第44話

「――ふぅ、倒せたぁ……」

[お疲れ様です、マスター]

「ありがと、狂戦化バーサーク

[……いえ、私は何もしておりません]

「はは、じゃあそういうことにしとくよ」

[では、私はこれで]

「うん、ありがと」


 プツン、と狂戦化バーサークとの接続が切れたのを認識した。


 レンは倒したゴーレムの破片に寄りかかり、休憩しているところだ。

 過度な身体強化によって、腕はほとんど動かず、足は痺れてしまっている。


 ここで『ヒール』を使うことが出来たのならば、直ぐに動くことが出来たのだが、何分『ヒール』は神聖魔法だ。

 レンには使うことはできない。


「……さて、と。そろそろ行ける、かな」


 レンは立ち上がり、足と腕の調子を確かめる。


「……うん、まぁ痺れてるけど歩けないほどではないかな」


 腕は少し動かすだけでも、少しピリッとした痛みが走るが、普段の生活に大した影響はないだろう。


「んじゃ、行きますか……。プラム、行くよ」


 先程から、ゴーレムの破片の上で遊んでいたプラムを呼ぶ。

 だが、プラムはぷるぷると震えるだけで動こうとしない。


「……プラム?」


 いつもなら、呼んだらぷるぷると震えながらも、レンの元に戻ってくるプラム。


 何か、見つけたのではないか。


 そう思い、レンはプラムに近づいていく。

 そして、プラムの目の前にたどり着き、見たものは……。


「魔法陣……?」


 そう、ゴーレムのコアに描かれた魔法陣が、未だに光っていたのだ。


 そっとレンは核に手を伸ばす。

 だが、あとすこしで触れる、という所でレンの手が弾かれた。


「っ!?」


 それと同時に、魔法陣の光が明るくなっていく。


「っ!やばい……!プラム、逃げるよっ!」


 魔法陣が光輝く、ということは魔法陣が発動するという事。

 何が起こるかわかったものでは無い。


 プラムを抱き抱えながら、森の中を疾駆する。

 しかし、後ろからは魔法陣の光の奔流。

 森の中を、魔法陣の光が照らしていく。


「なんだよ……っ!あれっ!」


 そう愚痴るものの、答えが返ってくるはずもなく。

 やがて、光は収まって行く。


「……助かった?」


 レンは何が起こったのか確認するために、『千里眼』を発動し、先程の場所を上から見下ろす。


「……っ!?魔物!?」


 ゴーレムの破片のある場所には、大量の魔物。

 いきなり集まったとは思えず、明らかに魔法陣によって召喚されたものだった。


 しかも、その魔物は明らかに強力で、この数の魔物が街に攻め込んだのならば、壊滅してしまうであろう程だ。


「やばいやばいやばい……っ!」


 しかも、魔物達は明らかに街の方を目指して歩き始めている。


「――ふぅ、落ち着け僕。まだ大丈夫だ。足は……平気。腕は痺れて使えない……。うん、魔法かな」


 レン初めこそ焦っていたが、よくよく考えてみるとここから街まではそれなりの距離がある。

 ならば、迎撃することも出来るはずだ。


 あの街に大して思い入れがある訳でもないが、村と同じく魔物によって街が破壊されていくというのは、見たくもない。

 それに、レンは領主の息子さんの依頼を受けているのだ。


(そう簡単に、負けてたまるか。絶対に、守るんだ)


 レンは魔物を迎撃すべく、魔力を練り上げ、魔物の群れに向かって進んで行った。

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