第3話ハートに火をつけて

ねむれないので、少女は夜明けをまたずに、歩きだした。

じっとしているよりは、気がまぎれる・・・星の海のなかを泳いでいるようだ。夜明けは、まだのようす・・・。

猫は、あくびをしながらついてくる。


魔法の地図によれば、なんでも、その魔法の香草は、地の果てに生えているようだ。

別の、植物図鑑によれば、透きとおった、ガラス細工のような花を咲かせているらしい。その図鑑の挿絵を、少女は写しておいた・・・。月の光を透かして咲く花の、根の部分には、変な毒があるらしい。魔術的効果が強いのは、葉や実のようだ。花に、どんな力があるのかは、その植物図譜には書かれていなかった・・・。


街々には、それぞれ個性的な図書館が建っている。

名のある建築家が設計したの、やたら古いの、ほとんど壊れているの、大木と一体化したの、鉄とガラスでできたの、極東の様式でつくられた、竹と紙製の・・・。

それぞれがそれぞれに、特色のある書物を所蔵している。


夜明けに向かっている。とても暗い・・・。

鬼火か、蛍か?

不思議な灯がただよいだしていた、いつのまにか、夢だろうか?ねむらずにいるせいで・・・?

猫のひとみにうつりこんで、ゆらゆらゆれている、無数の灯。

あたたかみのある、清らかで、なにか親しみのわくその光が、彼女のこころにはいりこんで、心の奥の彼女自身がしらない部屋の一隅を、やさしくてらす・・・。

幻想と現実がいりまじる・・・そうこうするうちに、空はしらみだした・・・。

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