第150話 ケアは大事です
オーク狩りの四月も終わりを迎え、そろそろ五月に差し掛かろうとしている。
現在、第一部隊のオーク討伐回数は四回。
一か月で行った討伐としては標準的、或いは無難なペースと言える。
忙しい時は七回くらいになる事もあるが、それは無茶をしなければいけない時のペースなので滑り出しとしては上々だろう。
対して第二部隊の討伐数は二回だ。
やはり実戦が初めてである事と冒険者時代の雑な仕事ぶりが抜けないのか、討伐開始後の打ち漏らしと残党狩り、罠の不発に手を焼いているという。それでも二回は完遂しているのだから、失敗していないだけ良い方である。
他の聖騎士団なら残党を見なかったことにして任務達成とのたまい、成功を祝して三日ほどパーティーを催し、その後休息に三日ほど休むというナメ腐った日程を送ると思われる。
新人たちはというと、まず最大の懸念材料だったロザリンドはいたって真面目に仕事に取り組んでいる。あちこちで面食らったりやったことのない作業に苦戦してはいるが、元々才気溢れる存在だったためか仕事の覚えがとても早い。既に俺の監視付きではあるがオーク狩りを体験させ、乱雑だったがオークの初討伐を果たした。
乱雑というのは、一撃で急所を刺し貫くことが出来ずに無駄な切り傷と出血が多かったことだ。これからはより派手に血が出ない斬り方を身に着ける必要がある。
二刀流奥義を見せたのは失敗だったかもしれない。
あれは少ない傷の数で確実に失血死させているので及第点ではあるのだが、もっと少ない傷でも倒す事が出来た。あれを見たときロザリンドには技量や派手さの方が鮮明に映ってしまったのだろう。
一方、アマルは全く以て予想通りロザリンドがついていないとてんでポンコツである。
高度な自己判断能力と根気の強さが求められる工作班では足を引っ張り、出禁。
道具作成では予めアキナ班長に「目を離すと絶対やらかす奴なので、無理そうなら部屋から締め出してください」と伝えたら、ものの三分で締め出されて泣きついて来た。知ってたので責めなかった。そもそもウチの騎士団の三割くらいは割とアマルに近いタイプの一点特化ポンコツであるので珍しくもない。
半面、回収班の作業ではやる事がシンプルなためそこまで酷くはなく、監視についていたフィーア先輩と随分打ち解けていた。あの人ドジなのに成果は出すという不思議さんなので、天然同士ウマが合うのかもしれない。
遊撃班の練習では言われたことだけさせる使い方で十分動けていた。
要は手綱の握り方、なんとかとハサミは使いようだ。
恐らく監視付きで遊撃班所属となることだろう。
そして最後にアマル曰く「むっつり負けず嫌い」のコーニアだ。
士官学校での成績や実際の動きを見る限りでは可もなく不可もない平均的な動きをしているが、とにかく負けん気が強いのか、一つでも出来なかったことがあると自由時間になるなり一人で反復練習するなど、やる気と反骨心が有り余っている。
その負けん気の強さはいつか何かの拍子に折れてしまいそうで俺としては心配なのだが、先輩方は、叩けば叩くほど伸びる熱した鉄みたいなタイプだと期待を寄せているようだ。当人は俺に憧れているらしいのだが、残念ながら今のところアキナ班長の新人寄越せオーラによって道具作成班ルートが優勢となっている。
なんだか、やる気だけは有り余っていた嘗ての同級生もあんな感じだったように思える。だからこそ道具作成班がいい、とロック先輩は酒臭い口で言う。道具作成班にあるのはノルマ、新発想、金儲け。目に見える課題が常に目前にあるうちは、理想だけが先走りすることはない、だそうだ。
酔っ払いの癖に生意気にもそれっぽい事を言っているのが腹立つ。
とまぁ、今のところは目立った問題もなく騎士団は活動している。
しかし、既に魔物が手招きする魔の領域は目前に迫っていた。
