第309話【癒しの聖女】

串カツを揚げる主人。


「あの・・・御主人、 さっき言っていた癒しの聖女って一体?」


牛カツを食べながら尋ねる草佐々。


「ん? あぁ癒しの聖女って言うのは最近りんりん地区にやって来た凄い人でな

どんな傷でも怪我でも治してくれる凄い女の子なんだよ」

「へぇ・・・」

「かく言う俺も癒しの聖女に傷を治して貰ってな!!

もう大変だったんだよ!!」

「そうなの?」

「あぁ、 俺がヤクザの抗争に巻き込まれて病院をたらいまわしにされた時に

癒しの聖女が傷を治してくれたんだよ」

「そうなんだ・・・その癒しの聖女って今、 何処に居るの?」

「りんりん地区を転々としているらしい、 ヤクザからも追われているらしいからな」

「そうなんだ」

「さっき、 注文を取りに来た人は?」

「癒しの聖女の世話をしている人だな、 うん」

「彼は癒しの聖女の居場所を知っている?」

「そうだな」

「ふーん、 御馳走様でしたー」


店を出る美亜と草佐々。


「如何する?」

「如何するって・・・これは後を追って癒しの聖女の居場所を探るしかないと思います」

「そうだな・・・じゃあ一回メールで小林さんに連絡しておくぞ」

「はい」


小林にメールを送る草佐々。

すぐさまメールが返信される。


「え・・・これは・・・」

「何だって?」


メール画面を除こうとする美亜。

携帯をしまう草佐々。


「・・・二人で後をつけろ、 だそうだ、 余計な仕事を増やしたな・・・」

「なるほど、 小林さんは?」

「三人は目立つから二人で行け、 だそうだよ、 サボりかなぁ・・・」

「なるほど、 分かりました!! じゃあ二人で頑張りましょう!!」

「声がデカいよ・・・と言うか大丈夫か?」

「何がです?」

「さっきあんなにバカスカ食ってただろ、 腹一杯で動けないとかそういう事は無いよな」

「・・・正直に言いますね」

「うん?」

「実はまだお腹空いてます」

「喰い過ぎだよ・・・カロリーとか大丈夫か?」

「かろりー? 知らない言葉ですね」

「現実から目を逸らすなよ、 太るぞ」

「太らない体質なんで・・・」

「・・・・・はぁ・・・」

「如何します? 待っている間、 そこのおでんの屋台に入りませんか?」

「入らねぇよ、 串カツ揚げ終わったら出て来るからそんなに時間はかからないだろう」

「うぅ・・・もっと食べて置けば良かった・・・」

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