真矢 桜 ルート
第37話 常に危険と向かい合わせ
2人はカタルシア城塞都市に向かって歩いていた。
グライスト王国から歩いて……何日かかるかなどわかる訳が無い。
なぜならゲームでは大抵都市から都市に移動する時はワープするか、モンスターに騎乗して向かうかの2択だからである。
ただ分かっているのはカタルシア城塞までの道のりだけだ。
「カタルシア城塞まで歩くって結構大変だね--真矢、大丈夫?」
桜が真矢を心配そうに見つめる。
「う……うん大丈夫、頑張って歩くね」
「いやいや無理しなくていんだよ!休み休み行こうよ」
誰が見ても真矢が無理をしている事がわかる。
(葉留がいない分私がしっかりしなきゃ!)
と桜は心に決め真矢のペースに合わせてゆっくり歩いて行った。
グライスト王国からカタルシア城塞までには大砂漠を越える必要がある。2人が居るのは今まさに大砂漠である。
ゲームではただ通るだけだが当然砂漠は猛暑、喉が乾くのが当たり前だ。だがそれを忘れていた2人は何の準備もせず砂漠に入ってしまった。
「はあはあ……み、水」
真矢は脱水症状になりかけている。
砂漠で水を持参しないのは自殺行為である。
「このままじゃ共倒れだよ!この近くに水場……あっ!確か大砂漠には小さいけどオアシスがあったはず!」
桜はゲームプレイ時の記憶を必死に思い出しオアシスのある場所を探した。
すると遠くに緑色の場所があるのを見つけた。
「たぶんあそこがオアシスだよ!真矢、もう少しだから頑張って!」
「うん、急ご」
ようやくオアシスに辿り着いた。そこは砂漠で唯一地面から水が湧き出ている場所。
2人は勢いよく水を飲んだ。
「生き返った!!」
桜は水を飲んだことで復活した。
「水ってこんなに美味しいんだね!」
真矢も水を飲んだ事でだいぶ調子が良くなった。
が、真矢に異変が起きた。
立ちくらみや突然視界がぐるぐる回りだし地面に倒れてしまった。
「真矢!しっかりして!……もしかして脱水症状!」
桜は真矢を仰向けにし、自分の衣服を剣で5等分ほどに適当に切り、それに水を含ませ首、脇などを集中的に冷やした。
「確かこんな感じだった気がする、テレビで見ただけだから正確かわからないけど」
歩き続きで桜も疲れていたため真矢の隣で寝ようとした。
が、ここは砂漠唯一の水源、来客は人間だけとは限らない。
何かの足音に桜は気が付き立ち上がって周りを見回した。
まだ距離はあるが確実にこちらに向かってくる獣がいた。
砂漠のハンターデザートウルフである。
1匹の強さはさほど大したことはないがデザートウルフは群れで活動するため数におされ負ける者がかなりいる。
「デザートウルフか……1、2、--10匹は軽くいる……私1人で倒せるか微妙」
ここにいては真矢を巻き込んでしまうためオアシスから離れてデザートウルフの群れを迎え撃つことにした。
「なんか前も誰かをかばいながら敵の群れを相手にしようとしてた気が……」
邪龍戦の恐怖が蘇り戦う覚悟が出来ずにいた。
その間にデザートウルフの群れは少しずつオアシスに近づいていく。
「くっ……私が真矢を守らなくちゃ--あの時みたいにランスが助けてくれる事はない」
(私が……私がやらないと……ここであいつらを倒さないと……私が1人でやらないと!!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます