第232話 巨乳四天王
「トーチ」
洞窟へ入ると、プリシラが神聖魔法で明かりを生み出し、周囲を明るくする。
以前にフローレンス様が、魔法騎士は宮廷魔術師出身の者と、教会出身の者がいるという話をしていた気がするけれど、神聖魔法を使うあたり、プリシラは後者なのかもしれない。
俺からすれば、別にどっちでも良いんだけどさ。
『ヘンリーさん。先程の索敵魔法の感じからすると、この洞窟はオークの巣みたいですね』
(なるほど。まぁオークくらいなら、大丈夫じゃないか? 仮にも騎士団の一員な訳だしさ)
『いえ、それがむしろ危険なんです。御存知ないんですか? オークは女騎士が相手だと、パワーアップするという話を』
(女騎士が相手だと強くなる? そんな話、聞いた事が無いんだけど)
『ダメですよ。隊を指揮する者として、対峙する相手の特性くらい知っておかなければ。とにかく、いつでも助けに入れるようにしておいてくださいね』
アオイが変な事を言ってくるのだが、ドロシーとプリシラがオークごときに遅れを取るとは思えないんだけど。
そんな事を考えているうちに、奥からオークの群れが現れた。
一先ず、六匹程の群れらしいが、いくら広い洞窟だと言っても、オークの身体は俺たちよりも遥かに横幅が広く、二匹も並べば通路が塞がれてしまう。
そのため、俺たちと同じ様な隊列となっており、
「シールドチャージッ!」
「一文字突き!」
ドロシーの盾と、プリシラの槍がオークたちを薙ぎ倒していく。
(アオイ。オークたちが、あっさり倒れていくんだが)
『今のは普通のオークでしたからね。ですが、奥には上位種もいるようですし、警戒は怠らないでください』
(はいはい)
そのまま暫くオークの群れを倒しながら進んでいると、先程までのオークよりも一回り大きいのが数体現れた。
「ヘンリー様っ! オークの上位種、オークソルジャーですっ! 一体ならともかく、この数を相手にするのであれば、私にも戦闘の許可を!」
「んー、じゃあクレアも参戦して良いよ」
「ありがとうございます……ライトニングッ!」
どうやらクレアは電撃の魔法が得意らしく、風の精霊シルフの力を借りて魔法を放っている。
クレアの魔法でダメージを受け、動きが鈍くなったオークソルジャーをドロシーやプリシラが倒すという連携で戦っているのだが、いずれも一撃では倒せず、また数も多いので少し苦しそうだ。
「よし、じゃあニーナも参戦するか」
「はーい! 隊長さん、やっとボクの出番だねー!」
「プリシラ。ニーナと交代して、少し下がれ。神聖魔法での支援に専念するんだ」
ドロシーの方がまだ余裕があるのでプリシラに交代を告げたのだが、何故か下がらない。
「プリシラ? 何をしているんだ?」
「ヘンリー隊長。ニーナでは、オークソルジャーの相手をするのは荷が重いのですー」
「大丈夫だから、それより早く下がれ。俺はむしろ、疲労しているプリシラの方が心配だ」
「では、下がりますが……ニーナさん。無理せず、ドロシーに守ってもらってください」
何だろう。同じ騎士団で、互いに知っている仲なのに、どうしてこうもニーナの事を信じないのだろうか。
贔屓目無しに、プリシラよりもニーナの方が遥かに強いのだが。
「ヒール」
下がったプリシラに治癒魔法を使い、戦いの行方を見ていると、案の定ニーナがオークソルジャーを一刀の下に斬り捨てていき、あっという間に群れを全滅させた。
「え……どういう事ッス!? ニーナちゃんって、第一騎士隊のあのニーナさんッスよね!?」
「元だけど、ボクは第一騎士隊に居た……って、あのって何?」
「いやー、申し訳ないッスけど、ニーナちゃんが強いっていう印象は全くなかったッス」
「酷いよ。ドロシーさんは、ボクの事をどんな目で見ていたの?」
「おっぱいッス」
「ドロシーさんに言われたくないよっ! ドロシーさんだって、ボクと一緒で騎士団の標準的な鎧は着られないじゃない! もちろんプリシラさんもっ!」
同性からも、おっぱいが特徴と思われていたニーナ……頑張れ!
でも、ニーナはGランクだから、Fランクのドロシーよりも胸が大きいので、そう思われていても仕方が無い気もするな。
何にせよ、胸の大きさではニーナに勝る者は居ないので、誇って欲しいと思っていたら、
「待って欲しいのですー。私は、無理をすれば鎧が着られるので、お二人と同列に扱わないで欲しいのですー」
プリシラがドロシーとニーナの巨乳コンビと一緒にするなと、口を尖らせる。
とはいえ、プリシラもEランクだし、無理をしないと鎧が着られないのなら、似たようなものだと思うのだが。
一先ず、この遠征が終わったら、巨乳三銃士にドロシーを加えて、巨乳四銃士に……いや、巨乳四天王の方が響きが良いかな。
以前に考えた、女性騎士は胸が大きく育つ説について考えていると、
「くっ……話に参加出来ない……」
Cランクのクレアが、一歩離れた所から悔しそうに三人を眺めていた。
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