第36話

 門を抜けてしばらくは、門の外を心配する声が辺りから多く聞こえていたが、中心に近づくに連れてその声はきこえなくなっていった。


 街の人に聞いたところ、冒険者ギルドは街の中心付近にあるらしい。

 そこで学園に行きたい旨を伝えればいいようだ。






 そして、ようやく冒険者ギルドの前に着いた。

 途中、露店を冷やかしながら行ったので、街に着いてからかれこれ2時間が経過していた。


「――よし」


 レンは拳をぎゅっと握り、そしてそっとギルドの扉を開いた。


 入った瞬間に集まる無数の視線。

 ある人はすぐに興味を失ったように元の作業に戻り、またある人は「けっ、新人が……」と言いたげな視線を向ける。

 それ以外にも、若干熱っぽい視線を感じなくはないが、特に気にするとこでもないので放置する。


 受付は人によって違うのか、美人な受付嬢の元には行列が出来ているが、それ以外は基本的に空いていた。

 レンは空いていた若干強面のおじさんが受付の所に行く。


「すみません」

「あ?なんだ坊主。なんか用か」

「学園に行きたいんですけど……」


 そう言うと、彼はレンの顔をマジマジと見て、なんだこいつと言わんばかりの顔を向けてきた。

 一応、仕事なので事務的に対応するようだ。


「……そうか。一応こちらで最低限学園に行くための実力があるかを確認させてもらう。学園の方でも入学のために試験はあるが、こっちのメンツにも関わるんでな。こんなやつを試験に受けさせるのか、と失望されちゃあこっちがたまんねぇんだ」

「そうなんですか」

「あぁ。――今時間平気か?」

「はい、大丈夫です」

「了解だ。じゃあすぐに試験の準備をする。10分後に右奥の扉から練習場に来てくれ」

「分かりました」


 そう言うと、彼はさっさと席を離れ、右奥の扉へと消えていった。





 10分が経ち、レンは右奥の扉へと向かった。


 円形の練習場、その中心にあのおじさんが立っていた。


「えっと……あなたがやるんですか?」

「まぁな。一応これでも元Aランクの冒険者だ。人を見る目はあるつもりだし、何より確実性が増すからな」

「そうなんですか」


 レンはてっきりベテランの冒険者が相手をしてくれるのかと思っていたのだが、どうやら違ったらしい。

 まぁ、レン的には誰だろうと構わないのだが。


「――じゃあ、一応ルールの説明だ。魔法・武器の使用は許可する。だが武器はこっちにある刃がついてないものを使ってもらう。魔法は殺傷能力のあるものは禁止だ。場合によっては兵士に突き出すからそのつもりでな」

「分かりました」

「じゃあ、あそこの樽の中に入ってる武器を取れ。そん中のは全部刃がついてないからな」

「分かりました」


 レンは練習場の端に置いてある樽から短剣を引っ張り出し、一度振ってみた。

 ……問題なく振れそうだ。


「ほぅ、短剣か。珍しいな」

「そうなんですか?」

「あぁ、直剣を使うやつが多い中では、かなりマイナーと言えるだろう」


 そう言う彼は、大剣を肩に担いでいた。


「じゃあ、大剣もある意味マイナーと言うんじゃありませんか?」

「はは、そうだな。ある一定の使い手はいるから、短剣ほどでは無いがな。――さて、おしゃべりはここまでにして、そろそろ始めるぞ」

「はいっ!」

「よしっ!じゃあ……はじめ!」


 彼は、合図と同時に大剣を大きく振りかぶりレンに突撃した。

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