第2章〜冒険の始まり
伝説‥55話〜経過と目覚め
ここは魔導師学園の寮の医務室。あれからリュウキは、時計塔の下にいるクロノア達の後ろの方に龍を着地させ術を解くと、両膝をつき音もなく前に倒れ込み気を失った。
クロノアはそれを見て慌てて駆け寄り、リュウキの頬を数回叩き身体を揺さぶりながらひたすら呼びかけていたが起きる様子はなかった。
それを見たグラディスは、冷静になれとクロノアをなだめると、リュウキから引き離した。グラディスはリュウキの身体に触り状態を確認するなり、シュウやクレイと共にリュウキを急ぎ医務室に運んだ。
リュウキは、爆大な量の魔力を使い身体に大きな負担を負い、尚且つ大怪我をしていたにも関わらず両手を酷使したせいで倒れたのだ。
あの後、シュウとクレイはリュウキの様子を見た後、グラディスのテレポートで一旦アクアメノスの宿屋に戻った。
グラディスは時計塔で起きた事とリュウキの事を伝えるとミクの顔が青ざめ、グラディスに頼みオパール魔導師学園に向かった。
そして、シュウとクレイはナルザスに聞かれ誰が何の為にシュウ達3人を召喚したのか、そしてここアクアメノスで何が起きたのか、アイネの事やダリオスの事などを話した。
ナルザスはその事を聞き魔導師学園の時計塔で起きた事も踏まえ報告する為、急ぎ城に向かう事にした。
アイネとダリオスとダリオスの配下の者達は、ナルザスが街の警備兵にオパール城まで連行するようにと指示を出し、数名の警備兵が宿屋にきて連れていった。
その後、シュウ達はマリリンが目を覚ますと、ダルナド達とオパール城を目指した。
そして、リュウキを襲い負け、その後逃げようとしていた所をミクに気絶させられ眠っていたリフィアは、リュウキを医務室に運んだ後、クロノアがグラディスにいい、城の兵士を呼び連行していった。
そして3日が経ち、ここは魔導師学園の寮の医務室。リュウキは未だ目を覚ます気配はなかった。
クロノアとアリーシアとミクと交代でリュウキの看病をしていた。
クロノアはリュウキの顔をじっと見ながら、
「……リュウキ。何で目が覚めないわけ?あれから、もう3日も経っているのに……。」
(……グラディスさんの話だと、魔力の使いすぎと大怪我をしているにも関わらず、無理をしたせいで回復するのに時間がかかっているんだろうって言ってたけど……。)
するとリュウキはモゾモゾと身体を動かし寝言を言い出した。
「むにゃむにゃ……リヴィアちゃん。ん〜、やっぱり魔王の服より、メイド姿が1番だよ。むにゃむにゃ……。」
「リュウキ?リヴィアっていったい誰?魔王の服に、メイドの服って……どんな夢見てるのよ!てか、身体動かしてたし、そろそろ目を覚ます頃かな?」
クロノアはリュウキの顔を覗き込んでみた。
リュウキはまだ何かブツブツと言っているようだった。
クロノアは耳を澄ませると、
「……クロノア……アイ……。」
「ん?アイって……今度は何を言おうとしてるわけ?」
(んー、アイ……アイコン?それとも、いやこれはないな。流石に愛してるはないよね。)
クロノアはリュウキが何を言っているのかを聞いてみた。
「クロノア。アイテムぐらいちゃんとそろえておけよな……ん〜むにゃむにゃ……。」
(はぁ?アイテムって……それより、私は何を期待してるんだかぁ。)
クロノアは何する事なく、しばらくリュウキを見ていると、アリーシアが部屋に入ってきた。
そして、クロノアの側に来ると、
「ねぇ、クロノア。リュウキの様子はどうなのかな?まだ目を覚さないのかな?」
アリーシアはリュウキを覗き込んだ。
「うん、まだ目を覚ます気配はないけど。さっき訳の分からない寝言を言ってたけど。ん〜、どうなのかなぁ……。」
「そっか。あっ!そういえばね。お父様からの伝言なんだけど。ダルナド達とダルナド達が召喚した人達が城に到着したから、クロノア達にも色々と話を聞きたいから1週間後に城に来て欲しいって言ってたよ。私達も呼ばれているんだけどね。」
「事情聴取ってわけか。まぁこんだけの事をしたんだから、そうなるだろうけど。アリーシア達も呼ばれたって事は、私達を召喚した事についてもって事なのかな?」
「うん、そうみたい。でも、お父様の話だとそれだけじゃないみたいだけどね。」
「ん?それはどういう事なのかなぁ?」
「ん〜、何かね。ダルナド達の召喚と私達の召喚が余りにもタイミングがよすぎるって事が気になるらしくてね。」
「そっか。確かにシュウ達と私達の召喚のタイミングがよすぎるね。ん?そういえば……。」
そして、クロノアとアリーシアがそう話をしていると、
「ふぁ〜……良く寝たぁ。ん?ここは、まだ夢の中なのか?……にしてもリアル過ぎるしな。」
リュウキは上体を起こし背伸びをすると辺りを見渡した後、クロノアとアリーシアを見るなり、
「……てか、やっぱりこれは夢じゃねぇよなぁ。」
クロノアとアリーシアは、声がしたのでリュウキの方を向くと、
「リュウキ!良かったぁ。やっと起きたんだね。ミクにも知らせてくるね。」
アリーシアは、ミクにリュウキが目を覚ました事を知らせに向かった。
「やっと、起きたみたいねぇ。」
「ん?ああ、そういえば、俺はどのぐらい寝ていたんだ?それにさっきの話だが、1週間後に城に行くって……。」
「リュウキ、あのねぇ。アンタは3日間寝てたのよ!それと、さっきの話を寝ながら聞いていたみたいね。」
「ん?ああ、途中からだが聞こえてきてな。」
「そっか。それじゃだいたいの話の内容はわかるわねぇ。」
「何とかな。だが、クロノア。さっきの話を詳しく聞きたい。それとあの後どうなったのかもな。」
クロノアはリュウキに、あの後グラディスとシュウとクレイがリュウキをここに連れてきて治療した事とか、その後ミクが来てその治療を手伝っていた事とか、そして、この3日間ミクとアリーシアと自分と交代で看病していた事と、さっきアリーシアが言っていた事を詳しく話した。
「……て事なわけよ。でも、良かった。このまま目を覚さなかったらどうしようかと思ったけど。これなら1週間後には、城に行けそうねぇ。」
「ああ、そうだな。そっか、3人で看病してくれてたんだな。クロノア、ありがとうな。」
「あっ!ううん、それは大丈夫だけど。」
するとミクが慌ただしくアリーシアと共に医務室に入ってきた。ミクはリュウキの側に来るなり、
「リュ、リュウキ〜!目が覚めて良かったのら。」
「ああ、ミクにアリーシア。心配かけてすまなかった。」
そして、リュウキはしばらく4人で色々と話をしていた。ナルザスとグラディスは扉越しで中の様子を伺っていたのだった…。
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