第106話

『オラオラオラァ!!雑魚どもが!』

「れ、レックス、落ち着いて」

『片足飛ばされた憂さ晴らしだ!!』

「そ、そう」


 レックスがドタドタと音を立てながら、魔物を踏み潰していく。

 一応、その魔物たちAランク以上なんだけどね。


 ふと、上から魔力の集まる気配を感じた。

 上を見ると、そこには大きな紫色の魔法と魔人の姿。


「……っと、魔人!レックス」

『おうよ!』


 レックスはそう言うと、大きくジャンプして魔人の目の前に。


『――っ!?』


 咄嗟に魔人は魔法を発動させるが、レンが魔法を切り刻む。

 その直後、レックスが大きな口を開けて魔人を丸呑みした。


『おし、次!』

「はいはい」


 レンは少し呆れながらそう言う。

 そして、次の魔人を探しに再び走り出した。


 ちなみにだが、おじさんはこんな行動をしていたせいか、完全に気絶してしまっていた。


 ――――――――――――――――――


『……アロケルがやられた、か。さすがに無視はできん。総員で排除する』

『『『『『『『『おう!』』』』』』』』


 魔人たちが本気でレンたちを排除するべく、動き出した。


 ――――――――――――――――――


「――ん?」


 ふと、周りから一切の気配が無くなった。

 さっきまでは魔物が多くいたのだが、それすらも見当たらない。


『――イセ・シオツ』


 そんな声が聞こえたかと思えば、上から氷の雨が降り注ぐ。

 一粒一粒がとても大きく先が尖っていた。


「…………」


 レンはそれを無言で切り落とす。


「おぉぉおおぉぉおおお!!」


 おじさんも何やら変な声を上げながら打ち落としていく。


『イアルス・ビンド』


 またもどこからが声が聞こえ、レックスの足が太い土の鎖に繋がれる。


『――!?ぐ、ちぎれねぇ……!』

精神破壊メンタルデモリッション

『……!?』


 レックスの身体が崩れ落ちる。


「……なっ!レックス!?」

『よそ見してる暇はないよねぇ!』

「っ!はや……っ!?」


 レンの前に唐突に現れたかと思えば、掌底を放つ。

 咄嗟に身体強化をするが、間に合わない。


「――が……はっ!」


 身体中に衝撃がまわる。

 骨も何本か折れただろう。

 意識が飛びそうになるが、何とか堪えた。


『……へぇ、今ので死なないのか。ムカつくなぁ』

『まぁ、この程度で死なれてはつまらんだろう?』

『そうなんだけど、自分の力を自負してたからちょっと自信無くすなぁって』

『ふ、ここで確実に殺して、魔王様を永遠にするぞ』

『いいねー、それ!』

「……やら、せない」


 レンはゆっくりと立ち上がる。

 身体がギシギシと痛むが、全力で無視する。


「魔王は、絶対に殺す!」

『ふぅん。その傷で、どうやって僕らを倒すんだい?』

「……使わないように言われてたけど、このまま死んだら意味が無いから、ね」

「――おい、レン!?」

「……ごめん、おじさん。ここでやらないと死んじゃうから」


 レンはそう、覚悟を決めた表情で言う。

 仮にこれで死ぬとしても、抗わないで死ぬよりはいいはずだ。


「……すぅ、はぁ」


 レンは一度大きく深呼吸をし、


「――『狂戦化バーサーク』」


 レンはそう、唱えた。

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