合格発表
大学の合格発表があった。
「受かった………………………」
「おめでとう千花~~~!」
お母さんが抱きついてくる。さっそく仕事中のお父さんに連絡していた。間違いなく自分の番号が、パソコンに表示された合格者の一覧の中にある。
長い戦いは、ひとまず山を越えたのだ。
「今日は豪勢にしないとね!」
「うん……はあ、なんか疲れた。寝てくる……」
「緊張が解けたからかしら。ゆっくりしてきなさいね」
階段を上って自室へ入り、ベッドへ横になる。うとうととしていると、ぼやけた視界の隅で黒い塊が動いた。
(アンコ……?)
多分、飼い猫のアンコだ。いつもなら居間で寝てる時間なのに、珍しいことだ。構ってあげたいけど、今は眠い。
ぺちっ
肉球が額に何回か押し付けられた。ぺちっ、ぺちっ、と、柔らかいものが当たる。
(お祝いしてくれてるのかな……?)
アンコは賢い猫だから、祝い事があったことぐらいは察しただろう。アンコなりにお祝いをしてくれるのではないかと思っていると、ようやくアンコが口になにかをぶら下げていることに気づいた。
べちっ
重い何かが顔に乗せられて、眠気がぶっ飛んだ。それは丸々と太った、お化けなのか現実なのかもわからない、大きい何かの虫だった。
「~~~~~~~~っ!」
「…………なん?」
アンコは首を傾げている。多分お祝いしてくれているのだ。ただ、贈り物に関しては、猫と人間は相容れない。
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