスパスパスパスパスパスパスパス



銃火の花火がパッパッと照らされ



銃撃された。



正確な射撃で青木を押さえ込む触手がたちまちブチ抜かれ、また明神の脇腹に幾つもの弾丸が撃ち込まれた。



明神「くっ チッ 何奴」



青木の腕に巻き付く触手がスルリと解け



明神がたまらず美菜萌を投げ捨てるや、羽を広げ、後方へと飛び去った。



なんだ…



青木が目を向けた先…



その先から3つのライトが近づき2人を照らしだした。



「間に合った」



「ガイド 平気か?」



この声…



こいつら…



青木「マジ奇跡だ」



そう… 2人の前に現れたのは救出にやってきた麻島、赤塚、海原の3名だ



ZACTの精鋭な兵士が加勢に来てくれた。



青木はすぐさま立ち上がるや美菜萌へと駆けより、抱きしめた。



それからはだけた胸元を隠し、自らの上着を被せ、覆った。



麻島「ターゲット 20メートル先に着地した」



海原「なんですかあれ… さっきのロシアみたいすね」



赤塚「ガイド さっきのあの化け物は一体何だ?」



青木「ちょっと待って…」



まだ激しく震える美菜萌の体をギュッと抱き締め



そっと幹へと座らせた。



そして美菜萌の耳元で口にした。



青木「俺がついていながら こんな怖い思いさせてごめん 美菜萌さんの受けた屈辱… 俺が清算してやるからここにいてね」



そう言い残し、青木が颯爽と美菜萌から離れ、マカロフを身構えた。



許さん… あの化け物ジジイ…



反撃開始だ…

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