伝説‥65話〜カルラ・ニキス
ここはトパーズの街。クレイ・ディオンとマリリンはお洒落な喫茶店風の店で軽く食事をしていた。
「マリリン。俺はこういう店は慣れとらんから苦手なんや。」
「ふぅ〜ん、そうなのね。確かに見た目からしてもクレイには似合わないかもね。」
「……マリリンあのなぁ。はぁまぁええかぁ。どうせ食べるんなら、こんなこじんまりした食事やなく、ガッツリ食べたいんやけどな。」
そう話をしていると見た目30代後半ぐらいの小柄な女性がクレイとマリリンに話し掛けてきた。
「あら、この辺では見ない顔ですね。もしや旅のお方ですか?」
「はい。そうですが。」
「そうなのですね。あっ、申し遅れました。私はカルラ・ニキスと申します。」
「俺はクレイ・ディオン。カルラさんかぁ。素敵な名前ですね。」
(ん?カルラ・ニキス……どっかで聞いたような名前なんやけどなぁ。)
「私はマリリン・ハーブです。」
(カルラ・ニキスって、確かアイネさんが言っていた人のはず。でも、なんで私達に話し掛けてきたんだろう。)
「そうそう。少し話をしても構わないかしら?」
「それは、構いませんが。」
「単刀直入にお聞きしますが。お2人はご夫婦でしょうか?」
クレイは紅茶を飲んでいたが、そう言われ吹いてしまった。
「ケホケホ、ちょっと待て。夫婦って、それは流石にない。」
「確かにね。クレイとは夫婦でも、カップルでもなく。ただの旅の仲間です。まぁよく言えば、幼馴染みたいなものかな。」
そう言われクレイは少し落ち込んでいた。
「あら、そうなのですね。これは失礼しました。余りにも仲が良いように見えましたので。てっきりご夫婦かと思ってしまいました。」
「あのぉ。カルラさん話ってそれだけですか?」
「あっ、いいえ。実は先程街を歩いている時に、クレイさんを拝見し、かなり鍛えあげられていらっしゃるなぁと思い見惚れておりました。それで、もし長旅でなければ、私どもに協力して頂けないかと思ったのですが。」
そう言われ、クレイは飲んでいた紅茶を再び吹き出しケホケホとむせった。
「あら?先程からどうされましたか。何処かお身体でも悪いのですか?」
「あっ、大丈夫です。ただ、飲んでて間違えて器官に入っただけです。」
「それならばいいのですが。それで、どうでしょうか?」
「カルラさん。協力はクレイだけですか?」
「そうですね。出来れば人数は多い方がいいのですが。マリリンさんはお強いのでしょうか?」
「私が強いかは自分では分かりません。……てか、クレイ私って強いのかな?」
「そうやな。お前は俺よりは弱いと思うけど、大男ぐらいは軽々と投げ飛ばせるんとちゃうか。」
「ク、クレイ。いくらなんでも大男は投げ飛ばせません!」
「クスクス、そうなのですね。それともう一つお聞きしますが。お2人だけでの旅でしょうか?」
「いいえ。今はたまたまクレイと2人で歩いてますが。後3人旅の仲間がいます。」
「そうなのですね。その方達もお強いのかしら?」
「ああ、そやな。強いのは強いけど、その3人の中に俺より強い奴が1人おる。」
「クレイさんより強い方がおられると……それは心強いですわ。」
「てか、カルラさん。俺もマリリンも、あんたに協力するとは、まだ言うとらんで。」
「あら、そうでしたわね。では、協力して頂けますでしょうか?」
「カルラさん、その返事をする前に聞きたいんですが。協力って、カルラさんの何に協力するのですか?」
「そうそう。その事を話さなければなりませんでしたね。」
カルラは少し間をおき、
「実は、このところ私どもが管理している、ある偉い方の別荘付近で、怪しい人影を数人見ており以前より警戒を強化しております。それでもしもの場合を想定して、強い旅の方にこうやってお願いして歩いております。」
カルラの話では、現在ジルベイムの屋敷の警戒は旅の強者達と各地から集められた者達と、元々屋敷の警備をしていた者達の寄せ集めだった。
「なるほどな。怪しいやつか。それは確かに心配やな。」
(今思い出したけど。このカルラさんはシェルズ城に協力している者の1人。となるとどうする?まさか向こうから声を掛けてくるとは思わんかったからな。)
「ねぇ。クレイとりあえずミク達と相談してからの方がいいと思うんだけど。」
「ああ、そやな。カルラさん。マリリンの言う通り、仲間と相談した後に決めようと思うとる。」
「分かりました。それならば、そうですね。明日ここでまたお会いできるかしら?その時に返事を聞かせて頂きたいと思うのですが。あっ、そうそう報酬はそうですね。1日10万ジエムと泊まる部屋と食事を付けたいと思います。」
「随分といい報酬ですね。ですがやはり仲間と相談して決めたいと思います。それでは、また明日ここでという事で。」
そう言うとカルラは頷いた。クレイとマリリンはカルラに会釈をし宿屋に向かった。
そしてカルラは、それを確認すると店を出てアジトに向かった。
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