「では、今年の……『五月病対策講義』開催を宣言する」
それは、毎年必ず避けては通れぬ騎士団の死活問題――新人離脱の危機を孕んだ重要な会議であった。
「さて、初参加となる騎士団の新人諸君。タマエ料理長に選ばれし料理班の皆さん。そして王立魔法研究院より今年から出向となった皆さん。聞き及んでいる方もいるかもしれませんが、ここで改めて五月病とは何かを語らせていただきます」
五月病。
俺も新人の頃はその存在を知らず、こうして講義を受けることで初めてその存在を知ったものだ。今回は一応立場ある人間として、副団長の補佐という形で講義に参加している。
ローニー副団長は、一昨年に聞いたそれと一言一句違わない説明をする。
「五月病――それは労働環境や生活環境の急激な変化に対する慣れと共に、ふと浮かび上がるように発生する一過性の心の病です。食欲不振、睡眠不足、気疲れや倦怠感、そして……仕事に対する意欲の低下。これらが併発するのです」
王立外来危険種対策騎士団に数多くの敵こそおれど、これほど曖昧な敵は珍しい。敵ならば倒し、悪意ならば耐え、怒りならば発散させ、感染する病なら元を断つための予防をすればいい。しかし、心の内から湧き出る病を打倒できるのは己だけなのだ。
正式には、五月病とは俗説的なものであり医学的根拠はない。
しかし、参加者に配布した資料はその存在が決して否定できない事を物語っている。俺は副団長の後ろのボードに棒線グラフの資料を張り付けて説明する。
「手元の資料の三ページをご覧ください。これは王立外来危険種対策騎士団及びその関係者の離職人数を年数別にグラフ化したものです。見ての通り、幸いにして年間離職者数は平均一、二名と大変少ない人数で済んでいます。しかし、全体を通して見ると、その離職者のなんと八割が五月に離職していることが分かります。また、次のページには転勤希望者のグラフがありますが、ここでも五月に異様に集中しています」
参加者が微かにざわめく。
書類を偽装したのではないかと勘繰るほど数字が五月に集中しているからだ。
何故五月にこれほど五月病患者が発生するのか。
それはローニー副団長が言った『慣れ』もあるのだろうが、実際には蓄えたモチベーションが一か月で切れるとか、一か月という数字で一区切りだということを自覚した際の行き先への不安などが複合的に入り混じっているのだろう。
そう言われれば不安になるのが人だ。
しかし、ローニー副団長は柔らかな口調で皆に語り掛ける。
「――このように離職者を多く出す五月病ですが、案外五月を過ぎれば嘘のようになくなってしまうことも多いです。私も毎年この時期になるといろんな団員から相談事を受けますが、その殆どが五月病を乗り越えて今も仕事を続けていますし、逆に仕事の向き不向きや人間関係の相性がはっきりして転属や転職をし、その先で元気にやっているという人も多い。五月病はいわば、自分と仕事の距離感を見つめ直す機会となっているのです」
新しい環境、知り合いの少ない現場では、得てして本音や言いたいことを言えずにいることも多い。酒の場で多少は打ち解けることもあるが、実際には酒が入っても言いにくい事は言いにくいままだったり、そもそも酒が苦手で飲みの場がイヤだという人もいる。
そういった人が、漠然とした不満を吐露出来る相手が組織には必要だ。
では、その相手は誰なのかというのをハッキリさせるのが、この講義の場でもある。
「無理をして続けて心や体のバランスを崩してしまうと、組織も個人も誰も得をしません。大いなる覚悟を以てこの職場に足を踏み入れたとて、向き不向きは人によってあります。それを言葉にすることは恥でも何でもない。人として当たり前のことです。ですので皆さん、人間関係や仕事、そうでなくとも何となく調子が悪いという方は是非とも頼れる先輩に相談してください」
