第59話 部屋

「ぎぎぁぁぁぁあああああああああ」



「きぁあああああ ああああ」



地下2階のどこからともなく響き渡って来る叫声



御見内は一旦立ち止まり、絶叫の方向に視線を向けた。



すると



メサイア「ほれ 目的が違うぞ もうコロコロ変えるな」



メサイアによって腕が掴まれ、その場から連れ去られた。



そして3人は地下階段を更に下へと降りて行く



下水処理場 地下3階



元大きな石炭発掘場だったのだろうか? 坑道のような構造の通路 下水施設らしからぬ大きなトンネルのような道になっていた。



所々にはランタンや蝋燭が灯され、虫の羽音がそこら中から聞こえて来る



そこら中を飛び回るのは火の明かりに映される大量のハエ



チュー チュー



そして鳴き声をあげ、そこら中を我が物顔でかけずり回るネズミの姿も見られた



ここまで不衛生で劣悪な環境



バカになった鼻でさえ、悪臭を感じ取る程の強烈な臭いがたちこめ、御見内とメサイアは鼻を覆った。



階を下るにつれ、異常なまでに繁殖し数を増したハエを手で払いながら3人は奥へ奥へと進んで行った。



迷路のようにいくつも分岐した道



その分岐点に差し掛かる度、壁には冴子の夢のお部屋まであと100メートル こっちと手書きで書かれた張り紙が貼られ、矢印で記されていた。



その道標を頼りにドンドンと進んで行く3人



冴子の秘密の花園まで あと60メートルだよん こっちこっち



ハートマークの絵さえ添えられた張り紙を矢印の方向へと歩を進めて行く



メサイア「迷路かよここは この紙がなかったらマジ迷うかもな」



そしてまた分岐点へと差し掛かるや



B86 W65 H84 こんなセクシーなスタイルの冴子様のプライベートルームまであともうちょっとだよ 残り20メートル こっちだよ~



メサイア「なぁ 普通ここでこうゆうのとか公開する?ってかこうゆう情報とか載せる? 病んでんのか?精神病なのかな?」



御見内「ただイカレてんだろ…ほぼほぼ頭の全ネジが緩んでんだよ」



メサイア「反論ねぇーわ」



そして直進する3人がT字路へと差し掛かるや天井から吊されたある看板に目を止めた。



そこには



殿方のペニスコレクター ミス冴子のシークレットベースはここを右 普通の人はこっから先は入っちゃ駄目だからね



そう書かれた看板を目にした3人



メサイア「なぁ ペニスコレクターって何だよ」



バイヴス「さぁ…読んで字の如く男のイチモツじゃ…」



メサイア「まさか…嘘だろ…?」



御見内「行けばすぐに分かる」



先頭きって右折した御見内に続いて2人も右へと曲がった。



その曲がった途端 目の前にはガラス式の扉 その先に2人の解体人らしき男の姿が見られた。



門番か…?



1人はチェーンソー もう1人は無駄に長いドリルビットを装着した電動ドリルを手にしてるのが見えた。



そして御見内がガラス戸を開くや



「おい 駄目だ駄目だ 看板が見えなかったのか?ここは特定の人しか入れない 普通の者は入室厳禁な冴子様のお部屋だぞ」



御見内「どうしてもその冴子様に用事があってな」



「今は出掛けてておられない それよりおまえ達の様な下っ端の凡人が来ていい場所じゃない さっさと出て行け」



御見内「折角来たのに残念だ…」



御見内が立ち去る素振りで背を向けたと同時に振り返りざまに右のエルボーを門番の鼻筋へと叩き込んだ



「ぐっ」



「なっ」



隣りの門番が慌ててチェーンソーのスターターロープを引っ張る仕草をした時



メサイア「ドント タッチだ その手を離せ」



眉間に銃口が押し付けられ門番はその手を止めた。



奇襲をまともに喰らった門番がよろけると、御見内は手刀で頸動脈を叩き、次いで喉輪でガッシリ首を掴むやその門番の後頭部を扉へと強打させた。



連撃でグロッキーした門番は倒れ、御見内が隣りの門番へ目を向けるや



左フックで顔面を殴りつけ、懐へと飛び込み、頭を胸へ押し付けると同時にクルッとその身体をひっくり返した。



柔道の横捨て身で投げられた門番が床に転がされ、御見内は次いで腕ひしぎで肘を取り、ロック、そのまま躊躇無くへし折った。



「ぎぃぃ ぃでぇ……」



御見内「邪魔だ どけ」



完璧へし折られた腕の痛みにもがく門番



「うぅ…」



立てずにうずくまる門番を背に御見内は起き上がり、扉の取っ手を掴んだ



御見内「入るぞ」



そして扉が開かれる。



御見内を先頭に中へと侵入した3人



入室早々3人の目に飛び込んできたのは…



バイヴス「な…なんだこの部屋?」



メサイア「変態を通り越してやがる…」



唖然とするメサイアとバイヴスの目には…



今まで見た事も無いような光景が映し出されていた。



今までの劣悪な環境とは全く異した小綺麗でだだっ広い部屋



その部屋のオシャレ棚にはぎっしりと、切除された男性のシンボルがシャレたガラスビンやシャレたビーカーに入れられ、ホルマリン液で漬けられ置かれていた。



ざっと見渡す限り100や200もの切り取られた男根の数々



そのビン、ビーカーには切除日、年齢とサイズらしき数字が記入されたシールが貼られている。



それがまるでオブジェか観賞用植物でも飾るかのようにキレイに並べられ、保存され、置かれていた。



メサイア「これ全部本物かよ…」



ペニスコレクターって…



本当に男性器のコレクションかよ…



バイヴス「こんなの採集してるなんて今まで知りませんでした…勃起時の長さと平常時の長さまで書いてありますよ」



メサイア「想像以上に…狂ってやがる…」



衝撃を受けた3人が歩を進めるや



更なるショッキングなシーンが3人の目に飛び込んできた。



それは長テーブルに寝かされた1人の男性の姿



20歳行くか行かないかの若き男性の裸体



その男性は付け根から手足が切り落とされ、欠損状態



透明なガラスケースが被され、その中では人工呼吸器が装着され、また排便、排尿用の管が取り付けられていた。



そんなショーケースの中で目を閉ざした男性が寝かされていた。



険しい表情で3人は近づきショーケースと化す男性を覗き見る



メサイア「なんだ…これ 何か書いてある…」



ガラスケースにはまたシールが貼られ、それを目にしたメサイアが口に出してそれを読みあげた。



メサイア「冴子のフェラ専用1号…おい…これ全部…」



そう…



隣りにも…その隣りにも



同様にショーケースが10台以上も並べられ、置かれていたのだ…



メサイアはそれを唖然とした表情で目にした。

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