第2話

 光源ライトを使ってから、ずっとレンは眠り続けていた。


 さすがに、まる1日経っても起きなかったので、心配したメリダが大おば様に聞いてみたところ、


「――ふむ。これは典型的な魔力が枯渇したときに出るものじゃ。身体が魔力を元に戻すために身体の機能を全部止めて、回復に専念しておるのじゃ。本来よりも眠っている時間が長いが、ちゃんとしばらくしたら起きるから安心せい」


 と言った。


 そして大おば様は帰る際、


「レンが起きたらわしのところに来い。さすがにあぶないからのぅ」


 と言っていた。





 そして3日ほど経って、ようやくレンは目が覚めた。

 3日間ずっと寝続けたために、とてつもない空腹感はもちろんのこと、身体には何かが抜け落ちたかのような脱力感が占めている。


 レンが眠っている場所は自分のベッドではなく、メリダのベッドのようだ。

 メリダはレンの介抱をしている最中に寝てしまったらしく、レンの手を握りながらベッドの端で、腕をまくらにして眠っている。


 メリダの目の下には隈が濃く浮かんでいて、あまり眠れていなかったことがよくわかった。




 レンはメリダに握られていた手をそっと解く。

 すると、手が解かれたことに気づいたのか、メリダが眠そうに目を擦りながら体を起こした。


「ん……レン?」

「お、おはよう。ママ」

「……っ!レン!――もうっ、心配したのよ!」


 メリダはもう絶対に離さないっと言わんばかりに力強くレンを抱きしめる。

 レンの声は弱々しく、自分に非があるのは分かっているかのようだった。


「……ごめんなさい」

「いいえっ、私が魔法を使ったらどうなるか、ちゃんと教えておけば良かったんですもの。私こそごめんなさい」


 メリダがレンに頭を下げて謝る。

 レンは自分が悪いことをしたのにっ、とあわあわしていた。

 だが、レンのお腹が大きな音を立ててなってしまったことで、緊張していた空気が緩んだ。

 メリダは一瞬キョトンとした表情をしたものの、すぐにクスリと笑って、


「そうよね。レンは3日間も何も食べていないんですもの。お腹も空いてるわよね。ちょっと待っててね。すぐに作ってくるわ」


 と言って、レンの頭をぽんと撫でてから部屋を出ていった。

 ひとり残されたレンはメリダが戻ってくるまで、横になって眠ることにした。

 すると、まだ疲れが残っていたのか、再びレンの意識は夢の中に吸い込まれて行った。






 メリダは起きたばかりでも食べられるように、暖かいスープを作って、ベッドまで持っていった。

 レンは寝ていた様子だったが、メリダが戻ってきたのに気づいて起きたようだ。


「はい、レン。出来たわよ」

「わぁー、美味しそう!」

「ふふ」


 レンの顔を見て、メリダはとても嬉しそうだった。

 すると、レンのお腹がご飯の匂いにつられて、またも大きな音を立てて鳴る。


「ふふ。――ふーふー。はい、レン。あーん」

「あーん」


 レンは起きたばかりなので、メリダが食べさせて上げる。

 と言っても、まだ3歳なのでこれが普通といえば普通なのだが。


 まだ作ったばかりで熱いので、息を吹いて冷ましてから食べさせる。

 だが、まだ熱いのか、レンは口をはふはふさせながら食べていた。


「――はふはふ、おいひい」

「そう、よかったわ。じゃあ次。――ふーふー。はい、あーん」

「あーん」



 レンはあっという間に食べ終える。

 食べてお腹がいっぱいになったのか、すぐにまた寝てしまった。



 レンが食べている間に大おば様の所に行くことを伝えていたので、レンの頭をそっと撫でてから家を出た。





 大おば様のいる神社の少し長い階段を登ると、大おば様は神社の掃除をしているところだった。

 掃除しているところ悪いとは思うが、大おば様に声をかける。


「大おば様」

「ん?――おぉ、メリダか。レンの話かの?少し待っておれ」


 そう言って大おば様は掃除をさっきまでの早さがなんだったのか、ぱぱっと終わらせて、メリダを連れて神社の中を進んで行った。


 しばらく進むと、1つの部屋に入る。

 そこは小さな会議室のような内装になっていた。


「――お茶を用意してくるから、少し待っておれ」


 そう言うと、大おば様は部屋から出ていった。

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