「言いにくい事なら手紙にして副団長の部屋の前のポストに入れてもいいですよ。仕事の合間なのですぐとは言えませんが、数日中に返答します。もちろん直接相談も時間の許す間であればどうぞ」
「私やヴァルナくんはもちろん、浄化場のノノカさんもああ見えて人生経験が豊富です。治療室のフィーレス先生はカウンセラーの資格も持っているので、体調不良ついでに相談するのもいいでしょう。他にもガーモン班長を始めとしたベテランの皆さん――ああ、アキナ班長とセネガ副長は全力で除外しますが」
我が騎士団の女性陣で傍若無人トップワンツーは息をするように相談対象から姿を消した。妥当としか言えない。アキナ班長とか鼻ほじりながら「やる気ねえなら転職すれば?」とか身も蓋もないこと言いそうだし、セネガ副長は言わずもがな相談者を絶対虐める。
これは差別ではない。適材適所である。そういうことにしてくれ。
「ともかく、溜め込んでしまわないことが大切です。我々も様子がおかしい、元気がないと感じる新人には声かけを行っています。切っ掛けを待ってもいいし、待たずともいい。忌憚ない本音をぜひ語ってください」
講義はそれからしばらく続き、実際に過去どんな相談があったかを紹介したり、五月病の放置で起きた小さな事件やクスっと笑える間抜けな事件を紹介して適度に場を和ませ、滞りなく終了した。
……講義内では言わなかったが、こんだけ声かけしても黙って辞める奴は黙って辞めるし、特権階級共の権力闘争に一枚噛んでたようなろくでなしは容赦なく追い出される。
そういった真実を、彼らは後になって知ることもあるだろう。
新人を大切にすることと、すべての真実をつまびらかにすることは決してイコールではない。残酷なようだが、これも人生の学習である。
◇ ◆
――不謹慎にも、これは渡りに船だと思った。
何度か食堂で会話はしたのだが、新人の面倒だ何だと忙しくて一言二言しか話せずにずっと悶々としていた。しかし今日、切っ掛けと口実を同時に得られたことは僥倖だった。
この悩みは解決すべき五月病の症状である。
誰が何と言おうがそうに決まっている。
正当性という名の旗をこれ見よがしに振り回しながら、ヴァルナの部屋へ鼻歌交じりに突入した。
「こうして二人っきりで話すのってカリプソーでの一件以来だったっけ……いやぁ、やっぱりこの短期間で料理班に入っちゃいましたね、コルカさん。なんとなくだけど早めに再会しそうだとは思ってましたよ」
「ふふん、本気を出せばこんなもんです! なにせガッツだけは自信があるもので!」
冗談交じりに力瘤をつくるような動作で腕を上げたコルカは、自分の顔が勝手に綻ぶのを感じた。厳しい修業の日々によって無駄な脂肪が落ちたために更に健康的になった自負がある。
久しぶりに会うヴァルナは、その人の好さそうな笑みも佇まいも全く変わっていない。相変わらず魅力的で、私の惚れた最高の騎士だ。腰に下げる剣が一本増えているのはちょっとした違いだが、そんな違いをすぐに見つけた自分が意味もなく誇らしい気がする。
「元気そうってことは、例の意中の男は第一部隊所属だったのかな?」
「ええ、そりゃもう! 何度か声もかけられちゃったり、情報収集したり、色々進行中ですとも!」
「結構なことじゃない。色恋沙汰にはとんと馴染みがない身だけど、出来ることなら応援するよ。こう忙しい職場じゃ協力者は多い方がいいだろ?」
「助かります。えへへ、助けられてばっかですけどね」
意中の人とは貴方の事です、などと馬鹿正直には言わないでおく。
告げたい気持ちもあるが、もっと心身ともに近づいてからにしたい。
はやる気持ちはあるが、こういうのは焦ってはいけない。
今の騎士団内にライバルは少ないのだから、今は耐える時である。
料理班に入ったことで更に高まった料理力を以てして、更に班の先輩に応援してもらっている私の恋愛戦線はあのセドナより万全に近いと言える、筈だ。
