第102話

『ば、バティン様……!?』


 残されたセーレが呆然とした様子で、そう言う。


「あとは、お前だけ」


 レンはそう言いながら、短剣をセーレに向ける。


『く、くそっ!だ、ダーリンスレイヴ!』


 セーレはあの真紅の剣を取り出し、自らの腕に傷を付けた。

 すると、剣はセーレの血を吸収し、赤いモヤが発生させる。


『ぐ、ぅぅううう……!』


 剣は、セーレの腕から流れ出る血を吸収し続ける。

 モヤは大きくなり、セーレの体長を超えるほどの長さになった。


 だが、吸収は止まらない。


 レンはさすがに危険と感じ、短剣を片手にセーレへと突っ込んでいく。


『し、ねぇぇぇええっ!』


 セーレはそう言いながら剣を振り下ろすと、レンに向かって縦に伸びた斬撃が襲いかかる。


「……っ!」


 レンはそれを避けると、斬撃は後ろにある森の方へと飛んでいった。

 そして、その斬撃はなにかに当たって爆発する。


 直後、


『グォオオオオオオオオ!』


 何かの雄叫びが聞こえた。


「な、なに!?」


 それはセーレも同じなようで、


『な、何!?何に当たった!?魔物なら吸収されてるはずだ!』


 困惑して、レンを攻撃することも忘れているようだ。

 その間に、レンは急いで『千里眼』で確認する。


「――うそっ!いつの間に!?」


 レンがさっき確認した、3つ目の強大な力。

 それが、既に目と鼻の先まで迫っていた。


 しかも、先程は『千里眼』で姿を確認出来なかったが、今ではくっきりと確認できる。


「……なに、あの魔物」


 リザードマンに似た身体のようだが、あまりにも大きすぎる。


 魔物は、ドスドスと大きな音をたてながら、レンたちの方に向かってくる。


『我を、傷つけたのは、どいつだァアアア!』

「あ、この魔人です」

『ちょおおおい!!?って、そいつはレックスじゃねぇかぁあああ!?』


 レンはあっさりとセーレを売り、セーレはそれに絶叫した。

 魔物が話している、という事実ことに関しては、知性のある魔物もいるというのは有名な話なので驚きはしない。


『そいつかあああ!』


 魔物は、セーレに向かって真っ直ぐに突撃する。

 レンは予め避けて道を作っておいたので、安全だった。


『ちょっ、俺が封印されてた魔物に勝てるわけないだろ!?封印したの魔王様だぞ!?くそが!』


 そう言いながら、セーレは剣を構え、斬撃を飛ばす。


『おっらァァァ!』


 斬撃は首に当たるが、傷一つつかない。


『死ねぇぇえええ!!』


 魔物がそう言うと、セーレが首からパクリと喰われた。


『魔王は何処だァァァァ!殺してやるぞぉぉおおお!』


 そう魔物は絶叫する。

 そこで、レンは提案した。


「じゃあ、これから魔王を倒しに行くけど、来る?」


 あくまで、自分が生きる時間を延ばすための時間稼ぎにしかならないかとしれない。

 だが、最終的に魔王を倒せるなら別に構わなかった。


 そして、それに魔物は乗っかった。


『そうか、魔王の元へか!ついて行くぞ!絶対に殺してやる!』


 こうして、魔物が仲間になった。





 魔物の名前はレックス、テイムは簡単に受け入れた。

 レックスはレンを背中に乗せ、朱雀を追いかける。


 途中、おじさんを拾い、皇国へと急いだ。


「な、なんで伝説の魔物がいるんだ!?」

「魔王の封印が、切れたんだって」

『魔王、殺す!』

「いや、だが……」


 そんなことを話しているうちに、皇国へと着いた。

 朱雀は既に皇国に入っている。


 皇国内からは人の気配がほとんど感じられないが、おそらく避難したのだろう。

 そのまま、レンたちは中央広場へと向かった。

 場所は、門から一直線に伸びていたので直ぐにわかった。


 広場には大きな門があり、その門は黒いモヤを纏っている。

 広場には、門を中央にして四隅に穴が空いている。

 レンたちの来た方には紅い玉が既に埋まっていて、そこ以外は埋まっていない。


 その状態で、門はゆっくりと開いていく。


「いくぞぉぉおおお!!」

『オオオオオオオオオ!!』


 何処からかそんな声が聞こえたかと思えば、いつの間にか門の中へと人の群れが入っていく。

 それ以外にも数人の人が入っていき、皇国内にはレンたちしかいなくなった。


「……入ろっか」

「……そうだな」

『行くぞ!』


 レンたちも、門の中へと入っていった。

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