第129話 スライム二匹分

 ほんの少し指先に力を入れると、むにゅむにゅと柔らかい弾力が押し返してくる。

 凄い……これが巨乳三銃士の一角、ジェーンの爆乳か。

 いつまでもこのままで居たい……心底そう思うが、恥ずかしさからか、ジェーンが小刻みに身体を震わせている。

 調子に乗り過ぎると、流石のジェーンでも怒るかもしれないので、採寸は真面目にやろう。


「えっと、大きなメロン……いや、スライムくらいはあるな」

「あ、主様……わ、私の胸を魔物と一緒にされるのは、ちょっと……」

「いや、だけど柔らかさといい、弾力といい、大きさもスライムみたいじゃない? あ、デロデローって感じの粘度が低いタイプじゃなくて、プルプルしているタイプな」

「スライムに例えられましても……」

「とにかく、鉄板の内部にスライムを二匹格納するイメージで鎧を作れば良いんだな」


 胸の大きさを念入りに確認しつつ、胸から徐々に下へ降りて行き、お腹回りに腰回り、太ももなどもしっかりチェックする。


「あ、主様……脚を触る必要があるのですか?」

「もちろんだ。バレないように、徹底的にしっかりと鎧を作ってみせるからな」


 しかし、上から順に触らせて貰って分かったのだが、ジェーンの体型はボン・キュッ・ムニッって感じなんだな。

 胸が物凄く大きいのに、腰はしっかりくびれていて、お尻は小さいもののムニムニと撫で甲斐のあるお尻だ。

 ジェーンが恥ずかしそうに耳まで真っ赤に染めて、ここまで協力してくれたのだから、何としてもジャストフィットする鎧を作らなければ。


『ヘンリーさん。その鎧作りに向ける情熱を、騎士の心構えの習得に向けてはいかがでしょうか?』

(無理だな。だって、ジェーンの鎧作りは気持ち良い……もとい、やりがいがあるけど、心構えの勉強にやりがいはないからな)

『あの、ヘンリーさんって、元々騎士になりたかったのでは?』

(そうだけど?)

『だったら、今からでも騎士の心構えを見に付けておくと良いと思うのですが』

(いや、それはそれで、これはこれだよ。正式に騎士となる事になったら頑張れば良いさ。今はそれよりもジェーンの身体を触る……じゃなくて、鎧を作る方が大事だから)

『ヘンリーさん。所々で本音が漏れてますよ……』


 アオイのツッコミはさて置き、ジェーンの身体をモミモミ……じゃなくて、マジマジと調べた後、


「マテリアライズ!」


 具現化魔法で渾身の一作を作りあげた。


「出来た……ジェーン。着てみてくれないかな? ジェーンの身体に合わせた、フルプレートアーマーだ」

「フルプレートアーマー……ですか!?」

「あぁ。頭から指先や、足先まで完全に覆う全身鎧だ。一切肌を露出させていないから、これならジェーンが女性だって気付きようが無いだろ? しかも胸の部分を非常に薄く、かつ腹部を厚くしておいたから、鎧としての作りとしてはおかしいけれど、男装用の鎧としては十分だろう」


 ジェーンの胸の形や大きさをしっかり調べたからね。

 胸が苦しくないように、内部に胸の収納空間を作った上で、外からは胸部が膨らんでいないようにした。

 兜は鉄仮面というか、顔まですっぽり覆い、格子状の隙間から何とか視界を確保するという……装備したら馬に乗らないと自力で移動出来ない(万が一落馬したら、自分で起き上がれない)事で有名な、超重量級の鎧だ。


「ジェーン。サイズはピッタリだと思うから……あ、フルプレートアーマーって、一人で着るのは難しいよね。手伝ってあげるよ」

「い、いえ、主様にお手を煩わせるのも失礼ですので、何とか頑張ってみます」

「いや、遠慮しなくて良いんだよ? 何しろ俺の代役をしてもらう訳だし。遠慮しなくて良いって」


 嬉々としてジェーンの着替えを手伝おうとしていると、


「にーに! なにそれ、すごい! ユーリヤも! ねぇユーリヤもー!」


 暫く様子を見ていたユーリヤが近寄って来て、フルプレートアーマーを強請り始めた。


「え? これ……ユーリヤも着るの?」

「うん。かっこいー」

「えっと、凄く重いと思うけど……いや、ユーリヤなら問題無いか」


 幼女に着れる代物では無いと思ったけど、よくよく考えればこの中で誰よりもパワーがあるのがユーリヤだった。

 ご機嫌斜めになって拗ねられるよりかはマシだから、適当に作って与えるか。

 仕方が無いなと思いながら、近寄って来たユーリヤの頭を撫でていると、


「では、ヘンリーさんがユーリヤさんの相手をされている間、私がジェーンさんのお手伝いをしますね」

「え? う……た、頼む」


 シャロンがジェーンの着替えの手伝いを買って出る。

 くっ……着替えに乗じて、もっと触るつもりだったのに。

 まぁでも、良いか。既に、いっぱい触ったし。このおっぱいの感触は、絶対に忘れないぜっ!


「ねぇ、にーに。ユーリヤにもやってー」

「ん、何を?」

「おねーちゃんにやってた、さいすん? っていうのー」

「いや、ユーリヤはそれをしなくても大丈夫だよ?」


 何と言っても、測る物が無いからね。

 まぁでも、胸囲を測ってピッタリサイズのを作れって事なら、意味はあるか。

 とりあえず、ジェーンと同じ様な事をしてあげれば満足なのだろう。


「じゃあ、ユーリヤ。俺に背中を向けて立って、両手を上げて」

「はーい」

「じゃあ、測るよ」


 ジェーンと同じように胸を測る振り……というか、胸囲を測っていると、


「貴方! 大変ですの……って、私の胸では飽き足らず、幼女の胸を触って居ますのっ! も、もうダメですの……ここまで重症の変態とは思いませんでしたのっ!」

「ち、違うっ! これは違うんだっ!」


 タイミングが物凄く悪い時にコートニーが帰って来て、変態扱いされてしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る