伝説‥62話〜過去に残されし言葉
ここはオパール城の謁見の間。ロウディは続きを話していた。
「先程も話したが、3人の異世界の者達が城の封印をしてから数十年後、城の封印が解け紅黒の龍邪神達は、今いる城にシェルズ城と名付け拠点にし動き出した。そして、自分達の意のままに忠実に動く者だけを城に招き入れ復讐を果たす機会を伺いながら準備を着々と進めた。その時我が祖先ラクティスは王となり仲間達と共に国を作りオパール城を建て盛り立てていた時だった。」
ロウディは少し何かを考え間をおいた後、更に話し出した。
「…… そしてその数年後、ラクティス達は封印されているはずの城の封印が解けている事に気付き皆と相談をした。そして、再び異世界の者達を召喚しようという事になり、正規の召喚場所から1人、数十年前に臨時に作られた2ヶ所の祭壇から2人、異世界の勇者を召喚した。だが、その時には既に紅黒の龍邪神達は、そして、シェルズ城の者達は事を起こす為に着々と準備を整えていた。そう奴らは城の地下にマナの満ち溢れている場所を見つけそこに祭壇を作り、異世界の者を1人召喚していた。」
「ん〜、そうなると俺達が召喚された場所って、その祭壇って事になるんですか?」
「シュウ。うむ、そうなのだろうが。正確に言えば、シュウ達が召喚された祭壇は、新たにその場所に作られたと言った方がいいかもしれんな。そして、その異世界の者は、シェルズ城の者達のいう事を信じてしまい事を起こそうとした。だがしかし、ラクティス達が召喚魔導師達に召喚させた異世界の者達は、シェルズ城で召喚された者と知り合いだった為、どちらの言っている事が本当なのか迷い異世界の者同士話し合った。そして、判断に困りお互い探りを入れ判断しようという事になった。」
(なるほどな。確かに状況が分からない状態じゃ、そうなるだろう。しかし、ずいぶんと慎重な奴らもいたもんだな。まるで、俺の知ってるあの人達みたいだ。でも、まさかな……。)
リュウキはその話を聞き考えていた。そしてリュウキが昔、あのゲームを始めた頃に色々と教えてくれた人達の事を思い出していた。
(それにしてもシズヤさん達だけだと思ってたけど。他にも慎重に行動する人達もいるんだな。)
シュウは昔のゲーム内のフレンド達の事を思い出していた。
「…… ラクティス達が召喚させた者達とシェルズ城で召喚された異世界の者は気付かれないように城内を探り慎重に調べ、どちらが正しい事を言っているのかを理解した。そして、異世界の者達はシェルズ城の者達を倒し、地下の祭壇を破壊すると、紅黒の龍邪神達に関する物を探し処分しようと探したが見つからなかった。それならば城の封印だけでもと考え、今度は簡単に解けないように、強力な封印を施した。と、いう事だ。」
「なるほどね。でも、その話を聞く限りだと2人とも倒されたという事は、子孫を残すのは無理なんじゃないのかな。」
「うむ。クロノア。確かに倒された後では無理だろう。子孫を残せたとすれば、倒される前と考えた方が良いだろうな。」
「確かにそう考えるのが普通だよな。そうなると、シェルズ城の何処かに母親と子供が隠れていた。そして、城ごと封印された。って事になりますよね?」
「ああ。シュウ、そうなるだろうな。恐らくその時既に、紅黒の龍邪神達の子供達が数名いて、母親と他の者数十名の者達と気付かれないように城の地下に隠れていたのだろう。そして、ここ数年前に城の調査を行った際、シェルズ城の封印が解けている事に気付き監視させていた。だが今回奴らは、我々の監視の目を掻い潜り事を起こす為、異世界の者達の召喚を行った。」
「それは分かりました。ですが、俺達異世界の者を嫌う理由が、そのシェルズ城の人達のせいだとしても、その話を聞く限りだと、他の異世界の人達はちゃんとしてたように思えますが?」
「うむ。リュウキ、確かにそうなのだがな。その封印をしてくれた者達が、元の世界に帰る時に言い残した言葉が代々残されていてな。そこに書かれていた言葉とは、【人を先ず疑って掛かれ、そいつが本当に信用出来る奴であればトコトン信じろ、そして、異世界の者でも良いやつばかりいるとは限らない……】と、書かれていた。」
「はぁ。かなり慎重な人達だったみたいですね。」
「ああ、シュウそうだな。だが、間違った事は言っていないと私は思っている。」
「その人達の言っている事は、分からなくはないけど。俺だったら、多分その人達とは仲良くなれそうにない。現に過去に、同じような性格の人達と喧嘩して、その人達がいたギルド抜けて自分のギルド作りましたから。」
リュウキはそう言うと下を向きその時の事を思い出していた。
「ふむ、なるほど。確かにこの言葉は人によっては受け入れ難いものかもしれぬな。さて、そろそろ話はここまでとし、先程言った通り、リュウキとクロノアと見習い魔導師達は、直ちに魔導師学園の時計塔と寮の修理に取り掛かれ。そして、残りの異世界の者達には、今後の事と奴らの事に付いて話を進める。……以上だ!」
そう言うとロウディは玉座から立ち側付きの者がそれを見て近寄り、一緒にその場から離れ謁見の間を後にした。
そして、ナルザスはそれを確認すると、グラディスにリュウキとクロノアと見習い魔導師達の監視をするように言った。
アイネとリフィアとダリオスが逃げないように監視をしながら引き連れ、ナルザスは兵士達と共にこの場を離れ牢に向かった。
その後、ダルナド達は一旦魔導師学園の寮に戻り、リュウキ達はグラディスの案内で、城に用意された部屋に向かった。
そして、この時シェルズ城の王アルベールは、シュウ達にしてやられ怒り狂い、事を起こす為の更なる策を、城の者達と共に考えていた。
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