……あの客観的に見ても強敵過ぎる彼女が、単独でこちらの戦力を超えていなければ。
尤も、今年彼が面倒を見ている後輩のうち二人が女の子というのは予想外だった。かなり要注意だ。
アマルの方はスタイルが悪くアホだが、ヴァルナは胸の善し悪しで女性を決めるタイプではないし、世話のかかる子ほど気が付けば愛着が湧いているパターンかも知れない。当人も人懐っこい所があるのでこちらもヴァルナの世話になることで気を引こう。
あと彼女の同級生のコーニアはもっと彼女に積極的にアタックしろ。
料理班では既に彼の片思いは周知の事実だ。
女の嗅覚を舐めてはいけない。
もう一人のロザリンドはかなり危険だ。
セドナと同じ特権階級のオーラを持ちつつ、どちらかといえば美人タイプで気立てもいい。かといって同級生と接する際にはお高く留まった空気を払拭する砕けた態度で接することもあり、既に相当数の男共のハートを掴んでいる。
何よりあのヴァルナに対する惜しみない羨望の眼差し……師弟愛と恋愛は別物とは言うが、年の差2年であればころりと恋愛に変じて可笑しくない。やはり、コルカも距離を詰めて存在感をアピールする必要がある。
ちなみにそれ以外で目下最大の懸念事項は研究院教授のノノカさんだ。正直、どういう感覚でヴァルナを気に入っているのか、そこに恋愛感情は介在するのか、全く読めない。愛情がなくともライクの感情で結婚してしまえるタイプかもしれないし。
しかも胸がコルカより大きい。
個人的に、割かしショックだった。
「それで、今日はその件なんですか? 正直そっち方面は料理班の先輩方が頼んでもないのに協力してくれそうな気がするんだけど……」
「恋愛指南はもちろんしてもらってますが、やっぱり男性の意見も取り入れたいなぁ、と。もう深刻な問題でして、若くて働き盛りな感じの意見が欲しかったんです!!」
「なるほど、そういえば相談役として俺は一番若いのか……うん、オッケー。話を聞きますよコルカさん」
「お願いします! というか、そんな敬語使われるとこそばゆいのでもっと砕けた感じでいいですよ?」
「そう……? まぁ、その方が喋りやすいならそうするよ」
さりげなく年の差を意識させないために敷居を下げる作戦、成功なり。
確かヴァルナくんの年齢が十七歳で、私は二十二歳。
まぁまぁの年の差である。
これまでの王国民の感覚としては年の差は愛の妨げには余りならなかったが、近年の時代の流れの加速によって年齢差は段々と無視できない条件になりつつある。詰める所は詰めなければ。
さて、ここまでに五月病を口実に近づく第一作戦、年齢の差を詰める第二作戦までが成功している。ここからは第三作戦だ。
「それでですね。やっぱりこの環境、料理でアピールは食糧事情的に難しいのでお菓子など軽めの食べ物が好まれると思うのですよ」
「ううん、確かに。プレゼントなんて用意する暇がないもんねぇ、ウチは」
「その点、私物の食材持ち込みと保存を許されている私たちは手作りお菓子や軽食を作れるというアドバンテージがあります! これを活かさない手はない!」
そう、娯楽の一種として料理班は個人的に食材を持ち込む許可を貰っている。他の騎士たちが任務で忙しい時にその食材でちょっとしたお菓子を作ってティーブレイクと洒落込むのだ。浄化場の保存スペースを一部改築して出来た冷蔵庫には、紅茶係や小麦粉係、ナッツ係など料理班の多くが互いに打ち合わせて一人当たりの食材持ち込み重量と照らし合わせており、最悪の場合には保存食として振舞われる。
……騎士団が料理班から買う、という形で。そこタダじゃないの? と思ったが、無料にするとルガー団長が食材を吐き出させる為に食材費をケチる可能性があるらしい。ろくでもないよ、この組織の長。
「どうでしょう、このアイデア!」
