【短編連作】ほんの三分だけのホラー

お願いします

　殺人事件が起きた廃屋に探検に行って以来、具合が悪い。

　肩が凝る。悪夢を見る。精神が不安定になる。幻聴が聞こえるようになる。

『死ねばいいのに……』

　誰も他にいない部屋で、そんな声が聞こえるのだ。ふとした瞬間に、視界の端に人影が見えて、きちんと見ようとすると誰もいない。夜になれば二階なのに窓を叩く音がするし、常に部屋に他に誰かがいるような居心地の悪さがする。

　写真を撮ってみたら、明らかにおかしい、人の顔に見える煙のようなものが写っていた。困ってると友達の一人がスマホを見せてきた。

「ねえ、これ、ネットで見付けたんだけど……」

　お化けに取り憑かれたときの対処法

1.個包装のお菓子を人数分用意してください

2.白くて平らなお皿に水晶を敷き詰めましょう！　安いので大丈夫です！

3.水晶を敷いたらお菓子をその上に乗せましょう！

4.夜になったら月の光を更に浴びせましょう！　そしてこう唱えましょう！　「ふるるちいくすねむいね」！　「ふるるちいくすねむいね」！　「ふるるちいくすねむいね」！　三回！

5.これを三日間続けるとなんとお化けはお菓子の中に入りますね！　けどそのままにしてるといずれ出てきてしまいまする！

6.だから、そんなお菓子は誰かに食べさせちゃおう！　そしたらお化けは食べた人に取り憑くよ！　お化けに負けない元気な人に食べさせようね！　ドキドキさんとのお約束だよ！

＊＊＊＊＊

　私には霊感がある。だから、目の前のこの人がどうしてこうなったのか、なんとなく分かる。

「ねえ不動くん」

「ん？　どした？」　

「いつも元気だよね」

「おう！」

「……誰かからお菓子貰って食べたりした？」

「おお。なんか今日はやたら貰ったな」

　不動くんに取り憑く合計五人の黒い影。これ、どうしようかと私の頭は密かに痛くなったのだ。