伝説‥56話〜世界観の違いと他愛もない話
ここは寮の医務室。リュウキはクロノアとミクとアリーシアにこの3日間の事など色々と聞いていた。
ナルザスとグラディスは扉越しで中の様子を伺いながら話を聞いていた。
「グラディス。リュウキは起きたようだ。あの様子ならば1週間後、城に来れそうだな。」
「そうですね。本来、何事も無ければ、シュウと2人でエイリスの救出に赴くはずだったのですが。」
「グラディス。私はその事についても、1週間後の話し合いでどうするか決めようと思っている。」
「ナルザス様。分かりました。エイリスの事は、心配ですが。アイツらも馬鹿では無いはず。そう簡単には、切り札となるエイリスは殺さないはずです。ただ、気になったのは、何故私の息子のダルナドを拐おうとしたのか?その事について色々と考えてみたのですが、どうしても分からないのです。」
「確かにな。ダルナドの事を少し調べさせてもらったのだが、魔法学の方の成績は良いようだな。」
「ダルナドがですか?まさか……もしそれと何か関係があるとして、何の為に……。」
そして、ナルザスとグラディスはその事を少し話した後、この場を離れていった。
場所は移り、ここはオパール城。シュウ達3人は城内に各自用意された部屋にいた。
あれからシュウ達は、ダルナド達とこのオパール城に赴き事情を説明した後、ひとまずここにとどまるように言われ待機していた。
シュウは1人部屋のベッドの上に座り色々と考えていた。
(あれからリュウキの所に行ってないが、アイツ大丈夫なのか?グラディスさんの話だと、まだ目が覚めないと言っていたが。)
すると、扉が開きクレイが入ってきて、シュウの前まで来ると、
「シュウ。部屋は綺麗でええんやけど、なんか落ち着かへんなぁ。それに、監視されとるから余計やな。」
「ん?ああ、そうだな。今は大人しくしていた方が良いんだろうが、2日もここから出れないんじゃ、クレイの言う通り落ち着かない。それに、リュウキの事も気になるしな。」
「確かにな。リュウキの情報はグラディスさんから聞いとるけど。まぁ、クロノアはともかくとして、ミクがおるから大丈夫やと思うけどな。」
「クレイ。クロノアがそれ聞いたら何て言うだろうな……。」
そして、シュウとクレイはしばらく色々と話をしていた。
一方マリリンは、部屋に居ても退屈な為、暇つぶしに城の中を探索していた。
(あ〜あ。暇だなぁ〜。何か楽しい事ないかなぁ。)
マリリンはそう思いながら、奥へ奥へと進み歩いていると、右側の部屋から話し声が聞こえ立ち止まった。
(……この部屋に誰かいるのかな?)
マリリンは悪いと思いながらも、気づかれないように扉越しに聞き耳を立ててみた。
すると、中から数名の者の声が聞こえてきて、
女「……ねぇ、大丈夫なのかしら?この城に異世界の者達がいるらしいけど。」
男「そうらしいな。ナルザス様やグラディス様の話だと、俺達に危害を加えるわけじゃないらしい。」
男2「だとしてもな。実際会って話をしていないからかもしれないが……どうも怖くてな。」
(そうなのか。私がこの世界に来て不安で恐れているように、こっちの世界の人達は、私達の事を知らないから怖いんだね。だとすると下手に歩き廻らない方が良さそうだよね。)
マリリンはこれ以上聞かない方がいいと思い、その場を離れ自分の部屋に戻っていった。
場所は移り、ここはオパール学園の寮。ダルナド達5人はアリーシアの部屋でアリーシアが戻ってくるのを待ちながら話をしていた。
「ダルナド。にゃんでこうにゃったのかにゃ?」
「お城の人達に聞かれた時にな。何て説明したらいいのかな?」
「……ユリニャに、ゲルドフ。何て説明したらいいのか……アリーシア達が異世界の人達の召喚に向かった後なんだけど。臨時で来ていた魔法学の先生……えっと、誰だっけ?」
「ジェフ先生かにゃ?」
「あっ、そうそう。ジェフ先生に魔法学の事に詳しい人がいるから紹介してくれるって言われ、その人の所に行って色々話をしてたんだけど。何故かアリーシア達の話になって、その人からジルベイムが優秀な召喚魔導師を探しているからって誘われて……。」
「なるほどなんだな。それで俺達もって事になったんだな。」
「うん、そうなんだ。2人共本当にごめん!まさかこんな事になるなんて思ってなかったんだ……。」
ダルナドは申し訳なく俯向き涙目になっていた。
「それにしても、ダルナド達が連れて行かれた城って、いったい何なのでしょう?」
「ルナの言うように。俺も、もう一つ城が存在するなんて聞いた事がない。」
「ディアス。そうなんだけど、僕とユリニャとゲルドフは確かにその城に行った。それに、父さんとナルザス様は知っていたみたいなんだ。」
「そうだとすると。国でその城の事を隠していたという事になるよね?」
「うん、そうだと思う。」
そして、ダルナド達はしばらく、その事やお互い自分達に何が起きたのかを話していた。
場所は移り、ここは寮の医務室。リュウキはクロノアとミクとアリーシアと話をしていた。
「……そういえば、シュウ達は今城にいるのか?」
「うん、そうみたいよ。多分1週間は、あの中で缶詰なんじゃないかな。」
「そっか。城の中か……でも、ここで寝てるよりは遥かにいいように思えるんだが。」
「確かにそうなのら。私も1度でいいから城に住みたいのら。」
「ん?ねぇ、もしかしてだけど。リュウキ達の世界にはお城はないのかな?」
「城か、あるのはあるんだが……どうなんだろうな。恐らく、こっちの世界の城とはかなりかけ離れているんじゃないのか。」
「そうなんだね。リュウキ達の世界の城って、どんな城なんだろなぁ。」
そして、リュウキ達は他愛もない話をしばらくしていたのだった…。
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