伝説‥54話〜獣の笛
ここは魔導師学園の時計塔のテラス付近。クレイ・ディオンは遥か上空を眺めていた。
(さて、ここを登らなあかんって事やんな。まだ、強化の方は大丈夫そうやけど。この辺で補強しとかんと、もし上で強化が切れよったら、対処出来るか分からんしな。)
クレイはスキル等を補強し、技を選び強化すると、
《トランポリン ハイジャンプ!!》
その場で軽く弾みをつけジャンプを数回繰り返し徐々に高さが増してくると、屈伸し力いっぱい高くジャンプをした。
そして、時計塔の真ん中辺りに人1人がやっと立って居られる出っ張りがあり、そこに手をかけよじ登り、ひとまずここで一旦一息入れる事にし、上の状況を見る事にした。
(なんや。まだ上があるんか。それにしたって思ってたより高いやんけ。大丈夫か、これ?……なんや不安になってきたやんけ。)
クレイは遥か上空の
一方、
(どうする?って考えてる余裕ねぇよな。どうコイツ制御すれば良いのか分からねぇし。何とかしねぇとな。)
(さっきから、何やってんだ?ってか、リュウキ。やっぱり、これは間違いなく龍を操れてないな。早くアイツにマナの存在と制御の仕方を教えないとな。)
シュウは獣の笛を取り出し、
……ギャブオォォオブォーオォン〜……
その笛の耳障りな騒音が響き渡った。
(うっ!何なんだこの酷い騒音は……こんなんで本当に会話出来るようになったのか?)
時計塔付近にいたクロノアとグラディスは余りの酷い音色に耳を塞いでいた。
(何なのよ。この下手くそで、とんでもなく酷い音は……これってまさか、シュウが鳴らしたわけ?)
(何なんだ!このとんでもない音色は……耳がおかしくなりそうだ!シュウは、いったい何をしようとしているんだ?)
そして、クレイは時計塔の天辺まで後わずかの所まで来ていたが、シュウの獣の笛により危うく落ちそうになりやっとの思いで這い上がっていた。
(おいおい!ちょと待てや。なんや、このとんでもなく酷い雑音は、シュウは俺を殺す気か!? ん?でも、確かこんな変な音とちゃうかったはずやねんけど。)
一方、
「ガォガォ(シュウ)!!ガォブフォガォガ(俺を殺す気か)!?」
だが、リュウキの声はシュウにしか聞こえなかった。
「ふぅ、とんでもない音色だったが、とりあえず何とか成功したみたいだな。」
「ガォガォガ(これは)、ガォブフォブフォガォガォガブフォガォガォガガブフォ(まさかあの酷い音色って獣の笛の音色なのか)?」
「ああ、獣の笛を使ったが。まさかこんなに酷い音色だとは思わなかった。」
「ガォガォガガ(まぁいい)。ガォガォブフォガォブフォガ(その笛を使ったって事は)ガォブフォガォガォガブフォガォガォガ(俺に何かを伝えたくて使ったんだろう)?」
「そうだった!お前に伝えたい事があったんだ。落ち着いて聞いて欲しい。」
そう言われたがリュウキは未だに龍をまともに制御出来ず旋回していた。
シュウは仕方なくそのまま話し始めた。
「リュウキ今からいう事を良く聞いて欲しい……。」
そして、シュウはリュウキにマナの事についてと龍をどう制御すればいいかを教えた。
「ガォガォブフォガ(なるほどな)。ガォガォガ(そうか)、ガォブフォガォガォブフォブフォガォガォガガォガ(俺が無理に龍を制御しようとしてたからか)。」
「ああ、そういう事だ。」
そしてリュウキは、深呼吸をし気持ちを落ち着かせると、
(この感じは……何かしらねぇが身体に何かが流れてくるような。これがマナなのか?これを上手く使い制御すればいいんだよな。)
今までリュウキの周りで乱れていたマナが凝縮されて行き、暴れ旋回していた
そして、
一方、シュウはそれを確認すると自分も下に降りようとクレイの目の前まで来ると、元々魔力をそれほど持っていなかった為、
シュウはそのまま落ちるかと思ったが、クレイがそれに気づき咄嗟にジャンプをしシュウをキャッチすると時計塔のテラス付近の屋根の上に着地した。
「ふぅ、シュウ危なかったな。俺がおらんかったら死んでたんちゃうか。」
「ああ、クレイすまない助かった。だが、お前が来てたとはな。」
シュウとクレイはテラスの方に行き階段を使い下に降りて行きリュウキ達の方へと向かったのだった…。
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