第35話 困惑

2人は階段から衛兵が交代時間になるのを待っていた。


「まだ時間あるし君の身体触っても--」


すると食い気味に葉留が。


「だめですよ!集中してください」


「君は真面目くんだな〜まあそこが良いんだけどね」


ルナは残念そうだが余裕なのか表情は笑顔だった。


その姿を見た葉留が疑問に思う。


(この人は犯罪者の俺を逃がそうとしてるのになんでこんな余裕なんだ?もしかして後で裏切って俺を捕まえて自分の手柄にする気なのか?)


色んな事を考えていると衛兵の交代時間が来た。


ルナの言った通り次の見張りの衛兵を呼びに複数の兵がいなくなった。


だが残りの見張りは3人。


若干の誤算が生じたがルナは笑顔を崩すことなく余裕そうにしていた。


「見張り3人だったね(笑)私が2人やるから君は1人を相手にして」


葉留は一言。


「わかった」


「じゃあいくよ!」


2人は一斉に飛び出し衛兵に攻撃をしかけた。


いきなりの敵に衛兵は驚き、武器を取るのが遅れた。


その隙に葉留はスキルを発動させた。


「スキル!パラライズエッジ!」


鎧越しでもパラライズエッジは効き衛兵は痺れ倒れた。


「ごめん……少し眠っててくれ、アタックスタンス」


アタックスタンスでパワーの上がった状態で右の拳で思いっきり衛兵の腹部を殴りつけた。


殴られた衛兵は気絶した。


1人を倒した葉留は急ぎ援護に向かおうとしてルナを方を振り向いた。


そこには既に2人の衛兵が気絶してる光景があった。


「え?もう倒したのか?」


「ふふふ、これくらい余裕よ」


ルナがどのような手段で倒したのか気になったが詮索する時間がないため先を急ぐことにした。


「で、ここからどうするんだ?」


「ここから真っ直ぐ外に出たい所だけど、あいにく兵が多すぎるから1度私の部屋に行きましょ」


「王宮内にお前の部屋があるのか!なんかすごいな!」


「別に普通よこれくらい--さあ先を急ぐよ」


2人はルナの自室に向かった。


 途中兵士が彷徨いていたが隠れながら進みなんとか部屋にたどり着いた。


ルナは自分の部屋のドアを開け中に入った。


部屋の中を見た葉留が。


「おお、これが女性のへ……や」


部屋の中を見渡した葉留はあまり女性っぽい部屋ではないなと思った。


そしてもう1つ、普通の兵士の割に部屋がかなり広い。


「広くて立派な部屋でしょ」


「俺の部屋の何十倍もある--羨ましい」


葉留は部屋を見渡していた。


それを見たルナがゆっくり話し始めた。


「ここは防音で外には絶対に音が漏れない仕組みなの--この意味が分かるかしら?」


ルナは不吉な笑顔で葉留を見つめた。


ルナに見つめられた葉留は色んな意味で緊張していた。


「あっ、もしかして変な想像させちゃったかしら?そういう事はしないから安心してね」


それを聞いて自分はなんて事を考えてたんだと赤面した。


「へ……変な事なんて考えてないし!」


「そう、残念」


「そんでこれからどうするんだ?」


「そうね、あなたはここで私と生きる為の授業を受けてもらうわ!」


葉留はルナが何を言ってるかよく分からなかった。


ここから助けてくれると信じていたルナの策略にまんまとハマった気がした。


「どういう事だよ!ここから脱出させてくれるんじゃなかったのかよ!」


葉留の怒りの口調にルナは笑った。


「何を言ってるの?弱いあなたがここから出られるわけないでしょ?」


葉留は意味が分からなくなっていた。

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