第256話 ノーパン幼女ラウラ

 いつものように石で浴槽を作り、俺が座ると肩まで浸かるくらいのお湯を生み出す。

 そのままユーリヤが浴槽に座ると溺れてしまうので、投げ出した俺の脚の上に座る……これが具現化魔法でお風呂を作った時の入り方なのだが、


「で、ラウラは何をしているんだ?」

「……どうにかして、お風呂で寝れないかなって」

「いや、普通に溺れて死ぬから。風呂くらいは座って入れよ」


 ラウラがどうしても寝転びたいらしく、溺れそうになっている。


「……わかった。兄たん、浴槽のフチに頭を乗せて」

「付き合うのは一回だけだからな?」

「……大丈夫。ラウラちゃんの計算は完璧。で、首と足でブリッジするみたいにして、腰を上に突き出す。そして、その上にラウラちゃんが寝る」

「ふーん……って、おい! このポーズは絶対にダメだろっ!」

「……ん、ラウラちゃんは大人だから平気。気にしない」

「俺が気にするわっ!」


 要は、ブリッジしながら風呂の水面から股間を突きだすような格好になっている所へ、ユーリヤが俺の太ももに座り、ラウラが俺の腹にダイブして……酷過ぎるっ!

 これが風呂じゃなくて、服を着ているならギリギリセーフだが、全員全裸でこの状態はアウトだ。確実にアウトだ。

 一先ず、ラウラを放置するため、浴槽を二つに分け、片方をひたひたのお湯しか入っていない凄く浅い状態にしておいた。

 これなら、ラウラの望み通り、寝転びながら風呂に入れるだろ。

 ……ただ、お湯が浅すぎて、ラウラの身体が少しも隠れていないし、隠そうともしていないという予想外の問題が出て来たが。

 まぁお子ちゃまの身体に興味は無いので、こちら側の浴槽のお湯を少し捨てて、ユーリヤの身体を洗う事にした。

 一緒に俺も洗い、お湯が泡だらけになって来た所で、


「……兄たん。ラウラちゃんも洗ってー」

「いや、ラウラは十六歳なんだろ? ユーリヤと見た目の年齢が近くても、自分で洗えるだろ」

「……無理。お風呂は好きだけど、身体洗うのは面倒」


 ラウラがまたもやふざけた事を言い出した。


「ラウラは、今までどうやって風呂に入っていたんだ?」

「……お湯に浸かる。出る。溶岩で服と身体を乾かす。寝る」

「え……身体は洗わないのか?」

「火山の地下にある高温の温泉だから、浸かっているだけで綺麗になる」


 本当かよ。

 熱湯とかなら、何となく殺菌とかされて綺麗になりそうな気がしなくもないけれど、当然そんな高温のお湯に浸かっていたら、全身やけどで、とんでもない事になる。

 というか、風呂好きだというのなら、ちゃんと身体も洗えよな。

 面倒臭がりにも程がある……って、ちょっと待てよ?


「一応聞いておくが、服はちゃんと脱ぐんだよな? 今日は俺が脱がしたけど」

「……ううん。着たまま。服も身体も纏めて綺麗になる」


 その入り方はどうなんだ? というか、服を着たまま風呂に入るなんて邪道だし、お湯が汚れるんだが。

 一度お湯を全部捨てて、新たに綺麗なお湯を生み出そうかと思った所で、全身泡だらけのユーリヤが可愛らしく口を開く。


「にーに。ラウラちゃんも、あらってあげてー」

「え!? いや、だけどさ、ラウラはユーリヤよりも少しお姉ちゃんだから、自分で洗えるんだよ」

「……兄たん。ラウラちゃんを洗ってー」


 くっ……毎度の事ながら、ラウラは俺の弱点が分かっている。

 ユーリヤのお願いに便乗したラウラを恨めしく思いながらも、仕方が無いので全力で洗う事にした。


「……そんな所まで? やだぁー、くすぐったい!」

「……待って、兄たん。何か出ちゃう……何これ、こんなの知らない!」

「……ぁぁぁ、凄い。兄たん、凄いよー」


 毎日ユーリヤを綺麗に洗う事で、幼女洗いスキルが身についていると自負している俺が全力で身体を洗った結果、いろんな物を出しまくったラウラが浅い方の浴槽でぐったりしてしまった。

 というかさ、ラウラは長年土の中で生活してきた上に、風呂に入っても浸かっているだけで、ちゃんと洗っていないだろ?

 だから、足の指の間を丁寧に洗ったら垢みたいな汚れが出てきたし、いつもユーリヤの髪に使っているシャンプーを使ったら髪の毛が凄く綺麗になったって喜んでいるけど……マジで面倒臭がらずにちゃんと洗おうな。

 清潔感は大事だ! ユーリヤなんて、寝る前にちゃんと俺が服を洗濯しているし、着替えさせて歯磨きもして、髪の毛のブラッシングまでしているからな。

 ……若干、過保護な気もしてきたけど、ユーリヤは可愛いから良しとしよう。


「そうだ。ラウラ、洗濯するから脱いだ服を貸してくれ」

「……さっき兄たんが脱がせた」

「あ、そういえばそうか。でも、シャツは脱がせたけど、下着は自分で脱いだだろ?」

「……脱いでない。というか面倒だから、そもそも履いてない」

「せめてパンツは履いてくれっ!」

「……じゃあ、履かせて」

「却下! それはラウラが自分でやれ」


 残念ながら、ラウラにサイズが合う服もパンツも無いので、俺のシャツを着せ、一先ず今日は就寝する事にした。

 ……明日は、出発前にラウラの服を――最悪パンツだけでも買おう。

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