第48話

「あ、あぁ……っ」


 空は血のように紅く、そして暗い。

 目の前にかつて友達だったギリー、ネクソン、そしてナフィの死体。

 それ以外にも、お父さんとお母さんを含め、村のみんなの死体が積み上げれている。


 これは2年前の記憶、そして夢だ。

 そんなことは分かっている。


 だが、あまりにもリアル過ぎている上に、記憶に存在しない光景。

 レンが現実と誤認しても仕方がなかった。


『くはっ!くはははははははっ!悔しいか?悔しいだろうなぁ!?』


 積み上げられた死体の上で、黒くモヤのかかった人型の魔物が高らかに笑う。


『お前の仲間が我らに殺されたんだ。精々悔しいだろうなぁ?』


 その魔物は村の人間の死体を持ち上げ、笑う。


「殺す……っ!殺してやるっ!」

『くはっ!くはははははははっ!ああ、待っているともっ!我の目覚めは近いぞっ!くはははははははっ!』


 魔物の声に反応するように、その背後に控えていた50体以上の魔物が地を鳴らす。

 その魔物たちは全てが1体で国を滅ぼす事のできるだけの力を持っている。

 その中には、ムルムルとオリアスが含まれており、魔王軍であることは明らかだった。


『我は魔王!魔王**だっ!くはっ!くはははははは――』


 ――――――――――――――――――――――――


「――っはっ!はぁっ!はぁっ!」


 レンは夢から目覚め、大きく息を吐く。


「はぁ、なんだよ……。今の夢……」


 レンは自分の手を眺め、それから痺れている腕を動かし昔の腹の傷に手を当てる。


「魔王、か……。――ん?」


 そこで、ようやくレンは今の現状に目を向けた。


 レンの今いる場所は、どこかのベッドの上だ。

 しかも、かなり高級感のある。

 部屋の中も、高級そうなもので溢れかえっている。


(えぇ、ここどこ……)


 そう思ったその時、部屋の扉がノックされ、メイドの格好をした人が入ってくる。


「失礼します……」


 レンとそのメイドさんはしばらく目を合わせ、固まった。

 そして、


「っ!?!?し、失礼しましたっ!?た、ただいま当主を呼んで参りますので少々お待ちくださいませっ!――あっ、そこのあなたっ!今すぐに料理長に料理をお願いしてきなさいっ!例の方が起きられたって言えばわかると思うわ!私は領主様を呼んで参りますっ!」

「分かりましたっ!直ぐにっ!」


 何やらバタバタと慌てて部屋を出ていき、そしてそのメイドさんは部屋の外で誰か他の人に指示をする。

 何やら、レンが起きたと同時に時間が動き出したような、そんな感じだ。


(ええ、何これ……?どういうこと……?)


 レンはそう思うものの、なんの答えも思い浮かぶはずもなく。

 特にやることもなかったので、もう一度ベッドに寝っ転がることにした。


「――はぁ……」

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