「その人の好みにもよるけど、いいと思う。俺たち騎士の戦いはしんどいからね。軽く食べられる物があると助かるし、焼き菓子なんかは多少は日持ちするし。俺らも時々差し入れを貰うことがあるけど、みんな普段苦労してるだけねぎらいがあると嬉しいもんだよ」
好感触だ。既知の情報でありヴァルナは甘いものも平気だというのは知っていたが、やはり本人の口から聞けば安心の度合いが違う。
……ちなみに差し入れを貰えるかどうかは料理班の好感度にもより、ヴァルナは好感度が高いので騎士団ではかなり差し入れを貰えている方らしい。
貰えない人は一切貰えないという。
人気者なんだなぁ、としみじみ思う。
冷静に考えると国内有数の人気者でも「貰えてる方」程度で済まされているというのも衝撃的だが。しかし、それはそれで差し入れの有難みが薄れにくくていいことかもしれない。
ポジティブに考えよう、ポジティブに。
「という訳でして、差し入れシリーズ第一弾、ナッツクッキー! の、試食をよろしくお願いします!」
「もう用意してる!? というか試食って、もう夜だし渡すの明日になるんじゃないの!?」
「明日焼けば問題ありません!」
「というか、試食ってそれこそ料理班の方が舌が肥えてるのでは……」
「ターゲットは若い男性なので、そちらに味覚を合わせないと意味ないでしょ?」
「俺の味覚とその人の味覚って近いのかなぁ。俺、甘いものは平気だけど濃ゆくてねっとりしたのは苦手だったりするんだよね」
「その辺も先輩方にリサーチ済みです! ヴァルナさんと私の狙いの人の味覚は極めて近いというデータが出ていますし!」
なにせ貴方のデータなので。
「ささ、夜に多めもよくないかと量は少な目にしてあります。どうぞどうぞ!」
「俺に近い味覚……誰だろ。カルメもキャリバンも違うのか? まぁいいや。では、いただきます」
ヴァルナが用意した大きめのクッキーを掴み、食べる。
さくさくと小気味の良い音とナッツのザクっとした音が静かな部屋に響き、うん、と彼は満足そうに頷いた。
「美味しい。歯ごたえもなんだか楽し気だし、甘すぎないし……」
「うんうん、それで?」
「でもサイズは一口で食べてしまえる方がいいかも。みんなものぐさだからね」
「そういうのもあるんだ。男の人は大きいのが好きかと思ってたけど、次から参考にしよっと」
「……あの」
「ん?」
「そんなにじっと食べてるとこ見られるとちょっと恥ずかしいんだけど。しかもなんか楽しそうだし」
「そりゃあ、試食とはいえヴァルナさんに食べさせる為のものでもある訳だし!」
そして本命もヴァルナに食べさせるものである。
というかこれが本命であるので、明日クッキーなど焼かない。余った分は料理班の皆と美味しくいただいている。なのでヴァルナが自分のクッキーを食べて美味しいと食べてくれるなら、それを見つめて幸せを感じることが当たり前だ。
照れながらもクッキーを食べるヴァルナ、それを見つめる自分。
二人きりで過ごす、ほんのり甘い香りの時間。
それは、料理班に入ったからこそ実現したときだった。
「あ、そうだ。俺のことヴァルナさんって言ってるけど、俺としてはそれもこそばゆいし、同僚みたいなものなんだから呼び捨てでお願いしていい?」
「えっ……その、うん。ヴァ……ヴァル、ヴァルナ――さん」
「あらら」
「ごめん、ちょっと照れくさくて……ようし、ヴァルナくんで行こう! ノノカさんもそう呼んでるし!」
思わぬ反撃に悶絶させられながらも、コルカは大人がするには少々甘酸っぱ過ぎる片思いを進行させていった。
相談終了後、「もう一回歯磨きしなきゃ」と独り言を言っているヴァルナに若干のショックを受けた。お菓子の名残りが洗い流されていくが、歯周病対策は大事なので「次からヴァルナくんの歯磨き前に持ってこよう」と一つ学んだ。
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