第214話【会議】

ノギクボ製薬本社、 会議室にて重役が緊急招集されていた。

来れない者はビデオ通話での参加となっている。


「営業部長の大和田とコンタクトが取れません」


会長秘書の大枝が会長の野木久保 中に報告する。


「何という奴だ、 アイツは暫く減給だな」

「彼は所詮一般人、 こんな夜中まで起きているとは思えませんよ」


警備部部長の百目鬼がフォローする。


「ったく・・・こんな重大事に・・・」


中は葉巻に火をつける。


「大和田以外の重役は全員揃っているな、 では報告を始めるぞ

今、 現在、 怪人を研究開発している秘密研究所が怪人に襲われた」


中の言葉にざわめく重役達。


「怪人達もほぼ全滅したと研究所副所長の高野目から報告が入っている」

「所長の魚目は如何したんです?」


研究開発部の鳥目が尋ねる。


「既に死んだとの事だ」

「なんて事だ・・・」

「怪人研究の第一人者が・・・」

「狼狽えるな、 高野目を始めとしたスタッフ及び資料は全て運び出されている

もうすぐ此方に向かって来る筈だ」

「本社に来るのですか?」

「そうだ、 警備部長、 秘密の入口に

複数の車両が入って来る筈だから中に入れる準備をしろ」

「分かりました、 部下に指示を出します」

「うむ、 それから秘密研究所は念の為に破棄する事になった」

「それが賢明かと思います」

『流石は会長、 ぬかりないですな!!』


太鼓持ちの人事部部長の胎太鼓が褒め称える。


「そうだろう、 そうだろう、 こう見えても会社の事を第一に考えている」

『流石!! ご立派です!!』

「それよりもだ、 サンプルや戦力としての怪人を失った以上

これから怪人事業がやり難くなることは必至だ

これから如何するべきか? このまま怪人事業を継続して進めるべきか」

「進めるべきでしょう【システムC2】が出回れば今までの兵器は

過去の遺物になる、 研究開発部からも研究続行を提言します」

「フルスコップ10は不安定過ぎます、 怪人はバランスが良いです」

「そうだな、 そうしよう」


PIPIPIと百目鬼の携帯電話に通信が入る。


「何だ? うん、 その車両は良いんだ、 通せ」

「何だ?」

「会長が先程仰った車両が機密通路に到着した模様ですので通しました」

「そうか、 ではお前達、 今日はここで解散とする

夜分遅く御苦労だったな」


ビー!! ビー!! と警報が鳴る。

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