第26話

「あ、あぁ……」


 ギリーだけでなく、ネクソンも死んでしまった。

 自分が何も出来ないばかりに、ふたりを殺してしまった。

 レンは後悔の念に苛まれる。


『……ちっ。おい、オリアス。もういい、どっちも殺せ』

『……いいのか?お前、さっき殺すなと言ってなかったか?』

『あぁ、どうせ大したことないだろうしな。それに、よく考えりゃ死体が残ってりゃどうとでもなる』

『そうか』

『――あ、せめてきれいに倒せよ?あとがめんどくせぇ』

『わかった』


 オリアスがレンの元へと近づいてくる。


 それに気がついたレンは、咄嗟に構えるものの、先程のような気力はない。

 ふと後ろを見ると、ナフィも同じような状態だった。


 オリアスがレンたちに近づいてくる。






 レンたちは近づいてくるに意識を向けていた。

 ネクソンが殺された動揺もあったのだろう。


 だから、後ろから攻撃してくる者がいることに気が付かなかった。





「……かふっ」


 レンは血を吐き、熱い感覚のするお腹を見る。


 レンのお腹からメリダの剣が生えていた。

 後ろを見てみると、ナフィの心臓付近を貫き、それからレンのお腹を貫いていることがわかった。


 メリダがレンとナフィから剣を引き抜くと、ナフィが倒れるように崩れ落ちた。

 咄嗟にナフィの身体を支える。


 ナフィの傷は明らかに致命傷。

 レンの傷は、そのまま放置していると死んでしまうような傷であった。


「……フィー、ちゃん。くふっ……」


 回復魔法は自分で自分にかけることが出来ない。

 つまり、ナフィは自分で自分を治すことは出来ない訳だ。

 この時点で、ナフィが助かる可能性はほぼゼロになった。


「レン、くん。ダメ……」

「フィーちゃん……?」

「生き……て……。『エクストラ……ヒール』」


 レンの傷がどんどん癒えていく。


 だが、ナフィの傷は塞がっていない。

 そのままナフィの身体から力が抜けていき、地面にドサリと倒れた。

 そのままピクリとも動かない。


「フィー、ちゃん?フィーちゃん!――ダメ!寝ちゃダメ!フィーちゃん!」


 ナフィは……息をしていなかった。


「フィーちゃっ……。あ、あぁ……」


 いくら揺すっても、ナフィが目を開けることは無かった。

 だんだんとナフィの身体が硬直して行き、動かなくなっていく。

 既に死んでいる証拠だ。


「うあああああああ!!」


 もう、レンの精神は限界だったのであろう。

 ギリーが死に、ネクソンも死んでしまい、終いにはナフィすら守れなかった。


 ブチッ


 レンの中で何かが切れる音がした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます