井上 桜 編

第58話 魔物討伐クエスト

桜はぶつぶつ言いながら自分はカタルシア城塞都市に向かっていると思っていた。


だがいっこうに都市が見えてこない。少し疑問に思ったが迷いはなかった。


そしてだんだんと何かが見えてきた。それは都市と呼ぶには程遠い木造の建物が密集している村のような所だった。


「あちゃ、進む方向間違えちゃったかも--まあとりあえずあそに行って情報収集しよかな」


桜はフェオラルの村に向かった。


「あ、ここ見た事あるような……ふ、フェ何とか村?忘れた!村人に聞いてみよ!」


桜は緊張感があまり無く好奇心がかなり旺盛なため行動力があり、知らない事や不思議な事にはすごく興味が湧いてしまう。


だがその反面飽きっぽいと言うのが欠点である。


「あ!すいません、ここの村の名前ってなんですか?」


「ここはフェオラル村だよ、君は見るからに子供のようだがどこから来たんだ?」


村人が桜に聞いた。


「私はカタルシアに行こうと思ったんだけど方向間違えちゃったみたい」


桜は笑いながら話す。村人がさらに話しをする。


「君は冒険者なのか?」


桜はうなずく。


「レベルは?」


村人がさらに問いかける。


「レベル2だけど、どうしたの?」


村人は少しガッカリしたが桜に話す事にした。


「ここ数年米の収穫期になると森から魔物が降りてきて米や一緒に育てている作物を食い荒らして行って国に納める分しかなくて私達の生活が苦しくてな」


「国に救援要請出てないの?ちゃんと話せば分かってもえそうだけど」


桜が答えた。


「何度か国には言ってみたが忙しそうでこっちに兵をよこしてくれないんじゃ……だがらお主に頼みたいのだが、レベル2でしかも1人ではなんともならなそうじゃな……呼び止めてすまん、忘れてくれ」


村人は残念そうだった。だが桜笑みを浮かべながら言った。


「その魔物私が倒すよ!楽しそうだし!」


村人はびっくりした。だが1人では難しいと桜に言ったが桜は大丈夫だと言って聞かなかった。


村人は桜の真っ直ぐな目を信じ桜にクエストを依頼した。


「ちょうど今が収穫期でしてあいつらは夕方にやってきます、なぜか村人達には手を出していかないんですよね」


村人が依頼内容の詳細を話し始める。


「それってなんか不思議だね?まあ作ってくれる者が居なくなったら食べれないから?魔物ってそんな頭良かったっけ?」


桜は首を傾げる。


「冒険者様、無理はなさらず危なくなったら逃げて下さい!」


「いやいや!私は勝つから大丈夫!心配してもらってありがとう」


桜はにっこり笑って答えた。


桜は夕方に向け戦闘の準備をしていた。


そこに村の女性が近づいてきた。


「冒険者様良ければこれをどうぞ!暖かいうちに」


それは村で採れた野菜のたくさん入ったスープだった。これには桜は嬉しくてがっついて食べ始めた。


「ありがとう!これすごく美味しいよ!絶対魔物倒すから!」


村の女性は涙を流し桜に頭を下げた。その時森の方角から音が聞こえた。


フェオラル村から森までは離れているためそこまで気にする音ではなかった。


「何この音?魔物でも暴れてるのかな?まあいいけど」


桜は優しい村人達のため絶対依頼を成功させると誓った。

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