第103話

「……これは」

「……ひでぇ風景だな、こりゃあ」


 レンたちの目の前に広がるのは、全体的に暗い世界。

 空は暗く、地面は紫色。

 辺りにはうっすらと紫色の瘴気が立ち込め、先が見えずらくなっている。


 今いる場所は少し高い場所のようで、辺りをざっくりとではあるが見渡すことが出来た。


「……あれは?」

「……ありゃあ、城、だな。魔王がいる城かもしれねぇ」


 レンが指を指したのは、遠くにぼんやりとではあるが見えている大きな城。

 それ以外の方向、近くにも別の建物があるにはあるのだが、城が圧倒的に存在感を醸し出している。


『魔王!?魔王だと!?殺す!』


 行くかどうしようかとレンが迷っていると、レックスがレンたちを背中に乗せたまま唐突に走り出した。


「ちょっ、待っ、なんで!?」

『魔王を殺せば直ぐに終わる!というか俺が終わらせる!』

「……いや、確かに、そうなんだけど?僕たちの意見を聞いて欲しいなぁ、って」

『知らん!俺は魔王を殺すだけだ!』

「……えぇ」


 レンがテイムをしているにも関わらず、自由気ままに動くレックス。

 一応、危害はないので特に気にしてはいないのだが、どうかと思う。


 そんなことを考えていると、あっという間に城の目の前に着いた。


「……早くない?」

『あぁ?全力で走ればこんくらいにはなるだろうが』

「……いや、普通無理」

『人間は脆弱だな』

「それとこれとは関係ないと思う」

『んなことより1回降りろ、門に突進する』

「……えぇ」


 レンが困惑しながらも背中を降りると、レックスは躊躇なく門に突っ込んだ。

 だが、門はピクリとも動かない。


『……硬ぇな』


 レックスはそう言いながらもう一度突っ込むも、門はピクリとも動かない。

 そのあとも何回も門に突っ込むが、やはり動かない。


 最終的にレックスは、短い前足で門を引っ掻き始めた。

 それはさながら小さな猫がじゃれているかのよう。


 レンは笑いを堪えるように門を見ると、門にはいくつかの玉が埋め込まれており、玉は光っているものと光っていないものがあった。

 その玉の下をよく見ると、なにやら文字が書かれているようだ。


 その文字をレンは知らない。

 だが、何故かそれを読むことができた。


 おそらくは、大おば様から貰った知識にあったのだろう。


 書いてある文字を読んでいくと、どうやらそれは何かの名前のようだった。

 その最中、レンは聞き覚えのある名前を見つけた。


「……バティン?フォラスとムルムル、オリアス、セーレ?僕が、倒した魔人?」


 レンが言った名前の上にある玉は光っていない。

 逆に、レンの言った名前以外の玉は、数個を除いてほとんどがまだ光ったままだ。


 そこから考えられるのは、このまだ光っている玉の名前の魔人を全て倒すと、門が開くということ。

 本当かは分からないが、やってみる価値はあるだろう。


 そうと決まれば話は早い。


「レックス!」

『あぁ?なんだ?』


 レックスは門に飛び蹴りを放ちながら、返事をする。


「この門、他の魔人を全部倒さないと開かないみたい!」

『なんだと!?』

「だから、倒しに行くよ!」

『……ちぃっ!クソがっ!』


 渋々、といった様子でレックスは門から離れる。


『ほかの魔人、全部踏み潰してやる』


 レックスはそう言いながらレンたちを背中に乗せ、勢いよく走り出した。


 ちなみに、おじさんは周囲を警戒しまくって疲れている。

 レンが、「大丈夫?」と声を掛けると、「もっと周りを警戒しろ……」と疲れた様子で言った。


 警戒を怠っていた訳では無いのだが、そう見えてしまっていたようだ。

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