第72話

 それから、『光球ライト』を頼りに暗いアジトの中を進んでいくと、ひとつの大きな扉にたどり着いた。


「……レンくん、気をつけて。この扉の先に何があるかわからない」

「そう、ですね……。じゃあ念の為」


 レンは『魔力感知』の魔眼を使い、扉の向こうを視る。


「――魔力を使ったトラップはないみたい、なんですけど……」


 レンの視界には、魔力を持った人型のものが上の方に大量に見える。

 それが何かを確認するため、レンは『魔力感知』から『透視』に変えた。

 この時のレンの目の色は灰色だ。

『魔力感知』の魔眼も灰色なのだが、『透視』はそれより薄い灰色で、傍目には分からない変化だろう。


 レンが『透視』を使って中を見てみると、


「……やっぱり。盗賊が待ち伏せてますよ」

「どこにどのくらい?」

「えっと、中は円柱状の空間になっていて、入ってすぐが1階。そこから上に吹き抜けになる感じで、2階から4階に盗賊がドアを狙う形で立っています。入った瞬間に、矢の雨と魔法が大量に降ってくるでしょうね。数は100人は下らないかと」

「……そう。ここに多分残りのほぼ全戦力が投入されてるんだろうね。レンくん、どうにか出来る?」

「……まぁ、出来なくはないですけど」


 幸いなのか、中のホールは全体的に暗い。

 所々に松明があるだけで、全体を照らすことはできていない。


 レンは『影縛りシャドウバインド』を使って盗賊の動きを止め、そのまま1階へと飛び下ろさせる。

 影で動きを止められる、ということは影で人を操ることも出来るということ。

 それを利用した。


 そして、レンがドアを開けると中には文字通り盗賊の山。

 無論、影によって動けなくなっているが、死んではいない。


「うわ、すごい……。レンくん何したの?」

「簡単なことです、影を使って1階に無理やり下ろしただけですよ。まぁ、まさかこんな山になってるとは知りませんでしたが」

「そう……。とりあえず、先に進もうか」

「はい」


 そのままレンたちは、入ってきた扉と対面にある小さなドアに入っていった。





 



 そして、その先には……。


「よく来たな、侵入者共」


 玉座のようなものに座って偉そうにしている盗賊。

 そして、その周りに4人の男達がいる。


「あなたは……?」


 そうレンが聞くと、4人の中の一人が前に出てきて、


「この方は我々を率いてくださるタルマイ様だ!この方が戦うまでもない、我らがお前らを倒して首を主に捧げるのだ!」


 そう言うと、4人の男達は問答無用でレンたちに襲いかかる。

 レンが魔法を使おうとすると、


「さっきからレンくんにお世話になりっぱなしだし、そろそろ戦わないと、ねっ!」


 そう言って、領主様はレンの前に立ち、


「纏え、狩りとれ!我らが王なる獅子よ!」


 領主様の鍔に装飾された獅子がそれに反応するように口を開き、剣が雷を纏う。


 その状態で4人のうちのひとりと鍔迫り合いになると、


「あがっ……!?」


 そのまま身体中に電気が回り、気絶した。

 それを見て、一歩後ずさる盗賊。


「隙ありっ!行け、獅子よっ!」


 領主様が剣を振るうと、それに反応して雷の獅子が飛び出し、盗賊達に噛み付いていく。

 そして、あっという間に制圧した。

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