第73話

 領主様がゆっくりと盗賊のリーダーらしき人物の元へと近づいていく。


「ひ、ひいぃ……!す、すみませんすみません……!」


 盗賊のリーダーは、椅子から転げる落ちるように降り、領主様の足元に跪いて必死に命乞いをする。

 それを見て、領主様は、


「……なんで、こんなことをした?」

「……ほんとはこんなに大きくなるようなことはしていなかったんです。ひっそりと商人たちからものを盗んで、それで生活していたんです。でも、今の幹部たちが仲間になってから色々変わり始めて……。俺の知らない間にメンバーが200人を超えていたんです。俺、ほんとはそこらのメンバーに負けるくらい弱いんです。だけど、みんながみんな、俺を強い強いと戦ってもいないのに言い始める。もう、限界だったんだ……!お願いだ、捕まえてくれ……!」

「…………」


 にわかには信じられない話ではあるけれども、正直、この盗賊の言うようにそこらに居る奴らの方がよっぽど強いと思える。


「……はぁ、分かった。とりあえずお前らを街に連れていくとしよう」

「ありがてぇ……!」


 そう言って、領主様がリーダーを連れていこうとすると、


「――待ってくれリーダー……!あんたは、そんな人間じゃないはずだ!俺たちよりももっと強いはずだろう!?」


 そう言って叫んだのは、初めにリーダーの名前をレンたちに告げた幹部の男。


「うるせぇ!俺はそんなに強くねぇんだよっ!お前らが下の人間に嘘を吹き込むから、すごく生きにくくなったんだぞ!?」

「あんたは……、あんたはもっと強いはずだ……!」

「うるせぇだまれぇっ!俺は弱い、それでいいんだァ!ひっそりと盗賊やって、貧しくても暮らしていけりゃあ良かったんだよっ!……貴族さん、お願いします、捕まえてください」

「……ああ。レンくん、そいつらも縛っといて」

「分かりました。『影縛りシャドウバインド』」


 レン達はアジトを出ていき、こうして盗賊のアジトの制圧は終わったのだった。

 その後、魔法をそのままに王都へと向かい、数時間後、王都に到着した。


 門番に盗賊のリーダーを引渡し、盗賊を捕まえたことを報告。

 場所はリーダーが案内するらしく、奴隷の首輪を付けられた状態で再び外へと向かっていった。


 その時のリーダーの顔はとても、清々しいものだった。


 後日分かったことだが、レン達が制圧した盗賊団はこの辺りでかなり暴れていたらしい。

 懸賞金も掛けられていたらしく、レンの口座にさらにお金が入るのだった。


 ――――――――――――――――――


 余談


「あ、そう言えば金銀財宝とかはないの?」

「え?ないんじゃないですかね。奪ったら多分すぐ使ってるんじゃないかと。人数も多いですし」

「そっかー……。残念」

「まぁ、盗賊を捕まえたってことでお金が貰えると思いますよ。まぁ、俺も盗賊の端くれなんすがね、ははは……」

「…………お疲れ様です」

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