第84話

 その後、レンはリナとミナにかなり心配されつつ3日が経ち、その頃には身体も違和感なく動かせるようになっていた。


「――レン、私たちもついて行ってもいいです?」


 レンが教会に行く準備をしていると、リナとミナがそう声を掛けてきた。


「いいけど……。どうして?行っても入れるのは僕だけだと思うけど」

「レンはまだ病み上がりですし、色々心配なのです」

「一応痛みももうないし、大丈夫なんだけどね……」

「それでも心配なのです」

「んー、まぁいいよ。ついでに帰りに武器屋にでも寄っていい?短剣折れちゃったから、おじさんに作ってもらうまでなんか武器ないと困るからね」

「分かったのです」


 そうこう話しているうちに、レンの準備が終わった。


「じゃ、行こっか」

「はいなのです。ミナ、行くですよ」

「ん」


 そう言って、3人は医務室を出て教会へと向かった。






「……相変わらず、すごい列」


 3人の目の前には、100人近くの行列。

 そのほとんどが教会に祈りをするために来た人や、治療を求めに来た人だ。


「どうするのです?この調子だと随分時間かかると思うですけど」

「ん、日が暮れる」

「いや、平気。裏から入るから」

「「裏?」」

「うん、着いてきて」


 レンはそう言うと、教会とは反対の方向に歩いていく。


「そ、そっちに教会はないですよ?」

「うん、知ってるよ」


 そのまま少し歩いていき、ある家の前で立ち止まった。

 何の変哲もない、ただの木の家だ。

 ただ、周囲に人の気配は無くなっていた。


「こ、ここですか?」

「そうだよ」


 そう言ってレンはドアを3回ノックし1拍置いて、トン、トトトトン、トン、トトトン、トン、とリズミカルにノックをする。

 すると、中からひとりの男が出てくる。


「……何の用だ」

「パシェルさんに取り次いでもらえる?レンが来たって言えばわかると思うから」

「……少し待て」


 パシェルさん、本名パシェル=エルガー=サジタリウス。

 村が襲われたあとに来た司祭様だ。

 2年前の学園入学直前にもお世話になっている。


 レンは後ろであんぐりと口を開けている二人の方を見る。


「どうしたの?」

「れ、レン……。そのパシェルさん、というのは、あのパシェル様です……?」


 リナが信じたくない、といった様子でそう聞いてくる。


「あの、って言うのはわかんないけど、教会の司祭でパシェル=エルガー=サジタリウスっていう名前なのは知ってるよ」

「そ、その人、そんなに簡単に会える人じゃないですっ!」

「えー、でも言えば会ってくれるよ?」

「それはレンがおかしいから――」


「許可が出た。ついてこい」


 リナの言うことを遮るように、さっきの男が戻ってきてそういった。


「あ、このふたりは帰した方がいいですか?」


 レンがそう聞くと、


「いや、サジタリウス様は連れてこいと言っていた。理由は知らんがな」

「分かりました。じゃあ、行こっか」


 レンがそう言うと、リナは新底疲れた様子でため息をついた。


「……はぁ。まさか私たちも会うことになるなんて……。喜んでいいのか悪いのか分からないのです」

「ん、レンは異常」

「えー、そうかな」


 そう話しながら、3人は家の中に入っていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます