第329話【誠也は怪人だとチンピラは言った】

誠也達が居る街、 畑間市の畑間警察署では情報が錯綜していた。


「はい、 こちら畑間警察署・・・車が爆発!?」

「はい、 こちら、 指名手配の誠也が見つかった!?」

「は、 か、 怪人出現!?」

「はい、 もしもし、 チンピラ達が倒れている!?」

「は、 ちょ、 ちょっと何を言っているの!? 悪戯ならやめなさい!!」


さっきから電話が鳴りやまないのだ。

電話対応をするオペレーターもてんてこ舞いの状況である。


「い、 一旦落ち着け!!」


畑間警察署勤続三十年のベテラン、 絹塚は一喝する。


「一旦何が起きているか纏めよう!! それぞれ報告を!!」

「はい!! 路上駐車していた車がひっくり返り爆発し炎上しています!!」

「それは消防に任せろ!! 次!!」

「路上でチンピラが数十人倒れています!! 中には重傷者も混じっている様で」

「それは救急に任せろ!! 次!!」

「怪人が現れました!!」

「直ぐにC2号部隊に連絡!! こちらの対怪人部隊も出せ!! 次!!」

「指名手配犯の誠也が見つかったらしいです

また通報者は錯乱していた様子ですが・・・」


言い淀む報告者。


「如何した? 何だって?」

「誠也が怪人だと」

「は? 何を訳の分からない事を・・・」

「如何しますか?」

「・・・・・とりあえずそこに刑事達を向かわせろ」

「はい!!」


絹塚は部下に指示を出し終えた後にブラインドを開けて街を見た。

さっき言っていた路上駐車の爆発炎上で煙が見える。


「畜生め・・・この街で好き勝手させんぞ!!」

「絹塚さん!! 大勢の絞殺死体が発見されました!!」

「何だと!?」

「近隣の住民が物音を聞きつけてやって来たら

とんでもない数の絞殺死体が有ったそうです!!」

「くっ・・・そこにも現場検証に向かわせろ!!」

「それからその場所には同じく指名手配犯になっていた鶴瓶が居た様です!!」

「何だと!? 鶴瓶も居るのか!?」

「いえ、 鶴瓶の姿は見当たりません、 それから誠也も生活していたらしく

外国人の子供が二人いた様です」

「外国人の子供ぉ? ますます訳が分からなくなって来ているな・・・」

「如何します?」

「・・・・・巡回の巡査に近辺を探らせろ!!

何としてでも鶴瓶を逮捕するんだ!!」

「「「はい!!」」」


一斉に立ち去っていく刑事や警部や巡査達だった。

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