渚ちゃんを探しています

 早瀬 渚ちゃんを探しています!

 ****年7月12日生まれ 12歳

 身長:150センチ

 体重:42キロ

 服装:*****(編注:女児向けアニメのキャラクター)がプリントされた白の半袖Tシャツ、水色のスカート、ピンク色のビーチサンダル

 特徴:髪を三つ編みにしています。顔に生まれつきの大きな痣があります。

 8月16日に図書館からの帰りに***町の横断歩道で友達と別れたあと、行方が知れません。

 心当たりのある方はご一報ください。


 連絡先:**県**警察署 TEL****-**-****

 またはお近くの警察署、交番へ

 (図1)


【早瀬渚ちゃん行方不明事件についての顛末】

 渚ちゃんの実母である早瀬伊織が渚ちゃんを殺害したと訴えている日付は8月6日である。普段から不仲の渚ちゃんとケンカになり、カッとなって突き飛ばしたところ頭がテーブルの角にぶつかって動かなくなったと供述しています。

 早瀬伊織は夜になるのを待ち、***山中の一本松の根元に渚ちゃんを埋めたと主張している。

 周囲の目をごまかすため警察にあえて自分から「一晩待ったが帰ってこない」と連絡し、行方不明者のポスター(図1)も掲示した。

 目撃証言はなかったが、この頃から早瀬伊織の携帯電話に不審な電話が入るようになる。電話はいつも声などは入っておらず、テレビの砂嵐のような音がザーザーと延々と聞こえてくるもののようだ。

 時間帯を問わない不審な電話に根を上げて、電話帳に入っている電話番号以外は拒否する設定にしたものの、数日後には電話帳に登録している番号から砂嵐の不審電話がかかってくるようになったという。なお登録している番号の主に確認したところ全て「そんなことはしていない」との返答だった。

 この頃から早瀬伊織の精神は不安定になり、日常的にアルコールを飲むようになる。仕事は退職し、一日中酒浸りになった早瀬伊織はあっという間にアルコール中毒といえる症状に襲われた。

 早瀬伊織はそれから1年後に、飲酒運転で逮捕された。また、それをきっかけにして、生活費を賄うための窃盗といった余罪が判明し、そして渚ちゃんの殺害を警察に自供した。警察は供述を元に渚ちゃんの遺体を捜索するも、見付けることは叶わなかった。

 逮捕された早瀬伊織は妊娠していた。このことについても、「妊娠するようなことはしていない」と怯えるように言っていたという。

 刑務所に入ってから、早瀬伊織は出産をした。予後が悪く、そのまま命を落とした。

 生まれた赤ん坊も、当初は元気だったものの、早瀬伊織の死と同時に謎の突然死を遂げた。

 生まれた赤ん坊には渚ちゃんと同じ場所に痣があった。

 渚ちゃんの遺体はいまだに見つかっていない。

 筆者はこれに、何か運命のようなものを感じずにはいられないのだ。  (了)


 

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