第28話

『オラァ!!』


 ムルムルは鎌を振りかぶり、レンバーサークに突撃する。

 鎌は的確にレンの首を狙ったものだ。


「ふっ!」


 レンバーサークは鎌を足場にムルムルの後ろに回り、ムルムルの足の関節を斬る。

 だが、血は吹き出したものの、切り落とすことは叶わなかった。


『ちっ!クソッタレがァ!!』


 鎌を大振りに振り回し、レンを攻撃する。


 致命的な傷になることはないけども、レンの体に傷が増えていく。

 このままではジリ貧だと考え、レンは一度後ろに下がり立て直す。


 だが、ふたりはさっきのように舐めてかかってきてる訳では無い。


 つまり、油断ならない場所からの攻撃もあるという訳だ。


 直後、レンの後ろからオリアスが攻撃してきた。

 身体を回転し、メイスになった両腕でレンを叩き潰そうとする。

 咄嗟に気づいたものの、避けることは叶わない。


「『身体強化、左腕』」


 レンバーサークは左腕を犠牲に回転を止め、右手で逆手に持った短剣でオリアスの首を狙う。

 その攻撃は身体を後ろに倒すことで避けられてしまう。


「『身体強化、右腕』」


 順手に持ち替え、右腕に全力で『身体強化』、オリアスの右腕を切り落とす。


『ぐっ……』


 左腕も切り落とそうとしたが、後ろからムルムルが攻撃してくるのを察知し避ける。


『ちっ!避けんじゃねぇ!『地縛アースバインド』!』


 地面から蔓が伸び、レンを縛ろうと動き出す。

 レンバーサークは避けようとしたものの、蔓の伸びる範囲が広く、一度足が引っかかると全身が一気に縛り上げられた。


『へへっ!ざまぁねぇなっ!――っ!『土壁アースウォール』!』


 レンバーサークはムルムルとオリアスに向けて『氷弾アイスバレット』を大量に放つ。

 ムルムルは油断していたせいか、1発が腕に当たった。

 2弾、3弾と放った魔法は『土壁アースウォール』によって防がれる。


『おい、油断するな。……そら言わんこっちゃない』

『ちっ!殺す!』


 レンバーサークは縛られているので動くことが出来ない。


 だが村とは反対、街の方向から矢の雨がムルムルとオリアスに降り注ぐ。

 遠くに見える馬車、あれはおそらく教会のものだろう。



 誰かが知らせて、助けに来た?

 いや、それは無い。

 村に生き残りはいないし、何より教会はそんなことでは助けようともしないからだ。


 ではなぜいま、このタイミングで来たのか。

 おそらく、あの馬車は6年に1度来る派遣隊だ。

 たまたま今日来てしまい、襲われているのを見て矢を放った、と言ったところか。


 だが、レンは助かったが派遣隊にとっては運が悪かった、と言わざるを得ないだろう。



『ちっ!なんだってんだ!』

『あれだな』

『あぁ?ちっ、ぶっ殺す!――まだ殺すんじゃねぇぞ!』

『あぁ、わかった』


 ムルムルは派遣隊に突撃、すぐに阿鼻叫喚となった。

 そして、3分もしないうちにその場にいた全員を殺し、戻ってくる。


 レンバーサークはその間、目を瞑っていた。



 生を諦めて死を選んだのか?

 いや、違う。

 レンバーサークはどうすれば勝てるか、それを考えていた。


 それに、レンは現在狂戦化バーサークに身体を預けている状態だ。

 狂戦化バーサークとて、無闇矢鱈と主を殺したい訳では無い。


 幸いにも、今逃げ出さなければ攻撃はされない。

 逆に逃げ出すと、目の前にいるオリアスに殺されてしまうだろう。


 だから、この時間を使って考える。

 だが、いい方法は思いつかなかった。



 正直、まだ狂戦化バーサークがレンの身体に馴染んでいるとは言い難い状態だ。

 力に振り回されて、能力を扱いきれていないような、そんな状態。

 故に、まだ全力が出せていない。


 本来であれば、それでも十分なのだが相手が悪かった。

 何より、現状で出せる力だけを使って、ふたりを倒さなければならないのだから。

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