第92話

 神社に戻ると、おじさんとリナとミナが待っていた。


「――よう、すごい音がしたがどうかしたか?」

「……あ、おじさん。うん、ちょっと、ね」


 レンは疲れたような表情で、そう言うと神社の中に入っていった。






「……おい、婆さん。レンに何をやった」


 おじさんがそう言うと、大おば様はバツが悪そうな表情で、


「……なにも、なにもなかったぞぃ」

「……いや、そりゃ無理あるだろ。レンの様子と婆さんの様子を見てなにもないわけないだろうが」

「……ふっ。知らなくていいこともあるものじゃ」


 大おば様はそうドヤ顔で言うが、


「ん、『遠視』で見てた。大おば様がレンが死ぬ魔法を投げ続けて、レンが魔法で村の一部壊した」

「おいこらババア」


 ミナが突然の暴露をすると、大おば様は目をそらす。


「だって、久しぶりに遠慮なしに魔法が使えるんじゃもん」

「じゃもん、じゃねぇよ!?レンがもしも死んだらどうする気だババア!」

「その時は、まぁ何とかなるじゃろ」

「死んだらそれで終わりに決まってるだろうが!?」

「そこはーまぁ、わしの能力で……」

「……婆さん、もう能力使えねぇだろ」

「そういやそうじゃったな」

「はぁ……」


 おじさんは疲れた表情で、レンを呼びに行った。







「おーい!レン!武器が出来てるから来い!」

「……わかったー」


 レンは神社の中からそう返事をし、ベッドから起き上がる。

 そして、ゆっくりと玄関から出た。


 すると、出て直ぐにおじさんが心配そうな顔をしてレンを見ていた。


「……大丈夫か?婆さんのせいで随分と危険なことをさせたみたいだが」

「……うん。平気。一応学園で勉強したことを使っては見たけど、その魔法を何倍にもした同じ魔法で貫いてきただけだよ、うん。それだけ……」

「……いや、それは平気じゃねぇわ。なにプライドぼろぼろに砕きまくってんだあのババア」


 おじさんは深い溜息をついたあと、話題を変えるように短剣を取り出した。


「はぁ……。一応、これがお前の新しい短剣だ」


 おじさんが渡してきたのは、柄が前のものと同じで至ってシンプルな短剣。


「ん、ありがと。おじさん」


 レンは受け取ろうと手を伸ばすが、おじさんが引っ込めた。


「……?」

「その前に、登録をする」

「登、録?」


 レンはそう疑問げに聞く。


「ああ。お前の血をこの短剣に覚えさせる。正直使わないのが一番だが、魔人と戦うなら必要になるだろうからな」

「……うん、魔人と戦うには今の自分の力じゃ弱すぎる」

「だろうな。そもそも魔人は倒せないのが普通だ。固有能力ユニークスキルを持っていても魔人より弱けりゃ意味がねぇ。だから、魔人を倒せるだけ強くなるしかない。強力な武器を用意して強く見せるか、徹底的に鍛えて強くなるか」

「うん」

「だが、後者をするには時間がもう無い。だからあまりやりたきゃねぇが、前者でいかせてもらう」

「……わかった」

「だが、強い力には代償が必要だ、それは分かってるな?」

「……うん」


 レンがそう言うと、おじさんがようやくレンに短剣を渡した。


「柄を思い切り握りしめろ」

「わかった」


 レンが力いっぱいに握りしめると、柄から針が何本も飛び出す。


「――っ!?」

「離すな!」


 レンが思わず短剣から手を離しそうになると、おじさんはそう言う。

 レンはもう一度握り直すと、再び針が飛び出した。


「っ!」


 今度は覚悟をしていたので、離しそうにはならなかった。


 流れ出る血は柄を伝い、刀身へと流れていく。

 そして、刀身の先から血が滴り落ちそうになると、銀色の刀身が変色していく。


 いつの間にか針は引っ込み、血は刀身に吸収される。


 そして、レンの髪色である群青色に刀身が変化した。


「……それで、完成だ」

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