第105話

「――まだ治らない?」

『すまんな。もう少し待て』

「はーい。じゃあ治ったら言って。少し休憩するから」

『分かった』


 今はレックスの足が生えるまでの休憩中。

 破壊魔法でレックスの片足は完全に消滅してしまっていたからだ。

 もし、消滅せずに残っていたのならくっつけるだけだったらしい。


 まぁ、そんなことを言ってもなったものは仕方ないので、大人しくレックスが復活するのを待つことにする。


「……ったく。レンは無茶しやがる」

「しょうがないじゃん。倒す方法、咄嗟にそれしか思いつかなかったんだから」


 おじさんには、レンの短剣を軽くみて貰っている。

 万が一にもあるとは思えないが、刃こぼれでもしていようものならこの後が大変だ。


「――うし、一切問題なしだ」

「ありがと、おじさん」

「いや、俺にゃこの場でこれくらいしか出来ねぇからな。この位はやらせてもらうさ」


 そうおじさんと話していると、レンの『千里眼』が人の姿を捉えた。


「……?人?」

「人?この世界に人なんているわけ……いや、いたな。俺たちの前にこの世界に入ったやつ」

「ああ。あの人たちか。あんま姿見てないけど。でも、なんでこっちに来るんだろ」

「なにかに追いかけられてるんじゃねぇか?」

「……確認してみる。――あ、完全に追いかけられてるね」


 レンたちがそう話していると、その人はもう既に視界に入るくらい近くまでは来ていた。

 しかも、途中まではレンたちのいる場所には当たらないようなルートだったのに、完全にこちらに向かってきている。


「……うわっ。こっちに来てるじゃねぇか」

「……うわぁ、めんどくさぁ」

「――助けてくれぇぇええええ!!」

「……はぁ。しょうがないなぁ」


 レンは走ってくる人を越し、敵に向かっていく。


「……うわぁ」


 敵は、走ってきた人と同じ服を来た集団。

 恐らくはどこかの騎士団の人達なのだろうが、全員がゾンビ化している。


「――ふぅ。『永久凍土コキュートス』」


 その瞬間、全ての兵士が凍った。

 そして、パキ、という弟と共に砕け散った。


 すると、後ろに元凶と思われる青い馬を見つけた。

 恐らくは魔人だ。


 レンが馬に向かって突っ込むと、馬は自身の足元から無数の手を生み出した。


 レンはそれら全てを斬っていき、そして馬の首を切り落とした。


「――はい、おしまい」

「さすがはレン、だな」

『足治ったから行けるぞ』

「ん、じゃあ行こうか」


 レンがそう言うと、呆然としていた兵士さんはレンにむかって頭を下げた。


「ありがとうございました!」

「うん、気をつけて帰ってね」

「……え?ついて行きますけど?」

「……え」

「もちろんいいですよね!?」

「……レックス猛ダッシュ。全力で逃げて」

『お、おう』


 レンたちは全力で逃げ出した。

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