第91話

「……!ちょっ、まっ!危なっ!」


 レンは、避けていた。

 ただひたすらに、避けていた。


 その理由は目の前で魔法を大おば様にある。

 嬉嬉として、レンが一撃で死ぬような魔法を投げて来るのだ。


「ほれほれほれほれ!そのままでよいのかぇー!?」

「ちょっとは手加減してよ大おば様!」

「そんなものする訳なかろうて!」

「だろうね!」


 レンが時折、多重詠唱マルチタスクで魔法を発動するも、同じ魔法をさらに強力にしたもので打ち消される。

 それどころか、魔法が魔法を貫通してくる。


「ほれほれ!さっさと今の自分に出せる最高を出さんか!ただ狂戦化バーサークは使うでないぞ!?」

「分かってる、けど、無茶、言わないで……!」

「そんな調子では魔王に勝てんぞー!」

「もう大おば様の方が魔王だよ!?」

「はっはっはっ!そんなに褒めてもなにも出んぞー!」

「褒めてないからっ!?」


 ふたりの魔法(ほとんどが大おば様)によって、辺りの地形はガタガタ。

 大おば様が作っている結界がなければ村にも被害が及んでいただろう。


「あー、もうっ!」

「ほれほれ!はよ使えぃ!」

「分かってるよっ!『永久凍土コキュートス』!」


 辺り一面が白く染まる。

 大おば様の身体も凍っており、レンはやっと一息つく。


「お、おわっ――」

「てるわけなかろうて!」

「えっ!?」


 大おば様の身体は間違いなく凍っているのに、声はどこからともなく聞こえてくる。


「ふっふっふっ、この程度の氷で凍らせられると思ったかっ!」


 大おば様を凍らせていた氷が内側から爆散させられる。


「……えー」

「甘い!甘いのう!その程度でわしが倒せるわけなかろう!次はわしの番じゃな!上手く防いでみるんじゃ!」

「え、ちょっ」

「『獄炎地獄インフェルノ』!」


 大おば様の周りの氷が急速に溶ける。

 それどころか、地面すらもどろどろに溶かしていく。


「ちょっ!死ぬよねそれ!?」

「ふっふっふっ!上手く対処せい!」

「え、えーとえーとっ!『ブラックホール』!」


 レンは大おば様を中心とした一体に黒い穴を出現させる。

 すると、周囲のもの全てが吸い込まれていく。


「ぬ、ぬぉぉぉおおお!?レンー!?」

「サイズ間違えたーーっ!」

「ばかものー!!はよ解除せーい!」

「わ、わかったー!」


 レンは言われた通りに解除するが、それは周囲のものを粗方吸い終えたあとだった。

 それには、大おば様の作った結界も含まれる。


 つまり、村の一部を巻き込んでしまった。


「……やりすぎじゃばかもの」

「……ごめんなさい」


 レンたちは疲れた様子で神社に帰って行った。

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