伝説‥45話〜忍術と雷

 ここは魔導師学園の時計塔のテラス…。


 リュウキはベルクスの動きを警戒しながら、どう戦うかを考えていた。


 そして、もう一度刀を握ってみた。


(…痛…いてぇ……やっぱ、刀は無理か…だが、どうする……んー…そうなると……苦無ならどうだ?)


 リュウキは苦無を持ってみた。


(……っう…痛いが……まだ、苦無の方がましか……。)


 そして、両手に苦無を持ち構えた。


 ベルクスは既に攻撃体制に入っていた。


 リュウキとの間合いを取りながら、左の人差し指と中指を立て、青白い電流を纏わせた。


 そしてすぐさまボウガンを撃つような構えを取ると同時に、青白い雷の矢がリュウキを襲った。


 リュウキは直感で感じとった。


「この矢は……マズい!」


 そう感じた瞬間…リュウキは本能的に身体が動き、両手に持っていた苦無を交互に雷の矢目掛け投げつけた。


 リュウキが投げつけた苦無は、避雷針の役目を果たし、ベルクスの放った雷の矢を引き寄せると、そのまま交互に床に落ちた。


「…なるほど…考えたな……ん?…奴は何処に行きやがった⁉︎」


 ベルクスは目の前にいた筈のリュウキが居なくなった事に気づき辺りを見渡してみた。


「…クソッ……何処に隠れやがった⁉︎」


 ベルクスはリュウキを探すが見つからず苛立ち始めた。


 すると、何処からともなく、手裏剣が飛んできて、ベルクスが気づく間も無く左肩に突き刺さった。


「…つう……よくもやりやがったな……クソッ…何処にいやがる⁉︎」


 手裏剣が飛んできた方向を見てみたが、既にリュウキの姿はそこにはなかった。



 ……リュウキは苦無を投げた直後…小声で、


 《忍法 隠影翔‼︎》


 するとリュウキは影の中に姿を隠した。


 リュウキは影から影に移り、ベルクスの隙が出来るのを待ち、攻撃する機会を伺っていたのだ……



(さて…どうする……ベルクスも馬鹿じゃ無いだろうし……それに、いつまでも隠れている訳にもいかないしな……。)


(何処だ……恐らく同じ所には居ない……姿を消し隠れているとすれば……影か?……それなら…クックック……なら…あぶり出すだけだ……。)


 ベルクスは目を閉じ集中し力一杯拳を握り締めると青白い電気を発生させた。


(…これは…まさか……ここに居るのは不味いな……クソッ……仕方ない…この場は一旦……。)


 その青白い電流がベルクスの身体全体を覆った。


 すると、ベルクスはその電流をテラス全域に放電した。


「…ん?…んー…出てこねぇな…って事は……一旦この場を退いたって事か……だが…何処に行きやがった?」


 ベルクスは再度辺りを探してみたが、リュウキの姿は見当たらなかった…。



 一方リュウキは時計塔の二階の階段にアイテムを使いテレポートしていた…。


(ふぅ〜…危なかった……だが…このままここに居ても仕方ないし……さてと、次はどうするかな……。)


 リュウキはカードを自分に向け翳し、テラスへとテレポートした。


 そしてリュウキはベルクスの目の前に現れた。


「…流石に…隠れてても…どうにもなりそうもねぇし……やるしかなさそうだな……。」


「クッ…やっと姿を現しやがったな……あー…クソッ……いい加減頭にきた‼︎……次の一撃でお前の息の根を止めてやる‼︎」


 ベルクスはイライラし、顔をピクピクと引きつらせながら、リュウキを睨み付けていた。


「そうだな……じゃ…始めようか……。」


 リュウキはベルクスを見た後、不敵な笑みを浮かべた。


(コイツ…何を考えていやがる……。)


 ベルクスはリュウキを警戒していた。


 リュウキは手を前に組み両人差し指を立て、


 《忍法 陽炎‼︎》


 すると、リュウキの姿が徐々にぼやけ、1人2人と徐々に増えていった。


「何だ…その技は?……まぁいい…速攻で倒せばいいだけの事だからな……。」


 そして、ベルクスは両方の掌に青白い電流を貯め、リュウキに襲いかかったのだった…。

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