第226話【衝撃の結末】

留置所から裁判所に輸送される胎太鼓。

裁判所の前では大勢の人々が待ち構えていた。

カメラのフラッシュが焚かれ、 テレビの中継が何台もやって来ていた。


「御覧下さい!! 胎太鼓 富雄容疑者が輸送されてきました!!」


アナウンサーがハキハキと喋る。


「胎太鼓容疑者がどの程度知っていたかが争点になると専門家が言っております!!」

「胎太鼓さん!! 今の心境は!?」

「近づかないで下さい!!」


胎太鼓にインタビューを迫る報道関係者、 そしてそれを押さえる警備員達。

そして・・・


「胎太鼓ォ!! 覚悟ォ!!」

「え?」


どすっ、 胎太鼓の胸に包丁が突き刺さる。

口から血を吐く胎太鼓、 そして胸から血が出る。


「きゃああああああああああああああああああああああああ!!!」


アナウンサーが叫ぶ。


「おい!! 救急車ァ!!」

「そいつを取り押さえろ!!」

「天誅!! 天誅ウウウウウウウウウウウウウウうううううううううううううう!!」


周囲は瞬く間にパニックになった。

警備員は暴漢を取り押さえ、 報道関係者達は刺された胎太鼓をカメラに映す。


「大変な事が起こりました!!

これから裁判を受ける胎太鼓容疑者が暴漢に包丁で刺されました!!

現在現場は騒然となっております!!」

「一体何が起こっている!?」


裁判所から出て来る弁護士の栗貫。


「胎太鼓さん!? 一体何が!?」

「栗貫弁護士!! 胎太鼓容疑者が刺されました」

「そんな馬鹿な!?」


栗貫は驚愕する。

そして膝から崩れ落ちる。





結果として裁判は被疑者死亡で幕が下りた。

犯人は怪人被害者団体のメンバー、 笹錦 錠で

怪人に与する行動を取った胎太鼓に天誅を喰らわせると言う考えで犯行に及んだ。


歴史に名を残すノギクボ裁判

通称怪人裁判はこの様にして幕を閉じたのだった。


後に栗貫はこう語る。


「どんな人間にも裁判を受ける権利は有るし

その気になれば精神虚弱等の理由をつけて裁判を回避する事も出来ましたが

胎太鼓氏は死刑でも受け入れて立派に裁判を受けようとしていました

彼の様な選択が出来る人間がどれ程いるのか

笹錦容疑者も裁判を受け入れられるでしょうか?

あれ程立派に死刑台に向かった人が殺されるなんて・・・」


この事から裁判所の警備はより一層強化される事になったのだった。

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