第332話 聖剣

「お兄ちゃん……いつも、こんな感じなの?」

「あぁ、いつもこんな感じだ」


 一緒に風呂を済ませ、俺の寝室へ来たルミが、初めてソフィアが来た時と同じような言葉を呟く。

 まぁベッドが幼女たちで溢れ返っているからな。

 ただ、風呂でもベッドでも、ラウラが何の違和感も無く混ざっているが。


「とりあえず、子供たちの前では禁止だからな」

「うぅ……わ、わかった。というか、ルミだって、子供たちに見られながら……なんて趣味は無いよっ!」

「……ラウラちゃんは、ここでも問題なしだけど」


 とりあえずラウラの言葉はスルーして、いつものように就寝……と、みせかけて、子供たちが寝静まったところで、ソフィアの部屋に瞬間移動する。

 もちろん、ラウラも起きているので一緒に。


「へ、ヘンリーさん。私だけ、未だなのですっ! いつの間にかニーナさんやアタランテさんともされていて、ズルいのですっ!」


 ソフィアの部屋には、昨日居なかったプリシラと、ニーナとアタランテも居た。

 一先ず今晩はプリシラからという事になり……その後は全員で。

 相変わらず、クレアは凄く頑張る……というか凄く乱れ、ドロシーはちょっとアブノーマルな方向に目覚めつつあるけど。


 その翌朝、


「お兄ちゃん! 昨日はどこへ行っていたのっ!?」

「どこ……って、一緒に寝てただろ」

「違うもん! ルミがちょっとウトウトしている間に、居なくなってたもん! お、お風呂へ一緒に入った仲なんだから、その後を期待してたのにっ!」


 食堂でルミに会い、朝食前に口を尖らせられてしまった。


「……旦那様。昨日の夜も凄かった」

「……ズルいっ! ルミよりも幼い子としてるんだから、ルミにもしてよっ!」

「いや、朝から何を言っているんだよっ! というか、ラウラもそんな事を言わなくて良いってば」


 ルミとラウラは、見た目の年齢が近いから、ライバルみたいになっているのだろうか。

 ただ、どちらも種族が違うし、実年齢も違う……もしかして、エルフとドワーフは仲が悪いっていう噂が本当だったりして。

 何にせよ、仲良くするように言いつつ、朝食を済ますと、


「……旦那様。そろそろ剣が出来上がっていると思う」

「え? こんなに早く?」

「……パパなら、聖銀でもすぐ打てる」

「なるほど。結婚の挨拶関係も一通り終わったし、行ってみるか」


 ライマーさんに頼んでいた聖剣が出来上がっているハズだと、ラウラが言ってくれた。

 魔王の魔力が膨れ上がっていたという事実もあるし、何が起こるかも分からないから、早速取りに行こうか。

 一先ず、ドワーフの国へ行くと皆に告げ、ラウラと共に……


「ドワーフさんの所なら、私も行くわ。お世話になったしね」


 ソフィアも混ざり、三人で移動する。

 ドワーフの国へ着くと、ラウラの案内でライマーさんの所へ行き、


「お、婿殿。もしかして、孫が出来たっていう話か?」

「……パパ。流石に気が早過ぎ。出来ていてもおかしくない量と回数だけど、未だ分からない」

「って、ラウラは何の話をしているんだよっ!」


 父娘で何て話をするんだよっ!

 いや、子供が出来たら報告には来るけど、量とか回数の話はしなくて良いから。


「えーっと、そろそろ剣が出来上がっているはずだと、ラウラから聞いて来たんですが」

「あぁ、聖銀の話か。かなり前に完成させていたから、すっかり忘れていたぞ。ちょっと待っていてくれ」


 そう言ってライマーさんが一旦奥に姿を消し、二本の剣を手にして戻って来た。


「聖銀が大量にあったから、依頼された両手剣と片手剣の両方を作っておいた。どちらも聖剣と呼んで差し支えない出来だ。受け取ってくれ」

「二本も……ありがとうございます」

「いや、こちらも聖銀を打つのは久しぶりだったからな。若い衆の良い勉強になったよ。あと、これはおまけだ」

「えっと、剣の柄……?」

「あぁ、聖銀が余ったからな。魔力を込めれば、刀身が現れる。物理的な攻撃力は無いが、魔法を剣の形にしたと思ってくれれば良い」


 なるほど。

 どういう仕組みかは分からないが、物凄い事だけは分かった。


『わ、私の方が凄いですし。具現化魔法で、好きな形の武器を作れますし』


 ……って、どうしてアオイは、何か凄い物を目にすると、すぐに対抗するんだよっ!

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