第46話

「――『水爆球ウォーターブラスト』!」


 さっきまでは『アイシクル・レイン』である程度は倒すことが出来ていたのだが、それは全体を倒しているだけで先頭の辺りの数はほとんど変わらず、街への進行許している状況だった。

 このままではまずいと思ったレンは、魔物の先頭から大きな水の球を作り出す魔法で足止めをしていた。


 この魔法は当たると水の球が弾ける魔法で、殺傷能力こそ低いものの大量の水が溢れ出すので足止めとしては有用だった。


 だが、このままでは埒が明かない上に、先程よりも倒せる数は圧倒的に減っていた。

 数でいれば、さっきまでは1回で10体前後倒していたが、今ではほとんど倒せていない。

 さらに、『アイシクル・レイン』よりも魔力消費が激しく、周囲に被害が『アイシクル・レイン』よりも大きいが、この際周囲へ影響はほぼ度外視している。

 さすがに森を燃やすような、火魔法は使えないが。


 しかも、だんだんと周囲は明るくなってきており、この魔物の大軍が街から観測される可能性が高くなってきていた。


(腕され使えれば……っ!)


 今現在、レンの腕はほとんど動かず、少し動かすだけでも痛みが走る状況だ。


 レンはいつも、魔法を使う時は腕を前に出すことで、腕が補助的な役割を担っていた。

 腕が使えれば、魔法の精度が上がるので一気に殲滅が出来ると思うのだが、今は使えないので大雑把にやるしかない。


「『水爆球ウォーターブラスト』!」

(街まで、あと半分くらいか……)


 そう、後ろに下がりつつ魔法を放っていたら、いつの間にかゴーレムの場所から街まで、およそ半分の所まで下がっていたのだ。


(……このままじゃジリ貧だ、どうしよう)


 考えるものの、何も思いつかない。


 そうこうしているうちに、魔物たちの動きがおかしくなり始めた。

 魔物たちが突如として立ち止まり、ギャーギャー騒ぎ始めた。


(なんだ……?)


 前にいる魔物が騒ぐと、後ろの方の魔物が返すように騒ぎ始める。

 まるで、何かを送っているような。


 これは、ただの魔物の群れじゃない。

 これは、魔物のだ。


 レンはそう直感し、嫌な予感に背筋を強ばらせた。


 そして……魔物の群れは突如、目の前にいるレンを完全に無視して、街へと走り出した。


「……なっ!?」

(まずいまずいまずい……っ!)


 魔物の群れは、木々をなぎ倒してどんどんと進んでいく。

 レンははっとして、木の枝を足場に先頭集団に追いすがる。


「……追いつけないっ!『氷壁アイスウォール』」


 先頭よりも少し前に『氷壁アイスウォール』を設置して足止めを図る。

 だが、先頭の魔物がぶつかった上に、さらに別の魔物が突撃し、氷の壁を破壊した。

 それによって、一番下にいた魔物は死んでいるか瀕死になっているが、予想以上に短時間で突破されてしまった。


「っ!『氷壁アイスウォール』!『氷壁アイスウォール』!」


 さらに奥に壁を2つ設置するものの、直ぐに突破される。


「……やばいっ!もうすぐ街に着くっ!」


 魔物の行動スピードは速く、もう既に4分の3は進んでいた。


「『魔眼、石化』!」


 レンは、先頭の魔物を石にすればなんとか足止め出来るのではないか、と思い魔眼を使って何体かを石にする。

 だがそれは1秒ももたず、すぐに後続の魔物がその石を壊して進んでいった。


「っ!くそっ!」

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