第30話

「っ!?おじさん……っ!?」


 目の前に、オリアスの攻撃を大剣で防いでいるおじさん立っている。


「レンっ!簡単に生きるのを諦めんじゃねぇ!」

「……でもっ!」

「でもじゃねぇ!じゃあ聞くが、あいつらはお前が死ぬことを望んでんのか?ちげぇだろ。あいつらはきっとお前が生きることを望んでるんだよ!――だからな、全力で抗え。諦めたらそこで終わりだ。アイツらの代わりに生きるってのも大事なことなんだからなっ!」

「……分かった」


 レンはギリー達のために生きることを決意した。


 諦めるわけにはいかない。

 こんな所で、死ぬわけにはいかないっ!

 みんなのために、命を……燃やせっ!


 2度目の狂戦化バーサークを発動する。

 死ぬわけにはいかない。


 だが、狂戦化がそんなに持続することも無いだろう。

 だから、すぐに決着をつけよう。





「がああああああああああああ!」

「っ!?おいおいまじか……!」


 今度は狂戦化バーサークとしての意識はない。

 本来の、いや、過去の適合者がなった状態というのが正しいか。

 レンはただ本能のままに暴れる猛獣と化す。


 おじさんは先程のレンを見てはいない。

 まさかレンがこうなるとは夢にも思っていなかっただろう。


『ちっ、ふざけやがって』


 ムルムルの使っていた鎌を手に取る。

 そして、鎌に炎を纏った。


「あああああああああああああああああああああ!」

『むんっ!』


 オリアスは炎を纏った斧を持ってレンに突撃する。


「やらせねぇ!『聖域サンクチュアリ』!」

『ちっ!効か……ねえ!』


 一度『聖域サンクチュアリ』によってオリアスは一瞬足が止まるものの、すぐに聖域サンクチュアリを破壊、再びレンに突撃する。

 だが、それを考えていないおじさんでは無い。


「『防御壁シールド』!!」


 レンの前に立ち、を使って、壁を作った。

 そして、オリアスは壁に突撃、そして轟音。

 壁は、破られなかった。


『なっ!?ふざけやがって……!』

「ちっ!」


 そして、レンが動き出す。


「――おっと!」


 即座に防御壁シールドを解除、飛び退いてレンの攻撃の巻き添えを食らわないように避ける。


 その直後、レンはオリアスに攻撃する。

 武器すら使わない、肉体だけの攻撃。

 その攻撃は、地面に大きなクレーターを空けるほどの威力だった。


「がああああああああ!」

『ぐっ!?』


(なんだこの威力は……!?さっきとはまるで違うっ!?)


 上から殴られたオリアスは地面に大きなクレーターを作りながら沈んでいく。

 そして、追随するようにレンが砂煙の立ち込める穴に飛び込み、轟音。

 オリアスの身体が空高くに打ち上がる。


 そして、空中で殴る、蹴る、殴る……。

 先程は傷がつかなかったにも関わらず、今は傷だらけになっている。

 そして再び地面に打ち付ける。

 もうオリアスは動ける状態ではなかった。


『ぐっ、ぐぅぅぅっ!まだ、まだだ……っ!』

「諦めろ、お前は終わりだ」


 そっと、おじさんはレンの前に大剣を刺す。

 そして、それをレンは手に取り……。


 オリアスの首に振り下ろす。


『や、やめ……』


 オリアスの首はごろごろと転がり……レンの足元で止まった。

 その表情は絶望に塗れていた。


「うぉおおおおおおっ!」


 レンは雄叫びを上げる。

 その雄叫びはようやく倒せた喜びではなく、友達を失った悲しみに暮れたものだった……。


 こうして、戦いは幕を閉じた。

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