伝説‥64話〜激怒と情報収集とこだわりと
ここはシェルズ城。アルベールとジルベイムはリュウキ達に策をことごとく打ち砕かれ怒りを露わにしていた。
そうアイネがシュウ達からダルナドを拐い連れてくるはずが捕まった事。
そして、その後アイネが捕まった時を想定して、アイネの口封じとダルナドを拐う事と次の召喚をする為シュウ達の抹殺を図る為、ダリオスを送るも捕まり失敗に終わった事。
アルベールの側近である、リフィアもオパールに送り、召喚魔導師を捕らえ、召喚された異世界の者を捕らえるはずがそれも失敗に終わり怒っていた。
アルベールはイライラしながら玉座に座り、ジルベイムはそれを見てビクビクしながら床に片膝をつき話をしていた。
「ジルベイム!?これはどういう事だ!何故こうも上手く行かぬのだ!!」
アルベールはジルベイムを見下ろし睨みながら、怒りを露わに玉座の肘掛を左拳でドン!と叩いた。
「ア、アルベール様。申し訳ありません。策は間違いなく万全だった筈なのですが……。」
「それなら何故だ!何故失敗した!」
「策は万全でしたが、思いのほか勘が鋭く強かった為……かと。」
「ならどうする!このままにしておく訳ではないだろうなっ!」
「はい!勿論そのままにするつもりはありません。」
「なら、新たな策は練ってあるのだろうな?」
「勿論でございます。」
そう言うとジルベイムはアルベールに策案を話した。
そして、アルベールはジルベイムにその策を実行するように指示を出した。
その後アルベールはジルベイムが玉座の間から退座すると色々考えていた。
アルベールは封印された城で数十年の月日を過ごし現在36歳を迎えた。そしてやっと数年前、念願の封印が解けた。
かつてこの城が封印され隠れ生き残った子孫達と城に仕えていた者達が、代々この城の封印を解く為、凡ゆる方法を試し探し出した。
そして、アルベールの代でその方法を見つけ出した。召喚魔法を使い封樹を召喚した後、そこに強力な解除魔法が込められた赤い魔石が埋め込まれている腕輪を翳し詠唱することで封印が解けた。
アルベールは自由になったが、城が封印され外の世界を知らず死んでいった先代達の無念、それと過酷な境遇のせいもあり、それだけでは満足出来なかった。
その為、自分の力を示し領土を増やし、かつて自分の祖先が異世界の者達とこの世界の者……いや、オパール家等の者達に倒され城を封印された事に対し復讐しようとしていた。……要は逆恨みである。
場所は移り、ここはトパーズの街。ミクはジルベイムの屋敷を探る為、この街の近隣の森に向かった。
シュウとグラディス、クレイとマリリンの二手に分かれ、市街地に出て情報収集を始めた。
そしてシュウとグラディスは何か情報が聞けるのではと酒場に来ていた。
そして2人はテーブル席に向かい合わせで座っていた。
「シュウ。ミク1人で本当に大丈夫なのか?」
「グラディスさん。おれも本当は心配なんだが、今はミクに頼るしかない。それに俺達が行っても足を引っ張るだけだと思うんだ。」
「なるほど。確かにそうかもしれんな。」
そう話していると酒場に数名の男女が入って来てシュウの後ろのテーブル席に座り話し始めた。
男1「なぁ。本当にあの人達を信用して大丈夫なのか?」
男2「さあな。だが俺達は、リベルドのいう事を聞いているしかないだろう。奴を信用すると決めたんだからな。」
その話が聞こえてきてシュウとグラディスは小声で話し出した。
「……グラティスさん。俺の後ろの連中の話し聞こえましたよね?」
「ああ、聞こえてきた。確かリベルドという名はアイネが言っていた名だったはず。そうなると少しここでこの連中の話を聞いていた方が良さそうだな。」
そう言うと何気ない素振りで、シュウの後ろの者達の話に聞き耳を立てていた。
その頃、ミクはシーフのスキルを使い姿と気配を消し、ジルベイムの屋敷に侵入していた。
(侵入したのはいいけど……こうも広いと何処をどう探ったら良いのか分からないのら。とりあえず見つからないように進むしかないのら。)
ミクはそう思いながら広いジルベイムの屋敷の中を、気付かれないように警戒しながら進んでいった。
場所は移り、ここはオパール魔導師学園の寮。リュウキはひたすら時計塔の上の修理とテラス付近の修理をしていた。
クロノアはルナ達と寮の壁と屋根の修理を分担してやっていた。
「ふぅ、流石に疲れたわねぇ。そろそろ休憩にしたい所だけど。リュウキはまだやってるみたいねぇ。」
そう言うとクロノアは時計塔の方をみた。
「本当ですね。リュウキって見た目や言動とは違い、意外と真面目なんですね。」
「ルナ……真面目ってのは違うと思うけど。確かに夢中になると周りが何も見えなくなるタイプなのかもねぇ。それに見てるとかなりこだわって修理してるみたいだしね。」
そうリュウキは1人で時計塔の修理をしていた。それも以前よりも頑丈に尚且つおしゃれにこだわり作ろうと思い、思った通りに仕事が捗るので、1人の方が良いと言い出し朝から昼までやりお昼休憩をし、また昼から夜にかけてひたすら修理をしていた。
「ねぇ。そろそろ休憩しにゃい?流石に疲れたにゃ。」
「そうねぇ。リュウキは多分お腹が空かないと声を掛けても夢中で聞こえないと思うしねぇ。今日も私達だけで休憩しよっかぁ。」
そして、クロノアとルナ達は寮の喫茶室に向かい休憩を取る事にした。
リュウキはクロノアの言う通り、夢中になりひたすら無言のまま額に汗をかきながら修理をしていた。
(流石にここんとこ昼まで夢中に修理していたせいと、修理の為に身体を強化してたのもあり、思っていたよりも反動がきつく、あちこちが痛くなってきている。休憩したい所だが、まだ自分にかけた強化スキルが効いてるしな。……てか、こんな事を考えてる暇に早く修理終わらせねぇとぉ……。)
そしてリュウキは更に速度を上げひたすら修理をしていた。
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