第41話

 馬車から飛び降りて、直ぐに東門へと向かう。


 この街には東西南北全てに門がある。

 領主の息子が向かっていたのは北の方、そしてレンが街に入ったのは南の方だ。

 西門は川や湖に近く、そっちの方面の依頼を受けた冒険者が主に出ていくことが多い。

 そして、東門は森や洞窟などがある方面だ。

 マネリ草は森の中程に生えていることが多いらしいので、そこを目指しているわけだ。





 東門に着き、そして門を出た。

 辺境だからか、門番は怪しい人や積荷を持った行商人には反応するものの、それ以外は特に気にしていないように見える。


(ま、変に何か言われるよりかはいいか)


 レンは特に気にすることなく、森の方へ歩いていった。





 やがて人気のない所に着くと、レンは一度立ち止まった。


「この辺でいいかな。『魔眼:千里眼・鑑定眼』」


 レンは2種類の魔眼を併用して発動する。

 すると、レンの両目がそれぞれ薄茶色、薄緑に変化した。



 レンの持つ(狂戦化バーサークで獲得した)魔眼は、全ての魔眼を使うことが出来る。

 それは、レンの持つ魔眼が、他の魔眼を使える人とは違って、固有能力ユニークスキルであることが挙げられる。

 例えば、以前レンが使った石化の魔眼は希少能力レアスキルとして単体で存在するし、今レンが使った千里眼や鑑定眼も同様に単体で存在する。

 だが、レンの持つ能力は、魔眼という一括りでひとつの能力として成り立っているのだ。

 本来異常な能力なのだが、レンがそれに気づくことは無い。


 閑話休題それは置いといて


 レンは森を上空から見下ろし、そして魔素の多く集まっている所に生える草を鑑定、マネリ草を探した。

 魔素の多いところは薄く霧のようなものが立ち込めているのでどこに魔素が溜まっているのか、上空から見れば大体分かるのだ。

 ただ、魔素が集まっているからといってマネリ草が生えてるとは限らないのだが。


 やがて、


「――見つけた」


 ようやくレンはマネリ草を見つけた。

 レンは魔素多いところをいくつか見たものの、大体が取られ尽くされたのか、全く生えていなかった。

 唯一生えていた所は、今レンのいる所から5キロほど離れている。


(これは……野宿確定かな?)


 レンが門を出た時既に辺りは紅く染まっていたし、おそらくどれだけ急いで依頼を達成して戻っても門が閉まっている時間になるだろう。

 正直な所、ここから街までは近いが戻るのがめんどくさいという理由なのだが、それは置いておく。


(ま、早い方に越したことではないだろうし、さっさと行くとしますか)


 レンは足に身体強化を掛け、木の枝を足場に森を駆け抜けて行った。






 辺り一面が暗くなり始めた頃、レンは千里眼で見つけた場所に到着した。

 周囲には霧が立ち込めている。


「お、あったあった」


 そこには、地面を埋め尽くすほどに咲く綺麗な青い花、マネリ草があった。

 実際に薬として使えるのは葉の部分だけだが、花は花で飾りとして使うことが出来る。

 レンは、根元から切り、近くに束ねて置いておく。

 そして、ある程度溜まったところである魔法を発動した。


「『異空間収納ストレージ』」


 これはかつて大おば様が使った『部屋ルーム』と同じ、空間に干渉する魔法だ。

 普通の人では足りない程、大量に魔力を消費するが中には無尽蔵に、重さを気にすることなく入れられる。

 前に倒したヘルハウンドの親玉もこの魔法にしまってある。


 魔力を大量に使うため、あまり知られていない魔法だが、レンの場合は、魔法に詳しい大おば様がいたので知る機会があった。

 おそらく今現在知っているのは、各国宮廷魔法士、及び一部の人間のみだろう。


 閑話休題。


 そして、レンは採ったマネリ草を全て『異空間収納ストレージ』にしまい、いざ戻ろうと踵を返そうとした。

 だが、突如殺気を感じ、レンは咄嗟に飛び退いた。


「――っ!?」

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