第236話【phantom energy】

入浴中の誠也。


「ふぅ・・・・・」

「誠也君、 電話だよー浦吉さんからー」


鶴瓶の声が聞こえる。


「今風呂入っているんだけどー」

「そう言ったんだけど、 物凄い剣幕で『早く出せ!!』ってさ何かヤバい事でもしたの?」

「・・・・・?」


念の為に風呂から上がって体を拭き、 寝間着に着替えて電話に出る。


「はい、 もしもし」

『遅いッ!!!』


とっさに耳から受話器を離す誠也。


『今からウチの事務所に来いッ!!!』

「じ、 事務所? クラブの方じゃなくて?」

『事務所だよ!! 事務所!!』

「はぁ・・・分かったよ、 今から行くよ・・・」


電話を切る誠也。


「何だって?」

「事務所に来いって」

「??? 何かしたの?」

「いや・・・でも何か有っても怪人になれば問題無いだろう」


そう言ってバイクで浦吉の事務所に向かった。

事務所内では数名の男がモップがけをしていた。


「???」

「野木久保さん!! 頭がお待ちです!! ささっ此方へ・・・」

「お、 おう・・・」


首を傾げながら事務所の中に入る誠也。

誠也が事務所の中に入るとそこに居たのは片腕を無くした浦吉だった。


「ど、 如何した!?」

「如何したもこうしたもねぇよ!! お前を呼んだのは唯一つ!! これだ!!」


そういって鞄を取り出して中から一本の注射器を取り出す。


「これは?」

「最近聞いた事無いか? phantom energyって薬を」

「さっき聞いたよ・・・これがphantom energy?」

「そうだ・・・お前は頭が良いから薬の解析とか任せて大丈夫だよな?」

「え・・・まぁ出来なくはない・・・かな?」

「じゃあこいつはお前に任せる」


phantom energyを押し付ける浦吉。


「こいつの成分を解析するんだ」

「はぁ・・・それでその腕は」

「良いからとっとと行け!! それから見張りを何人か付けるぞ」

「見張り?」


誠也の周囲を5人の男が付いて来る。


「・・・どうも」

「phantom energyの解析をしている間は給料を出すから

薬の販売はしなくても大丈夫だよな?」

「お金が出るなら良いけど・・・」

「ちゃんと働けよ、 見張らしてるからな」

「分かっているよ」

「持ち逃げもするなよ」

「大丈夫だって・・・」

「逃げたらぶっ殺すぞ」

「しつこいよ」


浦吉から念を押されながらもバイクで帰宅する誠也。

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