第43話

「……身体強化集中、両足」


 レンバーサークは両足に、ほかの部分に使われていた身体強化を集中させる。

 そして、飛んでくる拳を蹴り飛ばす。


(えぇぇぇぇぇぇ……っ!)

「マスター、うるさいです」

(いや、えぇぇ……。普通足に集中させるなら逃げると思うじゃん……)


 そもそも、足が痺れて使えなくなったら終わりだとレンは思うのだが、レンバーサークはそんなことを気にしていないように見える。


 その後、レンバーサークはゴーレムに向かって走り出した。

 レンは援護する形で、襲いかかる拳を魔法で迎撃する。

 もちろん、吸収されるだろうと思い最低限だ。


(『氷弾アイスバレット』)


 何発もの弾を拳に当てると、だんだんと拳が逸れていく。

 しかも、だんだんと吸収されていっているが、表面が凍ったようにも見える。


(あれ、吸収されない……?)


 レンはそう考えるものの、ゴーレムの攻撃は過激かしていく。

 近づくにつれて、ゴーレムは足での攻撃も繰り出してきた。


「マスター、足を……」

(分かった!『落とし穴ピット』)


 レンはゴーレムの足元に大きな穴を作る。

 すると、そのままゴーレムの足は穴にすっぽりと埋まった。


 レンはすぐに抜け出されるだろうと思っていたのだが、そのままゴーレムが抜け出すことはなく、魔法が吸収されている様子もない。


(……あれ、これは効くの?)

「マスター、地面の土を使ったからではないかと……」

(あぁ、なるほど。『土縛アースバインド』!)


 どうやら自然に存在する、魔力で作られたもの出なければ効くと判断したレンは、地面の土を利用した魔法を使う。


 レンは土を盛り上げ、ゴーレムの拳を地面に縫い付け、さらにだんだんと土の密度を上げていく。

 無論、ゴーレムは抜け出そうとしているが、その度にレンは土の密度を上げていく。


 やがて、ゴーレムの足元に到達したレンバーサークは、身体強化で腕を無理やり動かし、足の関節らしき場所から切り落とす。

 すると、ゴーレムは前のめりに倒れ始めた。


(『魔眼、魔力感知』)


 片目が灰色に変化した。


 ゴーレムは誰かに作られたとはいえ、結局は魔力で動いている。

 ならば、ゴーレムのコアに魔力が集まっているというのは間違っていないはずだ。


 案の定、魔眼に変化した片目には、ゴーレムの胸の辺りに魔力が集まっている箇所があるのが確認出来た。


「……マスター、とどめはマスターが」

(分かった)


 レンとしての意識が浮上し、髪色と目の色が元に戻る。


 レンはゴーレムの胸を身体強化した短剣で突き刺した。

 そして、そのまま魔力を断ち切るように、短剣を全力で振り下ろす。


 コアを破壊され、ゴーレムは原型を保てなくなり、ガラガラと音を立ててゴーレムはただの岩になった。


 だが、まだ戦いが終わったわけではなかったのだと、すぐあとにレンは実感することになる。

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