第367話【息子】

「良し!! このうちに突撃するぞ!!」


剣崎の勝利に浮かれ形勢が決まりかけたその時。


「ジュニアリーグの全国チャンプか、 所詮は子供、 大人の力を見せつけてやる」


そう言って仕事場からボクサーグローブを付けた男が出て来た。


「健司だ・・・」


ボスの息子、 ボクサー崩れの健司がやって来た。


「来たわね用心棒!! ここで私が成敗し」


健司は思い切り剣崎を打ん殴った。

剣崎は吹っ飛び昏倒した。


「剣崎がやられた!!」

「逃げろー!!」


襲撃に来た人々は一斉に逃げ出した、 如何やら今回は剣崎を頼みにしていた様だった。


「なんというか・・・女子供を矢面に立たせるとは信じられないな・・・」


呆れながらジムは言った。

健司は残った剣崎をグルグル巻きにしてやって来た国防軍に引き渡した。


「さぁ!! 乞食達に邪魔されたが仕事を再開しよう!! 水を運んで来い!!」


ぱんぱんとボスが手を叩きながら促す。


「へーい」

「分かったー」


水を運んで行く人々。


「じゃあ俺も帰るか・・・」

「ん・・・ぐ・・・」


スキンヘッドが目を覚ました。


「・・・殴られたのか・・・つーか終わったのか?」

「あぁ」


ジムが答える。


「さっきの・・・あの娘は?」

「ボスの息子の健司が殴って終わったよ」

「ボスの息子?」

「あぁ、 ボクサー崩れでボクサーグローブの中には

メリケンサックを隠し持っているって噂だ」

「普通にメリケンサックで殴れば良くね?」

「さぁ・・・良く分からん・・・立てるか?」

「あ、 あぁ・・・」


スキンヘッドの手を掴むジム。


「しかし頭いてぇな・・・」

「医務室で診て貰いな、 それ位はして貰えるぞ」

「分かった・・・」


とぼとぼと歩いて行くスキンヘッドだった。


「じゃあ帰るか・・・」


買った荷物を持って帰路に着くジムだった。

帰る途中に奇妙な少年と出会った。

バイクを手押ししている少年だ。

バイクの上には荷物が括りつけられている。


「すいません、 ガソリンってこの街に有りますか?」

「ガソリン? この先に水とか色んな物の売買所が有ってそこなら売っているかもしれない

でも相当高価だと思うぞ? 手持ちは有るか? 大丈夫か?」

「・・・・・」


少年はごそりとポケットから金の棒を出した。


「マジか・・・アンタ何者だ?」

「旅の者です、 では・・・」

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