プレアデスの鎖を解け

作者 湊波

驚くばかりのスケール感と、言葉選びのセンス

  • ★★★ Excellent!!!

まずなぜにこの作品を読もうと思ったか。
それはこのタイトル「プレアデスの鎖を解け」が異常に格好良かったから。
そして、物語の根幹となるキーワード「懐古症候群」の「ルビ」が出てきた段階で、早くも唸りました。同時に「(私の直感は)間違えてない」とも思いました。

全体の雰囲気としては「恋愛」というか「恋愛のようなもの」を軸としたダークファンタジー。登場人物の殆ど全員が「感情を抑えて」いるのがすごい。その分、その中に立っている主人公・ラナが、鮮烈鮮明に映ります。もちろん、「抑えた」人物たちが霞んでいるかと言うとそんなことはまったくない。むしろ個性の塊のようなキャラクターばかりです。

また、文章全体に漂うコントラストがとても強い。たとえば青い夜霧の中で容姿もよく見えない者たちが戦う中、突然スポットライトが闇を引き裂いて全容を露わにするような。

漂う雰囲気は全体的に退廃的といえばそうとも言えるのですが、それだけじゃない。「石」の描写に代表されるように、どちらかと言うとモノクロで描かれた世界に、ピンポイントで色を落としている。それが逆にものすごい精度で視点を誘導してくる――アランの髪の色なんかもそうですね。EP2は特に「絵」がキーワードになっているので特にそう感じたのかもしれませんが、それすら狙って描き出された世界だというのならもう驚嘆の他ありません。

そしてしばしば出てくる「プレアデス」の文字列。
まだまだまだまだ、謎が謎を呼びそうです。

※EP2のラストまで読んでのレビューです

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